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【第二部】
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しおりを挟むそれをどうやって伝えようか、どう言葉にすれば伝わるか考える。
黒川さんじゃないと4年も待ったりしない。
少し重いけど、俺が生涯を共にしたいと思ったのは廉さんだ。
本当に4年間、長かった。
仕事やファンが増えたりして、毎日満たされているはずなのに、とてつもなく大きい喪失感に囚われ続けていた。
それが、やっと終わりを迎えたのだ。
俺いま超幸せかも!
本物の廉さんに抱き着かれてる…!!
再びじわりと目頭が熱くなってきたが、廉さんが少し身動ぎしたのに意識が戻る。
「……でも華は俺のだから……蘭がいいって言っても離してやれない…………大好き…」
少し拗ねたような、でも、とてつもなく甘い声。
そして、普段絶対に言わないような言葉に肩がびくりと揺れてしまう。
「………!?…えっ?」
今大好きって言った!!?
エッチの時に愛してるって言われたことはあるけどこんな状態で『大好き』って!!大好き?可愛すぎ!!
思わず振り返り、そのままくるりと向かい合わせになる。
本当は膝に乗りたいけど、この数年で背が伸びてしまったから我慢だ。
目が合った廉さんの顔は、可哀想なくらい真っ赤で。
「!!」
「…かわいい…」
ゴッ、と鈍い音を立て、勢いよく俺の肩口に顔を埋める黒川さん。
おでこと鎖骨がぶつかって痛いけど、そんなの気にならないくらい興奮している。
「だめ、駄目です、見たい、見せろ…っ」
「くっ、そ…お前力強くなったっ?」
まぁ俺、時々筋トレしてましたから。
恥ずかしがってる顔を絶対に見られたくない黒川さんと、そんな黒川さんの肩を押し返して、絶対に顔を見たい俺。
ぐぐぐ…っと暫く押し合い、少し卑怯な手だけどさっきぶつかった鎖骨が痛み、『いたっ…』と言ってみる。
すぐに顔を上げた黒川さん。
まだ目を合わせるのは恥ずかしいらしく、今度は逆の方に顔を埋めてしまった。
「…ごめん、痛い思いさせてばっかで」
「大丈夫ですよ、そんなに痛くないですから」
「俺が一番華のこと好きだから、本当に」
「……」
頭でも打ったのか、普段言わないような事ばかり言われ俺まで照れる。
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