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【第二部】
おうち side金条 華
しおりを挟む俺の腕を掴み、僅かに息を乱している黒川さん。
4年ぶりなのに、見た目は全然変わってなくて、俺の心臓は今までで一番って言っていいくらい速く動き出した。
なんで走ってきたのにこんなにかっこいいんだ?もう25くらいだろ?
四捨五入すると三十路なのに、どんどんビジュアルが良くなってて無理だ。
「待たせた、ごめん」
「ん、……んん…」
驚きとドキドキで、何も言えず首をぶんぶん横に振る。
それを見た黒川さんは、困ったように笑った。
そして掴まれた腕をそのまま引かれ、しっかり抱き締められる。
久しぶりに香るフェロモンの香りに、軽く目眩がした。
「…ほんもの」
「本物だ。俺は一人しかいないぞ」
あまり身長に差がなくなったから、声が耳に近い距離で聞こえて嬉しい。
胸いっぱいに匂いを吸い込みながら背に手を回し、俺からもしっかり抱き締め返す。
スーツがよれるかも、と一瞬思ったけど今だけ許して欲しい。
もう絶対はなれたくないから。
「おかえりなさいぃ」
「ただいま」
お互いぎゅうぎゅう苦しいくらい抱き締め合っていると、一部始終を見ていた白林さんが割って入る。
「おい!本当に廉か?全部思い出したのか?」
「あぁ。華、帰るぞ。優斗、しばらく華は休みだ」
白林さんは嬉しいのか涙目になっている。
そんな白林さんに黒川さんは穏やかに笑った。
……ていうか…
「休み?」
「久しぶりの再会だろ。ゆっくりしよう」
さも当たり前みたいな言い方をする黒川さん。白林さんも是非是非!って感じで頷いている。
「華!よかったな!!」
「…うん、ありがとう」
マスクをしていて分からないけど、きっと爽はニカっと笑っているに違いない。
そうして俺たちは、笑顔の二人に見送られ家に帰った。
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