a pair of fate

みか

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【第二部】

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「触るぞ」


うんうん、と頷く。

廉さん以外に、触らせた事のない場所に忍び込んできた細長い指。くちっと音を立てながら縁をなぞり、一本、二本と数を増やしながら中を蹂躙し始めた。


「あ...んッ」


既に柔く愛液で濡れそぼっているはずのそこを、しつこいくらいに弄る手を叩き、息も絶え絶えに言う。


「もっ、いいから...」

「辛かったらすぐ言えよ」


廉さんは、ふぅっと息を吐き、俺に見せ付けるように数回抜いたあと、先端を後孔にひたりと充てる。

右脚を担がれ露わになるそこに、ぐっと押し進められる。

そのままミチミチと隙間なく侵入してくる熱に、目の焦点が合わずに視界がガタガタと揺れた。


「はあ、あ、あっ…きたぁ…!」

「華っ…、」


絶対に力を抜いた方が楽なのに、身体中が強ばって上手くいかない。
廉さんの辛そうな表情を目の前にしても、ドーパミンがえげつないほど出ているのか『廉さんかわいい』『大好き』しか、頭に浮かんでこない。これは緊急事態だ。


「あっ、ぅ~!」


フェロモンが、重く伸し掛るように身体に纒わり付く。
息ができなくて苦しくて、でも息を吸うと香りが気持ちよくて。

肺の内側が、お腹の内側が、番で満たされる。

馴染むまで頬や額にキスをされ、じきに緩やかな動きで抜き差しが始まった。


「ぁあんっ、ぅっ、ん」


ぐちゅ、ぬちゅ、と前立腺をピンポイントで押し潰され、つま先をきゅっと丸めた。
スローセックスのような決して激しくない抽挿に、目が回りそうになる。

確かに気持ちいい。気持ちいいのに、つらい。

じんわり追い詰められるのは、以前から苦手だった。それなら強く擦られて、前後不覚になる方が、まだ精神的に楽なのに。


「どこも辛くない?」

「辛く、ないけど…ゆっくりなのつらぃ、もっとおく、ごりごりしてよ」


廉さんの胸板をぺちぺち叩いて抗議する。
いつもより肌が汗ばんでいる気がして、興奮してくれてるのが分かって嬉しかった。


「はぁっ…フ…」


ふと動きを止めた廉さんが、俺を見下ろしながら荒い呼吸を繰り返す。


「…薬、…」


眉を寄せながらぽつりと呟いたのは、薬という単語。

抑制剤なら寝る前に飲んだし、いまはエッチしてるから、抑制剤なんていらない。
廉さんは何も服用していないはずだし…という思考は、熱い塊が後孔から抜けていく感覚で途切れる。


「やだ!なんで抜くの!」

「おい待て、本当に一旦、…っ」


大きく左右に開いていた両脚を、急いで腰にまわした。
そうするともう廉さんは身動きが取れない。

背丈がほぼ同じとは言え、廉さんの方が力は強い。無理やり引き剥がす事もできるだろう。

でも、廉さんが俺を傷付ける事はしないだろうと、今この瞬間まで、俺は確かに自惚れていた。




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