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第三十六話 回想ー神と魔王の争い 2/4
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遥か昔、神は己の中にある負の感情を不要のものとして切り離した。そこから生まれたのが今の魔王である。神は魔王を地上ではなく、地下深くへと落とした。魔王が光の届かない地下で眠っている間に地上には人間が現れ、彼らは様々な感情を持った。その中で負の感情は地下の魔王の元へと流れ込み彼は同族を生み出した。おそらく最初の理由は寂しさを紛らわせるため。けれど、人間の負の感情は増える一方であり、魔族の数も力も増大した。数が増えれば考え方の違いも出てくる。その中で地上を更には神のいる天界をも支配しようと提案する者が現れたが、興味のなかった魔王は取り合わなかった。不満を抱いた魔族たちは地上へと向かい、そこで人間たちに危害を加えてしまった。当然待っていたのは神に遣わされた女神たちの制裁。上手く人間社会に紛れ込んだ者もいたが、それはごく少数。大半は魔の者として人間を唆し、殺め悪逆の限りを尽くした者は女神や腕のたつ人間たちにより倒された。
それを利用した者がいる。地下深くにいた魔王へ“同胞が神により次々に殺された”と報告した。理由を問うても相手は一方的に魔族への殺戮の命を神が下したとしか話さない。それが相手の力なのか“神は貴方を不要なものとして捨てた”“さらには貴方の同胞までも不要な存在として排除している”“そんな神に復讐しなくていいんですか?”次々に浴びせられる言葉に魔王の心は次第に侵食されていく。彼は同胞殺しの復讐として神へ戦争を仕掛けた。魔族の軍勢を迎え撃ったのはティルラを含む四人の女神と手を貸した人間たち。地形が変わるほど大きな争いだった。魔族たちの数は減り、女神たちも疲弊したところに魔王は地上へと姿を現した。けれど、負の感情で形成されている彼の体は地上では耐えられなかった。現れてから僅か数十分の内に体の一部が溶けてきたのだ。歩くこともままならず、呼吸も浅くなる魔王はその場に膝を付いた。死を覚悟した魔王を囲んだティルラたちの上空から降りてきたのは神だった。
『主上、何故この地へと降りてきたのですか⁉ ここは貴方にとって毒も同じ。お身体が耐えられません!』
ティルラが慌てたように言う。それを片手で制して神は前へ出る。魔王は浅い呼吸のまま神を見上げて睨んだ。相手は困ったように眉を下げながら『私の言葉が足りなかったね、ごめん』と一言謝罪を口にした。
何故、神が謝罪の言葉を口にするのか理解出来ずに魔王は疑問符を浮かべた。言葉を発しようにも上手く呼吸が出来ずに口を開くだけですぐに閉じてしまった。
『私はお前を切り離した。その直後にお前の体は天界の神気に耐え切れずに消滅しかけていたんだ。だから私は地下へとお前を落とすことにした。お前が生きてくれることを願って……』
それを利用した者がいる。地下深くにいた魔王へ“同胞が神により次々に殺された”と報告した。理由を問うても相手は一方的に魔族への殺戮の命を神が下したとしか話さない。それが相手の力なのか“神は貴方を不要なものとして捨てた”“さらには貴方の同胞までも不要な存在として排除している”“そんな神に復讐しなくていいんですか?”次々に浴びせられる言葉に魔王の心は次第に侵食されていく。彼は同胞殺しの復讐として神へ戦争を仕掛けた。魔族の軍勢を迎え撃ったのはティルラを含む四人の女神と手を貸した人間たち。地形が変わるほど大きな争いだった。魔族たちの数は減り、女神たちも疲弊したところに魔王は地上へと姿を現した。けれど、負の感情で形成されている彼の体は地上では耐えられなかった。現れてから僅か数十分の内に体の一部が溶けてきたのだ。歩くこともままならず、呼吸も浅くなる魔王はその場に膝を付いた。死を覚悟した魔王を囲んだティルラたちの上空から降りてきたのは神だった。
『主上、何故この地へと降りてきたのですか⁉ ここは貴方にとって毒も同じ。お身体が耐えられません!』
ティルラが慌てたように言う。それを片手で制して神は前へ出る。魔王は浅い呼吸のまま神を見上げて睨んだ。相手は困ったように眉を下げながら『私の言葉が足りなかったね、ごめん』と一言謝罪を口にした。
何故、神が謝罪の言葉を口にするのか理解出来ずに魔王は疑問符を浮かべた。言葉を発しようにも上手く呼吸が出来ずに口を開くだけですぐに閉じてしまった。
『私はお前を切り離した。その直後にお前の体は天界の神気に耐え切れずに消滅しかけていたんだ。だから私は地下へとお前を落とすことにした。お前が生きてくれることを願って……』
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