104 / 335
第3章:雷速姫と迷宮街編
第104話:ホルスの街
しおりを挟む
そんなこんなで、目が覚めてからは体調的に絶好調となったので、次の日には通常通りの道程でホルスに向けて進んだ。
森の中はどうかは分からないが、平原の奥の方に展開するダリス領軍の何処ぞの大隊だか中隊が展開している場所もチラホラあり、何となく前線に近付いていると言うのが、否が応無しに雰囲気として感じ取れた。
「明日には着くか?」
俺はドエインに近付く様に馬を操りながら言う。
「そうだなぁ、今日は野営するとして、明日の朝から飛ばせば明日の夕刻から夜には着くと思うぞ」
「まぁ別に急いで無いし、飛ばさなくてもいいんだけどさ」
「そうかじゃあ、明後日の昼くらいには着くんじゃねぇかな」
「了解」
結局俺達はその日と次の日の二回野営をして、ホルスへと到着した。
「うぉぉぉッ!?すっげぇ!!」
ホルスの外郭部へと到着して見るホルスの全体像は俺が想像していたものより遥かに大きかった。
遠目からホルスの街を確認出来る様になってから、想像よりも大きそうだとは思っていたが、間近で見るとそれは想像を超え、俺は唯々圧倒された。
「ダンジョンを囲む様に人が集まって出来た街って言って無かったか!?」
俺はテンション高めでアリシエーゼに言った。
「じゃから、そうやって傭兵や兵士が集まり、そこに商人が集まり、金が循環してまた人が集まる。そうやってここまで成長したんじゃろ」
「それにしてもデカ過ぎるだろ!?」
そう、想像では千や二千くらいの規模で人が集まり街を形成していると思っていたのだが、街の大きさを見る限り、ここで暮らすのは数万、下手したら十万程行くのではないだろうかと言うくらいデカい。
ホルスの街は、ダンジョンの裏側には一般人は立ち入れない様になっており、各国のもその辺りは一切の軍事拠点等を構える事を禁止する条約を取り決めている。
これは、各国が目の届かないところて勝手にダンジョンの入口等を増やされても困るだとかそう言う理由らしいが、詳しい事は分かっていない。
そんな理由がある為、ホルスの街は、ダンジョンから片側、ダリス領側から見ると右側にしか街を作る事が出来ず、今俺達は、ダンジョン近くの入口付近に居るが、そこから街の外壁は数キロに渡って存在しており、ハッキリ言って全容はここからでは掴みきれない。
外壁の外側にもズラリと建物が並んでおり、ホルスの街の中と外の境界線が分からなかった。
「この外側もホルスの街って事でいいんだよな?」
「あぁ、ここ数年は日に日にホルスに来る奴らが増えてるらしくってな。そんなもんだからとてもじゃ無いが間に合わなくて、外壁の移築何てもう何年もやってねぇって話だ」
俺の問いにドエインが答える。
そうなると、やはりこのホルスの街の人口は数万では効きそうに無かった。
「とりあえず宿取って落ち着いて今後の方針とか決めるか」
「おいおい、外壁の内側は勿論だが、外側の宿だって入れるか分からんぞ?」
「あ、そうなの?」
そんな事まったく想定していなかったのでどうしようか悩む。
「一時的な寝泊まりはキャンプを設置出来る所が、街の一番奥にあった筈だぜ」
そう言ってドエインはダンジョンとは反対側の街の遥か先を指差す。
いやぁ、ダンジョンからどれだけ離れてんだよ、面倒臭い・・・
「・・・いいよ、とりあえず外壁の内側の宿を探そう」
「いやいや、絶対空いてねぇって!」
「空いて無かったら空きを作ればいいだろ」
「はぁ?どうやって―――って、旦那なら可能なのか・・・」
「まぁ、そう言う事」
ドエインも漸く慣れて来た様で、それ以上は何も言わなかった。
俺達は先ずは拠点となる宿を探すべく、ホルスの街の内郭部へと馬を進めた。
外壁の外側の外郭部は外壁の外側にあると言うだけで、建物自体は比較的新しいく出来た物の為、なんと言うか、スラム街と言うよりは本当に普通の街並みだった。
街中の道自体はちゃんと整備されており、今も尚拡張工事がされている様子が見受けられる。
ドエインの説明によると、ホルスの街の作りはダンジョンに近い程立地が良いとされ、ダンジョン近辺は全て、軍関連の施設が締めているらしかった。
これはダリス、エバンシオ王国側、ハイスタード帝国側も変わらないらしい。
その軍事施設がある区画を零番街として、そこからダンジョンから離れる毎にある一定の感覚で区切って、壱番街、弍番街、参番街と続いていく様だ。
ちなみに、外壁の内側は内壱番街、外側は外壱番街と言うカタチで区切っており、外壁に一定の間隔で色の違う石材を使って区画の境界を示しているらしく、更に分かりやすく、その境界を示す辺りの外壁の上に壱、弍、参と数字が書かれた看板のような物が掲げられているらしい。
「それと、内側にダリス、エバンシオ側と、帝国側の領土を隔てる境界があるから、絶対にそれを超えるなよ」
「その境界線は見て分かるのか?」
「あぁ、見れば分かる。外壁とまではいかないが、バリケードがずっと奥まで張り巡らされてるからな」
ダンジョンの丁度中央あたりから、街の端までをバリケードで隔てて、それを境界線としているらしいが、何とも危うい境界だと思わずにはいられなかった。
だってそうだろう。バリケード程度の物などその気になれば飛び越える事が可能な、防衛面で見れば何の役にも立たない代物だ。
つまり、ハイスタード帝国が今その気になって仕掛けて来たら、侵入を防ぐ手立てが無いと言う事だ。
勿論、そう言った事への対応を含めて軍は常に警戒して、防衛網なりを敷いているんだろうが、奇襲された場合の初手としては完全に後手に回るんだろうなと思った。
ただそれは、ハイスタード帝国側にも言える事で、条約やその他、暗黙の了解と言うか現地でのローカルルール的な物の上に成り立ついつ崩壊するか分からない代物な気がしてならなかった。
別に今はそんな戦争のゴタゴタに付き合う気も無いし、俺達が滞在中にいきなり何年も小康状態だったものが大きく動くかと言われると首を傾げざるを得ないのも確かだった。
「とりあえず、何番街くらいまでが一等地なんだ?」
「さぁ、伍番街辺りなんじゃねーか?」
「・・・お前、適当に言ってるだろ?」
「だ、だってしょうがねぇじゃねぇか、俺は別にホルス方面担当じゃ無く、北の関所担当だったんだぜ!?」
「まぁ、それもそうか」
一区画も結構な大きさがあるので、とりあえずは壱番街から順に奥へと探して行く事にしようと思っていたが、それもドエインにより待ったが掛けられた。
「そりゃ無駄だぜ。内壱番街から内参番街くらいまでは貴族の別宅やら大商家の事務所やらばっかりだと思うぜ」
「あー、なるほど・・・」
そうなると、肆番街以降かとも思ったが、伍番街、陸番街とかよりも、外壱番街の方が価値が高いんじゃないかと思い始めた。
だって、外壁があるか無いかってだけだし、外壱番街の方がダンジョンからの距離で考えたら近い訳だし
案の定、ドエインに確認するとそうらしいので、もう自力で探し回るより、俺が情報収集して一番条件の良さそうな場所を探して宿を直接取るのが一番速いと判断した。
アリシエーゼ達にそれを伝え、俺は一先ず、外壱番街から当たることにした。
俺について行きたいとアリシエーゼはごねたが、丁重にお断りしておいた。
「な、何か疚しい事でもするつもりじゃろ!?―――あッ、待て!無視するなッ」
阿呆を相手にしている暇なんてねぇんだよ
丁度、外壱番街と外弍番街の間に居たので、馬を預けて俺は駆け出す。
先ずはここに長く居そうな傭兵とかを当たるか
直接話すと、新参者等と思われるとガセを掴まされる可能性もある為、直接情報を抜きだすつもりで外壱番街に入る。
サッと見渡し、ここで一番古参の傭兵団の事務所や生活をする建物の場所の情報を抜き取りつつ、その情報を元に歩を進める。
色々と商店等を見てみたい所であったが、まずは拠点を確保してからだと自分に言い聞かせて、辿り着いた建物は石造りのかなり大きな建物の前だった。
「なになに、龍の尻尾・・・うわぁ、ベッタベタじゃん」
一階の中央に大きな扉が備え付けられており、その扉の真上に、木製の横長の看板が取り付けられていて、そこにこの建物のを所有している傭兵団の団名が刻まれていた。
龍の尻尾がなんぼのもんじゃい!と俺は勢い良く中央の両開きの扉を押し開いて建物の中に入った。
「・・・おぉッ、なんじゃこりゃ!」
建物の中に入ると、そこは俺の想像する傭兵団の事務所とはまったくの別世界が広がっていた。
俺は、傭兵団の事務所なんだから、中には屈強な男共が中に詰めており、昼間っから酒を浴びながら飲んで、下品な笑いを響かせていて、俺が入ってくるなりどこの団のもんじゃい!とか言って絡んでくるのを想像していた。
次いでに、ダーツの的があって、投げ矢の代わりにナイフを投げているイメージも付け足しておく。
それが、正反対と言うか何と言うか・・・
一言で言うならば冒険者ギルドの様相を呈していた。
入って左側の壁に大きな掲示板の様なものが三つ並べられており、そこには木板に書かれた依頼書の様なものが無数に掲示されている。
右側はL字型のカウンターテーブルが設置されていて、カウンターの中には三人の受付嬢の様な女性が居り、そこで傭兵風の者達と何やら色々と話をしていた。
これで、一階部分の約、四分の一程で、カウンターと掲示板の奥には事務作業だろうか、そんな事をしていそうな、此方は男女混じった人達が木製の机を並べて八人程居て忙しなく作業を行っている。
これで一階の半分程で、残りはカウンターの後ろに部屋等がありそうだが、扉が閉じられおり、中がどうなっているのかは確認出来なかった。
「完全に冒険者ギルドだろ・・・」
呆気に取られていたが、本来の目的を思い出し、俺は右側の受付の様な場所の列に並んだ。
俺の前に五人並んで居たが、受付嬢が一人又は一組に費やす時間はマチマチではあるものの、次に呼ばれる番になったので、そこまで掛かる物では無いんだなと思った。
そしてここで気付く。
あれ、何で並んでるんだ?
情報引き出すだけなら、別に並ぶ必要無くね?
やっちまったと思ってる所でお呼びが掛かったので、仕方無くそちらに向かう。
カウンターの一番奥の女性が手を上げているので其方に歩き出すと、急に右肩を引かれてたたらを踏んだ。
「おっと・・・」
そうしている隙に後ろから男が俺を追い抜き、手を挙げていた女性の元に向かって行った。
え、なに??
一瞬、何が起こったのか理解出来なかったが、どうやら俺はかなり強引に追い抜きと言うか、横入りをされた様だった。
これは、初冒険者ギルドに行ったら、先輩冒険者に絡まれた異世界転移者イベントって事でいいよな?
森の中はどうかは分からないが、平原の奥の方に展開するダリス領軍の何処ぞの大隊だか中隊が展開している場所もチラホラあり、何となく前線に近付いていると言うのが、否が応無しに雰囲気として感じ取れた。
「明日には着くか?」
俺はドエインに近付く様に馬を操りながら言う。
「そうだなぁ、今日は野営するとして、明日の朝から飛ばせば明日の夕刻から夜には着くと思うぞ」
「まぁ別に急いで無いし、飛ばさなくてもいいんだけどさ」
「そうかじゃあ、明後日の昼くらいには着くんじゃねぇかな」
「了解」
結局俺達はその日と次の日の二回野営をして、ホルスへと到着した。
「うぉぉぉッ!?すっげぇ!!」
ホルスの外郭部へと到着して見るホルスの全体像は俺が想像していたものより遥かに大きかった。
遠目からホルスの街を確認出来る様になってから、想像よりも大きそうだとは思っていたが、間近で見るとそれは想像を超え、俺は唯々圧倒された。
「ダンジョンを囲む様に人が集まって出来た街って言って無かったか!?」
俺はテンション高めでアリシエーゼに言った。
「じゃから、そうやって傭兵や兵士が集まり、そこに商人が集まり、金が循環してまた人が集まる。そうやってここまで成長したんじゃろ」
「それにしてもデカ過ぎるだろ!?」
そう、想像では千や二千くらいの規模で人が集まり街を形成していると思っていたのだが、街の大きさを見る限り、ここで暮らすのは数万、下手したら十万程行くのではないだろうかと言うくらいデカい。
ホルスの街は、ダンジョンの裏側には一般人は立ち入れない様になっており、各国のもその辺りは一切の軍事拠点等を構える事を禁止する条約を取り決めている。
これは、各国が目の届かないところて勝手にダンジョンの入口等を増やされても困るだとかそう言う理由らしいが、詳しい事は分かっていない。
そんな理由がある為、ホルスの街は、ダンジョンから片側、ダリス領側から見ると右側にしか街を作る事が出来ず、今俺達は、ダンジョン近くの入口付近に居るが、そこから街の外壁は数キロに渡って存在しており、ハッキリ言って全容はここからでは掴みきれない。
外壁の外側にもズラリと建物が並んでおり、ホルスの街の中と外の境界線が分からなかった。
「この外側もホルスの街って事でいいんだよな?」
「あぁ、ここ数年は日に日にホルスに来る奴らが増えてるらしくってな。そんなもんだからとてもじゃ無いが間に合わなくて、外壁の移築何てもう何年もやってねぇって話だ」
俺の問いにドエインが答える。
そうなると、やはりこのホルスの街の人口は数万では効きそうに無かった。
「とりあえず宿取って落ち着いて今後の方針とか決めるか」
「おいおい、外壁の内側は勿論だが、外側の宿だって入れるか分からんぞ?」
「あ、そうなの?」
そんな事まったく想定していなかったのでどうしようか悩む。
「一時的な寝泊まりはキャンプを設置出来る所が、街の一番奥にあった筈だぜ」
そう言ってドエインはダンジョンとは反対側の街の遥か先を指差す。
いやぁ、ダンジョンからどれだけ離れてんだよ、面倒臭い・・・
「・・・いいよ、とりあえず外壁の内側の宿を探そう」
「いやいや、絶対空いてねぇって!」
「空いて無かったら空きを作ればいいだろ」
「はぁ?どうやって―――って、旦那なら可能なのか・・・」
「まぁ、そう言う事」
ドエインも漸く慣れて来た様で、それ以上は何も言わなかった。
俺達は先ずは拠点となる宿を探すべく、ホルスの街の内郭部へと馬を進めた。
外壁の外側の外郭部は外壁の外側にあると言うだけで、建物自体は比較的新しいく出来た物の為、なんと言うか、スラム街と言うよりは本当に普通の街並みだった。
街中の道自体はちゃんと整備されており、今も尚拡張工事がされている様子が見受けられる。
ドエインの説明によると、ホルスの街の作りはダンジョンに近い程立地が良いとされ、ダンジョン近辺は全て、軍関連の施設が締めているらしかった。
これはダリス、エバンシオ王国側、ハイスタード帝国側も変わらないらしい。
その軍事施設がある区画を零番街として、そこからダンジョンから離れる毎にある一定の感覚で区切って、壱番街、弍番街、参番街と続いていく様だ。
ちなみに、外壁の内側は内壱番街、外側は外壱番街と言うカタチで区切っており、外壁に一定の間隔で色の違う石材を使って区画の境界を示しているらしく、更に分かりやすく、その境界を示す辺りの外壁の上に壱、弍、参と数字が書かれた看板のような物が掲げられているらしい。
「それと、内側にダリス、エバンシオ側と、帝国側の領土を隔てる境界があるから、絶対にそれを超えるなよ」
「その境界線は見て分かるのか?」
「あぁ、見れば分かる。外壁とまではいかないが、バリケードがずっと奥まで張り巡らされてるからな」
ダンジョンの丁度中央あたりから、街の端までをバリケードで隔てて、それを境界線としているらしいが、何とも危うい境界だと思わずにはいられなかった。
だってそうだろう。バリケード程度の物などその気になれば飛び越える事が可能な、防衛面で見れば何の役にも立たない代物だ。
つまり、ハイスタード帝国が今その気になって仕掛けて来たら、侵入を防ぐ手立てが無いと言う事だ。
勿論、そう言った事への対応を含めて軍は常に警戒して、防衛網なりを敷いているんだろうが、奇襲された場合の初手としては完全に後手に回るんだろうなと思った。
ただそれは、ハイスタード帝国側にも言える事で、条約やその他、暗黙の了解と言うか現地でのローカルルール的な物の上に成り立ついつ崩壊するか分からない代物な気がしてならなかった。
別に今はそんな戦争のゴタゴタに付き合う気も無いし、俺達が滞在中にいきなり何年も小康状態だったものが大きく動くかと言われると首を傾げざるを得ないのも確かだった。
「とりあえず、何番街くらいまでが一等地なんだ?」
「さぁ、伍番街辺りなんじゃねーか?」
「・・・お前、適当に言ってるだろ?」
「だ、だってしょうがねぇじゃねぇか、俺は別にホルス方面担当じゃ無く、北の関所担当だったんだぜ!?」
「まぁ、それもそうか」
一区画も結構な大きさがあるので、とりあえずは壱番街から順に奥へと探して行く事にしようと思っていたが、それもドエインにより待ったが掛けられた。
「そりゃ無駄だぜ。内壱番街から内参番街くらいまでは貴族の別宅やら大商家の事務所やらばっかりだと思うぜ」
「あー、なるほど・・・」
そうなると、肆番街以降かとも思ったが、伍番街、陸番街とかよりも、外壱番街の方が価値が高いんじゃないかと思い始めた。
だって、外壁があるか無いかってだけだし、外壱番街の方がダンジョンからの距離で考えたら近い訳だし
案の定、ドエインに確認するとそうらしいので、もう自力で探し回るより、俺が情報収集して一番条件の良さそうな場所を探して宿を直接取るのが一番速いと判断した。
アリシエーゼ達にそれを伝え、俺は一先ず、外壱番街から当たることにした。
俺について行きたいとアリシエーゼはごねたが、丁重にお断りしておいた。
「な、何か疚しい事でもするつもりじゃろ!?―――あッ、待て!無視するなッ」
阿呆を相手にしている暇なんてねぇんだよ
丁度、外壱番街と外弍番街の間に居たので、馬を預けて俺は駆け出す。
先ずはここに長く居そうな傭兵とかを当たるか
直接話すと、新参者等と思われるとガセを掴まされる可能性もある為、直接情報を抜きだすつもりで外壱番街に入る。
サッと見渡し、ここで一番古参の傭兵団の事務所や生活をする建物の場所の情報を抜き取りつつ、その情報を元に歩を進める。
色々と商店等を見てみたい所であったが、まずは拠点を確保してからだと自分に言い聞かせて、辿り着いた建物は石造りのかなり大きな建物の前だった。
「なになに、龍の尻尾・・・うわぁ、ベッタベタじゃん」
一階の中央に大きな扉が備え付けられており、その扉の真上に、木製の横長の看板が取り付けられていて、そこにこの建物のを所有している傭兵団の団名が刻まれていた。
龍の尻尾がなんぼのもんじゃい!と俺は勢い良く中央の両開きの扉を押し開いて建物の中に入った。
「・・・おぉッ、なんじゃこりゃ!」
建物の中に入ると、そこは俺の想像する傭兵団の事務所とはまったくの別世界が広がっていた。
俺は、傭兵団の事務所なんだから、中には屈強な男共が中に詰めており、昼間っから酒を浴びながら飲んで、下品な笑いを響かせていて、俺が入ってくるなりどこの団のもんじゃい!とか言って絡んでくるのを想像していた。
次いでに、ダーツの的があって、投げ矢の代わりにナイフを投げているイメージも付け足しておく。
それが、正反対と言うか何と言うか・・・
一言で言うならば冒険者ギルドの様相を呈していた。
入って左側の壁に大きな掲示板の様なものが三つ並べられており、そこには木板に書かれた依頼書の様なものが無数に掲示されている。
右側はL字型のカウンターテーブルが設置されていて、カウンターの中には三人の受付嬢の様な女性が居り、そこで傭兵風の者達と何やら色々と話をしていた。
これで、一階部分の約、四分の一程で、カウンターと掲示板の奥には事務作業だろうか、そんな事をしていそうな、此方は男女混じった人達が木製の机を並べて八人程居て忙しなく作業を行っている。
これで一階の半分程で、残りはカウンターの後ろに部屋等がありそうだが、扉が閉じられおり、中がどうなっているのかは確認出来なかった。
「完全に冒険者ギルドだろ・・・」
呆気に取られていたが、本来の目的を思い出し、俺は右側の受付の様な場所の列に並んだ。
俺の前に五人並んで居たが、受付嬢が一人又は一組に費やす時間はマチマチではあるものの、次に呼ばれる番になったので、そこまで掛かる物では無いんだなと思った。
そしてここで気付く。
あれ、何で並んでるんだ?
情報引き出すだけなら、別に並ぶ必要無くね?
やっちまったと思ってる所でお呼びが掛かったので、仕方無くそちらに向かう。
カウンターの一番奥の女性が手を上げているので其方に歩き出すと、急に右肩を引かれてたたらを踏んだ。
「おっと・・・」
そうしている隙に後ろから男が俺を追い抜き、手を挙げていた女性の元に向かって行った。
え、なに??
一瞬、何が起こったのか理解出来なかったが、どうやら俺はかなり強引に追い抜きと言うか、横入りをされた様だった。
これは、初冒険者ギルドに行ったら、先輩冒険者に絡まれた異世界転移者イベントって事でいいよな?
0
お気に入りに追加
50
あなたにおすすめの小説
ペーパードライバーが車ごと異世界転移する話
ぐだな
ファンタジー
車を買ったその日に事故にあった島屋健斗(シマヤ)は、どういう訳か車ごと異世界へ転移してしまう。
異世界には剣と魔法があるけれど、信号機もガソリンも無い!危険な魔境のど真ん中に放り出された島屋は、とりあえずカーナビに頼るしかないのだった。
「目的地を設定しました。ルート案内に従って走行してください」
異世界仕様となった車(中古車)とペーパードライバーの運命はいかに…

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜
EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」
優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。
傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。
そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。
次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。
最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。
しかし、運命がそれを許さない。
一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか?
※他サイトにも掲載中

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

クラスまるごと異世界転移
八神
ファンタジー
二年生に進級してもうすぐ5月になろうとしていたある日。
ソレは突然訪れた。
『君たちに力を授けよう。その力で世界を救うのだ』
そんな自分勝手な事を言うと自称『神』は俺を含めたクラス全員を異世界へと放り込んだ。
…そして俺たちが神に与えられた力とやらは『固有スキル』なるものだった。
どうやらその能力については本人以外には分からないようになっているらしい。
…大した情報を与えられてもいないのに世界を救えと言われても…
そんな突然異世界へと送られた高校生達の物語。

加護とスキルでチートな異世界生活
どど
ファンタジー
高校1年生の新崎 玲緒(にいざき れお)が学校からの帰宅中にトラックに跳ねられる!?
目を覚ますと真っ白い世界にいた!
そこにやってきた神様に転生か消滅するかの2択に迫られ転生する!
そんな玲緒のチートな異世界生活が始まる
初めての作品なので誤字脱字、ストーリーぐだぐだが多々あると思いますが気に入って頂けると幸いです
ノベルバ様にも公開しております。
※キャラの名前や街の名前は基本的に私が思いついたやつなので特に意味はありません

のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる