a pair of fate

みか

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【第二部】

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口元を手のひらで覆い、時折呻きながら『待て』と『やめろ』を繰り返す廉さん。眉を寄せて、かなり辛そうだ。

口元を隠されるとキスができない。
寂しくて、心臓のあたりがきゅっと痛む。


「ね、廉さん、キスしたいっ」


その手を掴むと、案外すんなり隠されていた口元は露わになる。
そこで何かが違うと思ったのは、廉さんの犬歯だった。


「っふ、ハァ、…」

「ぇ、」


かたちの良い口を大きく開き、ハァハァと荒い呼吸を繰り返している。そこから見えるのは、今までの比にならないくらい尖った犬歯。

いくらなんでも鋭すぎる。今までこんなに尖ってたっけ?
これじゃまるで、本物のオオカミ​───、

そこで廉さんが、目にも留まらぬ早さで、俺の両手首を頭上で一纏めにしてしまう。俺はボケっとし過ぎてなすがまま。



「え?え?」



ぐわっと大きく口を開けた廉さんの顔が近付く。
それがスローモーションのように見えて、俺は『あ、噛まれるな』と、どこか他人事の様に考えていた。

そして鋭い歯は、俺の左肩に突き刺さる。


「ッッッたぁ゛!!!!」


ぐっ、ぐっ...と、俺の肩を噛みちぎろうとするように繰り返し噛み付かれ、思わずベッドにボスボスと脚をばたつかせた。

いたい、痛い痛い痛い痛い痛い!!!!

痛いのに、暴れると本当に胴体と腕がバラバラになりそうで下手に動けない。


「痛い!廉さん!!いたい!!痛いって!!あぅ!!!」

「ん、…」


廉さんは俺の肩に噛み付いたまま、腰を揺すり始める。
痛いのと気持ちいいのが混ざって、頭がおかしくなりそうだ。

これ絶対、痕残る、どうしよう、本当に廉さんに食べられる。



「やぁ、あっ、れんさん、いたぃ!!」

「かわいい」



べろりと肩の血を舐めとった廉さんが、うっとりした顔で微笑んだ。

なにその顔、ぜったい俺の声聴こえてないじゃん…。
目も、俺と合ってるけど、なんか俺を見ていない感じがする。
廉さんだけど、違う。

変だ、廉さんが変だ!!
さっきまで普通だったのに。なんでなんで?!

朦朧とする頭で、必死に記憶のページを捲る。

そこで一つ、中学生の頃に読んだ図鑑の内容を思い出した。
それは、第二の性についてまとめられた図鑑の、アルファの生態ページに書いてあった内容。

『発情期は、Ωだけではなく、αにもある。それは《ラット》と呼ばれ、始まる原因は、主に番のヒート中のフェロモンによる誘発によるものがほとんど。また、─』


「…、」


大変な事に気付き、抽挿は続けられているのに、もう声も出なかった。

─もしかして、これ、αの発情期?ラットってやつ…?
なら、廉さんがこんなんなったの、俺のせいってこと?





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みんなの感想(3件)

あーる。(Kaname)

すっごく好みのお話で一気読みしましたっ!そして今、すっごくハラハラしてて…!!!安心したと思ったらまたハラハラっ!!!すれ違わないことを祈るばかりです…というか終始華と廉さんが可愛すぎて萌です( ^ω^)
これからも応援してます!頑張ってください( _ _)

解除
ふぁし
2022.03.11 ふぁし

第二部待ってました!
とても楽しみです♪

解除
花雨
2021.08.10 花雨

お気に入り登録しときますね♪

みか
2021.08.11 みか

花雨様 ありがとうございます!☺️

解除

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