126 / 335
第4章:偽りの聖女編
第126話:第二層
しおりを挟む
仲間の元に戻り状況を説明する。
皆は状況に驚いてはいたが、斥候部隊の殿を務める事になった事に対しては特に異論を挟まなかった。
まぁ、アリシエーゼがやると言った以上、アルアレ達はそれでいいのだろう。
後は明莉達だが・・・
「ファイ達の中隊は五つある。前方二、左右にそれぞれ一、中間に一、そして俺達が殿だ。ただ、殿と言っても残りのクソ聖女達も少し遅れて後を着いて来る事になってるらしい」
「それは何故ですか?」
「今、魔界では何かが起こってる。構造が変わる事もその一旦だと思われるし、一層もこの後何が起こるか予想が付かない。なので、何かあった時に主力である蒼炎の牙と分断される事態だけは避けたいって所だと思う」
「成程・・・また構造が変わって分断されてしまうかもしれませんしね」
「そう言う事」
つまりは俺達は蒼炎の牙と残りのクソ聖女達との間に位置するので、本当の意味で殿とは言えないが、考えようによってはどちらで起こった問題にも対処しなくてはならないと言う事だった。
「まぁ、蒼炎の牙としちゃ、聖女のお守りにまで気を回してらんねぇってのが本当の所じゃないか?」
「まぁ、そうだろうな」
ドエインの言葉に完全同意だが、優先順位は決まってる。
「とりあえず、仲間の事が最優先。次点で蒼炎の牙。聖女達は二の次だ。あんだけ人数居るんだから自分達で対処しろって感じだな」
俺の言葉で若干和むと、ファイから声が掛けられる。
「準備はいいかな?」
俺は一度、全員の顔を見て確認を取る。
皆、無言で頷いたのを確認してファイに返した。
「あぁ、問題無い」
「じゃあ行こうか」
ファイの言葉に蒼炎の牙の中隊は短く返事をして聖女の待つ最前列へと歩いて行った。
最前列へと到着すると、聖女とイヴァンが睨みながら、ダグラスは神妙な面持ちで俺達を出迎える。
ファイが短くダグラスと会話をして直ぐに二層へと繋がる階段を降り始めたので俺達もそれに続く。
「君達まですまないな」
「・・・いいよ」
此方も短い会話で切り上げ、ファイに続いて階段を降りて行く。
聖女やイヴァンの前を通り抜ける際、何か一悶着有るかと思っていたが、特に何も起こらずに肩透かしを食らった。
「本当に全然違うのな・・・」
二層に降りての俺の感想はこれだった。
一層とはまるで違う作りに話は聞いていたが驚きを隠せなかった。
二層は聞いていた通り、石造りの通路で出来ており、天井も聞いていた通り高い。
石は大きなブロック型で、それを綺麗に積み上げる様な形で通路が形成されている。
一層と同じで若干薄暗いが、光源を用意するまででも無いくらいの明るさだ。
「では、いつも通りやっていこう。ハル、後ろは頼むよ!」
「任せろ」
初めて名前を呼ばれた気がしたが、既に動き出したファイ達の中隊に直ぐに注意を向ける。
「よし、俺達も行こう」
俺の掛け声に全員、小さ目の声で「おうッ」と返事をして歩き出した。
殿の為、前の小隊と余り近過ぎても駄目なので少し距離を取りながら、それでいて何かあった際は直ぐに対処出来る位置取りをする。
「明莉、無理かもしれないけどあんまり緊張しないで。大丈夫だから」
「う、うん、大丈夫ッ」
あまり大丈夫では無さそうなので俺は敢えて軽い口調で続ける。
「篤を見なよ、あそこまでとは言わないけどあまり固くならない方がいい」
篤を見ると、「おぉ!正しくダンジョン!」等と興奮してキョロキョロと辺りを見回して楽しんでいる様に見えた。
こう言う時、普段と変わらずにいられるのは結構凄いなと関心しつつ、明莉の緊張を和らげる。
「とりあえず、ドエイン頼むぞ」
「あぁ、任せろ!」
何だか初めて頼もしく感じるドエインを筆頭にモニカ、ユーリーと声を掛けて行き、最後にアリシエーゼの元へ行く。
「こんな事になっちまってすまないな」
「・・・別に良い。結局、この階層にも魔物は居らなそうじゃしの」
そう言って鼻を一つ鳴らすアリシエーゼに釣られ俺も辺りを探る。
確かに一層と同じ様に辺りに魔物の臭いはしない。
「本当だ・・・」
一層と違い、この二層は通路となっている為、仮に敵が圧倒的な物量を投入して来た場合、あっという間にミンチにされる可能性が高いので、その点は大丈夫そうだと安堵した。
ファイ達も小隊毎に別れ、それぞれが警戒をしつつ、道が別れれば部隊を分けて同時に進行して行く。
それでいて、小隊に一人は居ると言っていたマッパーがマッピングも行いつつなので、本当にいつも通りにやっているのだろう。
道が別れた場合、小隊が一つその道を確認しに行き、行き止まりならそれはそれでマッピングをして戻って来る。
もし道が続く様ならある程度で見切りを付けてまた本隊に合流する。
その間本隊は進行速度を落として少しずつ進んで行く。
俺達は別れた小隊が戻って来るまで退路を確保する形で止まって待ち、戻って来たらその小隊と一緒に本隊にまた合流する。
別れた小隊が戻って来ると、俺達に手を挙げて合図を送って来るので、俺達もそれに倣い手を挙げて答える。
本隊に合流すると、戻って来た小隊が前方にハンドサインを送り調べた道が行き止まりかそれとも別で続いて行くのかを知らせていた。
それを受けてファイが随時戻るか進むかを判断していた。
「はぁ・・・凄い慣れてるなぁ」
俺は関心するが、アリシエーゼも同じだった。
「確かにのう。これはなかなかの動きじゃな」
他人を褒めるなんて珍しいなと思いつつそのまま会話を続けた。
「団員を育ててるなんて言ってたけど、本気でやってるみたいだな」
「そうじゃのう」
「だったら尚更分からないんだよなぁ」
「何がじゃ?」
「ファイは本気で魔界を攻略しようとしてる。聖女とは別に自分達の力で。まぁ他の傭兵団の力も借りようとしてるみたいだが」
「そうじゃのう。それが何じゃ?」
「だったら何でこのタイミングのこの攻略に参加したんだろうな」
俺は気になっていた。
今回の聖女の魔界攻略は、ドエインも話ていたが参加者は少ない。
人数が多くても必ずと言っていい程全滅して失敗しているこれに努力が実を結び結果が伴って来てノッているファイが参加したのか。
「そんな事か。何かしら理由があるとして、じゃったら何じゃと言うんじゃ」
「いや、まぁだから何だって話なんだが・・・」
そう言われるとそれまでなんだが、気になるものは気になる。
モヤりつつも探索を続けていると、右側に逸れる道へ向かった小隊が戻って来て本隊へとサインを送る。
そのサインが見覚えの無いものだったので気なっていると、直ぐにファイから止まれと号令が出て一度全員集まり状況を確認する。
どうも右に逸れた小隊が広場の様になっている場所を発見したらしい。
かなり広く、恐らく大隊でも収容出来るとの事であったので、一度確認に行く事になった。
周囲を警戒しつつその広場へと向かうと、通路の先に広がる広場が確かに確認出来た。
「広場の中には入ったかい?」
「いえ、この辺りまでです。どうやら奥へも通路は繋がっている様です」
ファイの言葉に小隊長の男が答える。
その言葉を聞きファイは各小隊で記録している地図を取り出させて広げさせる。
全ての地図を確認しつつ思案し、ファイは答えを出した。
「一度ここの安全を確認しよう。ミーシャの第三小隊は広間を確認。奥の通路は軽く様子を窺うだけでいい」
「はいッ」
ファイからの命令に短く答えて、ミーシャは小隊に準備をさせ始める。
すると、俺達がやって来た方から足音や話し声が聞こえてくる。
「聖女様達が来たか。第四小隊は聖女様達にこの広間の事と、此方から合図が出たら広間に入って来る様に伝えて戻って来てくれ」
「了解です!」
第四小隊もファイの命令を受けて直ぐに行動を起こした。
第三小隊が広間へと入って行くのを固唾を呑んで見守っていたが、暫くして広間の中から問題無しの合図があり、ファイが警戒態勢でその場で待機の合図を送ると、ファイが大きく息を吐いて緊張を少し解いた。
「ふぅ・・・そこの広間、何とか使えそうだね」
ファイの笑顔に残った団員は一様に安堵の表情を浮かべる。
第四小隊がそうこうしている間に戻って来てファイに報告をした。
「お伝えしました。承知したとの事です」
「うん、ありがとう。じゃあ行こうか、奥の通路も詳しく調べたいし」
俺達はそのまま広間へと入って行き、辺りを確認していく。
特にトラップも無さそうなので聖女達が入って来た通路に見えるまで待機して、少し状況を整理する。
「通路は二箇所。聖女様達と合流したら直ぐに通路の先回りを確認する。僕の第一と第三、後はハル達が正面奥、残りは左側を確認しに行こう。そっちの指揮は任せたよ、ディアナ」
「はッ」
ファイの言葉にディアナは背筋を伸ばして答えるが、こうして見ると傭兵団と言うより軍隊だなと思った。
聖女達が通路に見え始めたので、ファイが合図を送り広間へ引き入れる。
合流すると直ぐにファイが状況を報告してそのまま蒼炎の牙が二箇所の通路を確認する事になり、部隊を分けて対応を始めた。
通路は今までと同じくらいの広さで、小隊三つ程なら並んで進めるが、俺達は戦闘をミーシャ率いる第三小隊にして、後は俺達とファイ達である程度固まって進んだ。
通路は入って暫く進むと右に折れており、戦闘のミーシャが慎重に進んで確認し、合図の後に俺達が続いて行く。
そこからしばらく進むと、通路がそこで終わっていた。行き止まりだった。
「特に仕掛けなども有りません」
ミーシャの報告にファイは頷き、一旦広間に戻ろうと言い踵を返す。
俺達も後に続き歩き始めたその時、突然身体がグラりと揺れた。
地震?
と思ったが、その瞬間に視界が暗転していた。
皆は状況に驚いてはいたが、斥候部隊の殿を務める事になった事に対しては特に異論を挟まなかった。
まぁ、アリシエーゼがやると言った以上、アルアレ達はそれでいいのだろう。
後は明莉達だが・・・
「ファイ達の中隊は五つある。前方二、左右にそれぞれ一、中間に一、そして俺達が殿だ。ただ、殿と言っても残りのクソ聖女達も少し遅れて後を着いて来る事になってるらしい」
「それは何故ですか?」
「今、魔界では何かが起こってる。構造が変わる事もその一旦だと思われるし、一層もこの後何が起こるか予想が付かない。なので、何かあった時に主力である蒼炎の牙と分断される事態だけは避けたいって所だと思う」
「成程・・・また構造が変わって分断されてしまうかもしれませんしね」
「そう言う事」
つまりは俺達は蒼炎の牙と残りのクソ聖女達との間に位置するので、本当の意味で殿とは言えないが、考えようによってはどちらで起こった問題にも対処しなくてはならないと言う事だった。
「まぁ、蒼炎の牙としちゃ、聖女のお守りにまで気を回してらんねぇってのが本当の所じゃないか?」
「まぁ、そうだろうな」
ドエインの言葉に完全同意だが、優先順位は決まってる。
「とりあえず、仲間の事が最優先。次点で蒼炎の牙。聖女達は二の次だ。あんだけ人数居るんだから自分達で対処しろって感じだな」
俺の言葉で若干和むと、ファイから声が掛けられる。
「準備はいいかな?」
俺は一度、全員の顔を見て確認を取る。
皆、無言で頷いたのを確認してファイに返した。
「あぁ、問題無い」
「じゃあ行こうか」
ファイの言葉に蒼炎の牙の中隊は短く返事をして聖女の待つ最前列へと歩いて行った。
最前列へと到着すると、聖女とイヴァンが睨みながら、ダグラスは神妙な面持ちで俺達を出迎える。
ファイが短くダグラスと会話をして直ぐに二層へと繋がる階段を降り始めたので俺達もそれに続く。
「君達まですまないな」
「・・・いいよ」
此方も短い会話で切り上げ、ファイに続いて階段を降りて行く。
聖女やイヴァンの前を通り抜ける際、何か一悶着有るかと思っていたが、特に何も起こらずに肩透かしを食らった。
「本当に全然違うのな・・・」
二層に降りての俺の感想はこれだった。
一層とはまるで違う作りに話は聞いていたが驚きを隠せなかった。
二層は聞いていた通り、石造りの通路で出来ており、天井も聞いていた通り高い。
石は大きなブロック型で、それを綺麗に積み上げる様な形で通路が形成されている。
一層と同じで若干薄暗いが、光源を用意するまででも無いくらいの明るさだ。
「では、いつも通りやっていこう。ハル、後ろは頼むよ!」
「任せろ」
初めて名前を呼ばれた気がしたが、既に動き出したファイ達の中隊に直ぐに注意を向ける。
「よし、俺達も行こう」
俺の掛け声に全員、小さ目の声で「おうッ」と返事をして歩き出した。
殿の為、前の小隊と余り近過ぎても駄目なので少し距離を取りながら、それでいて何かあった際は直ぐに対処出来る位置取りをする。
「明莉、無理かもしれないけどあんまり緊張しないで。大丈夫だから」
「う、うん、大丈夫ッ」
あまり大丈夫では無さそうなので俺は敢えて軽い口調で続ける。
「篤を見なよ、あそこまでとは言わないけどあまり固くならない方がいい」
篤を見ると、「おぉ!正しくダンジョン!」等と興奮してキョロキョロと辺りを見回して楽しんでいる様に見えた。
こう言う時、普段と変わらずにいられるのは結構凄いなと関心しつつ、明莉の緊張を和らげる。
「とりあえず、ドエイン頼むぞ」
「あぁ、任せろ!」
何だか初めて頼もしく感じるドエインを筆頭にモニカ、ユーリーと声を掛けて行き、最後にアリシエーゼの元へ行く。
「こんな事になっちまってすまないな」
「・・・別に良い。結局、この階層にも魔物は居らなそうじゃしの」
そう言って鼻を一つ鳴らすアリシエーゼに釣られ俺も辺りを探る。
確かに一層と同じ様に辺りに魔物の臭いはしない。
「本当だ・・・」
一層と違い、この二層は通路となっている為、仮に敵が圧倒的な物量を投入して来た場合、あっという間にミンチにされる可能性が高いので、その点は大丈夫そうだと安堵した。
ファイ達も小隊毎に別れ、それぞれが警戒をしつつ、道が別れれば部隊を分けて同時に進行して行く。
それでいて、小隊に一人は居ると言っていたマッパーがマッピングも行いつつなので、本当にいつも通りにやっているのだろう。
道が別れた場合、小隊が一つその道を確認しに行き、行き止まりならそれはそれでマッピングをして戻って来る。
もし道が続く様ならある程度で見切りを付けてまた本隊に合流する。
その間本隊は進行速度を落として少しずつ進んで行く。
俺達は別れた小隊が戻って来るまで退路を確保する形で止まって待ち、戻って来たらその小隊と一緒に本隊にまた合流する。
別れた小隊が戻って来ると、俺達に手を挙げて合図を送って来るので、俺達もそれに倣い手を挙げて答える。
本隊に合流すると、戻って来た小隊が前方にハンドサインを送り調べた道が行き止まりかそれとも別で続いて行くのかを知らせていた。
それを受けてファイが随時戻るか進むかを判断していた。
「はぁ・・・凄い慣れてるなぁ」
俺は関心するが、アリシエーゼも同じだった。
「確かにのう。これはなかなかの動きじゃな」
他人を褒めるなんて珍しいなと思いつつそのまま会話を続けた。
「団員を育ててるなんて言ってたけど、本気でやってるみたいだな」
「そうじゃのう」
「だったら尚更分からないんだよなぁ」
「何がじゃ?」
「ファイは本気で魔界を攻略しようとしてる。聖女とは別に自分達の力で。まぁ他の傭兵団の力も借りようとしてるみたいだが」
「そうじゃのう。それが何じゃ?」
「だったら何でこのタイミングのこの攻略に参加したんだろうな」
俺は気になっていた。
今回の聖女の魔界攻略は、ドエインも話ていたが参加者は少ない。
人数が多くても必ずと言っていい程全滅して失敗しているこれに努力が実を結び結果が伴って来てノッているファイが参加したのか。
「そんな事か。何かしら理由があるとして、じゃったら何じゃと言うんじゃ」
「いや、まぁだから何だって話なんだが・・・」
そう言われるとそれまでなんだが、気になるものは気になる。
モヤりつつも探索を続けていると、右側に逸れる道へ向かった小隊が戻って来て本隊へとサインを送る。
そのサインが見覚えの無いものだったので気なっていると、直ぐにファイから止まれと号令が出て一度全員集まり状況を確認する。
どうも右に逸れた小隊が広場の様になっている場所を発見したらしい。
かなり広く、恐らく大隊でも収容出来るとの事であったので、一度確認に行く事になった。
周囲を警戒しつつその広場へと向かうと、通路の先に広がる広場が確かに確認出来た。
「広場の中には入ったかい?」
「いえ、この辺りまでです。どうやら奥へも通路は繋がっている様です」
ファイの言葉に小隊長の男が答える。
その言葉を聞きファイは各小隊で記録している地図を取り出させて広げさせる。
全ての地図を確認しつつ思案し、ファイは答えを出した。
「一度ここの安全を確認しよう。ミーシャの第三小隊は広間を確認。奥の通路は軽く様子を窺うだけでいい」
「はいッ」
ファイからの命令に短く答えて、ミーシャは小隊に準備をさせ始める。
すると、俺達がやって来た方から足音や話し声が聞こえてくる。
「聖女様達が来たか。第四小隊は聖女様達にこの広間の事と、此方から合図が出たら広間に入って来る様に伝えて戻って来てくれ」
「了解です!」
第四小隊もファイの命令を受けて直ぐに行動を起こした。
第三小隊が広間へと入って行くのを固唾を呑んで見守っていたが、暫くして広間の中から問題無しの合図があり、ファイが警戒態勢でその場で待機の合図を送ると、ファイが大きく息を吐いて緊張を少し解いた。
「ふぅ・・・そこの広間、何とか使えそうだね」
ファイの笑顔に残った団員は一様に安堵の表情を浮かべる。
第四小隊がそうこうしている間に戻って来てファイに報告をした。
「お伝えしました。承知したとの事です」
「うん、ありがとう。じゃあ行こうか、奥の通路も詳しく調べたいし」
俺達はそのまま広間へと入って行き、辺りを確認していく。
特にトラップも無さそうなので聖女達が入って来た通路に見えるまで待機して、少し状況を整理する。
「通路は二箇所。聖女様達と合流したら直ぐに通路の先回りを確認する。僕の第一と第三、後はハル達が正面奥、残りは左側を確認しに行こう。そっちの指揮は任せたよ、ディアナ」
「はッ」
ファイの言葉にディアナは背筋を伸ばして答えるが、こうして見ると傭兵団と言うより軍隊だなと思った。
聖女達が通路に見え始めたので、ファイが合図を送り広間へ引き入れる。
合流すると直ぐにファイが状況を報告してそのまま蒼炎の牙が二箇所の通路を確認する事になり、部隊を分けて対応を始めた。
通路は今までと同じくらいの広さで、小隊三つ程なら並んで進めるが、俺達は戦闘をミーシャ率いる第三小隊にして、後は俺達とファイ達である程度固まって進んだ。
通路は入って暫く進むと右に折れており、戦闘のミーシャが慎重に進んで確認し、合図の後に俺達が続いて行く。
そこからしばらく進むと、通路がそこで終わっていた。行き止まりだった。
「特に仕掛けなども有りません」
ミーシャの報告にファイは頷き、一旦広間に戻ろうと言い踵を返す。
俺達も後に続き歩き始めたその時、突然身体がグラりと揺れた。
地震?
と思ったが、その瞬間に視界が暗転していた。
0
お気に入りに追加
50
あなたにおすすめの小説
ペーパードライバーが車ごと異世界転移する話
ぐだな
ファンタジー
車を買ったその日に事故にあった島屋健斗(シマヤ)は、どういう訳か車ごと異世界へ転移してしまう。
異世界には剣と魔法があるけれど、信号機もガソリンも無い!危険な魔境のど真ん中に放り出された島屋は、とりあえずカーナビに頼るしかないのだった。
「目的地を設定しました。ルート案内に従って走行してください」
異世界仕様となった車(中古車)とペーパードライバーの運命はいかに…

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

クラスまるごと異世界転移
八神
ファンタジー
二年生に進級してもうすぐ5月になろうとしていたある日。
ソレは突然訪れた。
『君たちに力を授けよう。その力で世界を救うのだ』
そんな自分勝手な事を言うと自称『神』は俺を含めたクラス全員を異世界へと放り込んだ。
…そして俺たちが神に与えられた力とやらは『固有スキル』なるものだった。
どうやらその能力については本人以外には分からないようになっているらしい。
…大した情報を与えられてもいないのに世界を救えと言われても…
そんな突然異世界へと送られた高校生達の物語。

加護とスキルでチートな異世界生活
どど
ファンタジー
高校1年生の新崎 玲緒(にいざき れお)が学校からの帰宅中にトラックに跳ねられる!?
目を覚ますと真っ白い世界にいた!
そこにやってきた神様に転生か消滅するかの2択に迫られ転生する!
そんな玲緒のチートな異世界生活が始まる
初めての作品なので誤字脱字、ストーリーぐだぐだが多々あると思いますが気に入って頂けると幸いです
ノベルバ様にも公開しております。
※キャラの名前や街の名前は基本的に私が思いついたやつなので特に意味はありません

のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】
一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。
追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。
無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。
そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード!
異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。
【諸注意】
以前投稿した同名の短編の連載版になります。
連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。
なんでも大丈夫な方向けです。
小説の形をしていないので、読む人を選びます。
以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。
disりに見えてしまう表現があります。
以上の点から気分を害されても責任は負えません。
閲覧は自己責任でお願いします。
小説家になろう、pixivでも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる