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第二十三話 ミラ 2/2
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ピィー、ピィー! とピー助が威嚇するように鳴く。クルバの前では鳴かなかったことからピー助はミラを敵として認識しているようだ。
「むっ、君はセシリヤさんのなんですか? 内容によっては……」
暗い表情を見せたミラにピー助が再びピィー、ピィー! と鳴いた。もちろん、セシリヤにはピー助が何と言っているのかは理解できない。
「……」
「ちょっとミラ?」
無言になり俯いたミラを心配したセシリヤが覗き込む。
「……の……が」
「ミラ?」
もう一度名前を呼ぶと、ミラは勢いよく顔を上げた。少し涙目になっている。
「僕の方がセシリヤさんと先に出逢ってたんですー! あとから出会ったくせにでかい顔しないでくださいー!」
「……はい?」
(ええ……⁉)
予想外の言葉に間の抜けた声がセシリヤから零れた。その間にもピー助とミラの言い争いは続く。ミラに動物言語が理解できたことに驚きだが、会話の内容が内容だけにセシリヤは居たたまれない。ここがクエスト管理協会の支部だということをミラは忘れているのだろう。セシリヤが助けを求めるように受付の女性を見た。丁度こちらを見ていた一人と目が合う。
女性は周囲を見渡して目が合ったのは自分なのか、と確認をすると諦めたように肩を落として立ち上がった。正直に言えば巻き込まれたくないだろうな、とセシリヤはこちらへ歩いてくる女性に頭を下げた。
「あの……ミラ様」
「え? ああ、うん。何?」
セシリヤの時とは異なる態度にピー助が思わずピッ⁉ と声を零した。ミラは柔らかな表情のまま女性を見つめる彼に一瞬、見惚れていた女性は反応が遅れた。
「はっ、いえ。立ち話もなんですから、報告は別室を用意しますのでそこで窺ってはいかがでしょうか」
提案にミラは人差し指を顎に添えて「そうだね。受付の前で失礼したよ、ありがとう」と言えば一気に女性の頬が赤く染まる。上ずった声で「とんでもないです」と言いながら走り去っていった。それを見送っていたセシリヤは目をしばたたかせてミラを見た。
(ミラって普通にしていれば顔だけはいいんだよね……顔だけは)
セシリヤと話していた時とはまるで別人のようだ。セシリヤが訪れる前までは支部の人たちには無口なクエスト管理協会本部の青年に映っただろう。黄色い悲鳴が上がったに違いない。
(本当はどちらが彼の本性なんだろうか……)
ニコニコと笑みを浮かべている人懐っこい方とクールな側面を持つ方。クールな方は見方を変えれば全く興味を持っていない相手に対しての顔だとも考えられる。
考えながらジッとミラの方を凝視していたらしい。視線に気付いた彼がセシリヤを見た。先ほどまでの冷静な面持ちではなく、満々の笑みを向けてくる。
(調子狂うのよね……この笑顔)
「セシリヤさんが僕の方を見つめて……そんな見惚れるくらいカッコいいですか?」
「ううん。全然」
「そ、そんなぁ……」
満面の笑みでそう返すとミラはダメージを受けたようで、肩を落としてしまう。セシリヤから見れば情けない姿にしか映らないのだが、受付の女性陣からすれば愁いを帯びた表情はツボに入るらしい。黄色い悲鳴が上がった。
「ミラ様、別室の準備が整いましたのでこちらへ」
「ありがとう。セシリヤさん、行こうか」
「……あ、うん」
セシリヤたちは受付の女性が用意した別室へと移動した。
「むっ、君はセシリヤさんのなんですか? 内容によっては……」
暗い表情を見せたミラにピー助が再びピィー、ピィー! と鳴いた。もちろん、セシリヤにはピー助が何と言っているのかは理解できない。
「……」
「ちょっとミラ?」
無言になり俯いたミラを心配したセシリヤが覗き込む。
「……の……が」
「ミラ?」
もう一度名前を呼ぶと、ミラは勢いよく顔を上げた。少し涙目になっている。
「僕の方がセシリヤさんと先に出逢ってたんですー! あとから出会ったくせにでかい顔しないでくださいー!」
「……はい?」
(ええ……⁉)
予想外の言葉に間の抜けた声がセシリヤから零れた。その間にもピー助とミラの言い争いは続く。ミラに動物言語が理解できたことに驚きだが、会話の内容が内容だけにセシリヤは居たたまれない。ここがクエスト管理協会の支部だということをミラは忘れているのだろう。セシリヤが助けを求めるように受付の女性を見た。丁度こちらを見ていた一人と目が合う。
女性は周囲を見渡して目が合ったのは自分なのか、と確認をすると諦めたように肩を落として立ち上がった。正直に言えば巻き込まれたくないだろうな、とセシリヤはこちらへ歩いてくる女性に頭を下げた。
「あの……ミラ様」
「え? ああ、うん。何?」
セシリヤの時とは異なる態度にピー助が思わずピッ⁉ と声を零した。ミラは柔らかな表情のまま女性を見つめる彼に一瞬、見惚れていた女性は反応が遅れた。
「はっ、いえ。立ち話もなんですから、報告は別室を用意しますのでそこで窺ってはいかがでしょうか」
提案にミラは人差し指を顎に添えて「そうだね。受付の前で失礼したよ、ありがとう」と言えば一気に女性の頬が赤く染まる。上ずった声で「とんでもないです」と言いながら走り去っていった。それを見送っていたセシリヤは目をしばたたかせてミラを見た。
(ミラって普通にしていれば顔だけはいいんだよね……顔だけは)
セシリヤと話していた時とはまるで別人のようだ。セシリヤが訪れる前までは支部の人たちには無口なクエスト管理協会本部の青年に映っただろう。黄色い悲鳴が上がったに違いない。
(本当はどちらが彼の本性なんだろうか……)
ニコニコと笑みを浮かべている人懐っこい方とクールな側面を持つ方。クールな方は見方を変えれば全く興味を持っていない相手に対しての顔だとも考えられる。
考えながらジッとミラの方を凝視していたらしい。視線に気付いた彼がセシリヤを見た。先ほどまでの冷静な面持ちではなく、満々の笑みを向けてくる。
(調子狂うのよね……この笑顔)
「セシリヤさんが僕の方を見つめて……そんな見惚れるくらいカッコいいですか?」
「ううん。全然」
「そ、そんなぁ……」
満面の笑みでそう返すとミラはダメージを受けたようで、肩を落としてしまう。セシリヤから見れば情けない姿にしか映らないのだが、受付の女性陣からすれば愁いを帯びた表情はツボに入るらしい。黄色い悲鳴が上がった。
「ミラ様、別室の準備が整いましたのでこちらへ」
「ありがとう。セシリヤさん、行こうか」
「……あ、うん」
セシリヤたちは受付の女性が用意した別室へと移動した。
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