191 / 226
【第二部】
2
しおりを挟むそれからの俺たちはどんどん仕事が増え、撮影漬けの毎日が続いた。
「華~おつ~最近上手く笑えてんな」
「そう?ありがとう」
今日ラストの撮影が終わり、休憩していたところ爽の言葉に思わず笑みが溢れる。
白林さんにもこの間、同じ事を言われた。
俺は自分が成長できていないとずっと思っていたけど、しっかり変われているんだと安堵する。
「あ!その顔~いいね~」
「まだまだ爽には追い付けないけど…」
嬉しく有り難い事に、俺たちにもファンができた。
最近初めて出待ちを経験してちょっと怖かったけど、そこまで想ってくれるファンもいるってこと。
二人のSNSアカウントは毎日フォロワーが増える一方、自分たちが人気になっているという実感がイマイチ湧かない。
だが、嫌でも実感する仕事がくる事を俺はまだ知らなかった。
「お二人さん、仕事終わりに悪いけど、次の仕事の話してもいいかな~」
軽いコンコンというノックと共に入ってきたのは、書類を持っている白林さん。
一応俺たちにもマネージャーという存在はいるのはいるけど、白林さんがスケジュール管理をしてくれる事がほとんどだ。
入室してきた白林さんは、ニコニコしながら俺たちの前のソファに腰掛ける。
そして持っていた書類をテーブルに広げた。
内容は化粧品のPR。
思わず二度見する。
「二人にCMのお話でーす」
「…CM…」
「CMっ?!ってコマーシャル?!テレビの??!!!」
「そうそう、市場を広げたいらしくてね」
ほとんどの女性がメイクをする事は知られているけれど、男性がメイクをする、と聞くとまだ驚かれてしまう時代。
そんな世の中を変えるというコンセプトで、製品を作っているブランドがあるらしい。
「で、やる気は?」
「「あります!!」」
爽と二人で大きく返事をする。
「華!」
「うん、頑張ろう!」
これはチャンスでしかない。
このチャンスをものにして、絶対更に売れる。
そして一秒でも長く廉さんの視界に入るんだ!!そう新たに気合いを入れ、爽と頷きあった。
0
お気に入りに追加
231
あなたにおすすめの小説
Take On Me 2
マン太
BL
大和と岳。二人の新たな生活が始まった三月末。新たな出会いもあり、色々ありながらも、賑やかな日々が過ぎていく。
そんな岳の元に、一本の電話が。それは、昔世話になったヤクザの古山からの呼び出しの電話だった。
岳は仕方なく会うことにするが…。
※絡みの表現は控え目です。
※「エブリスタ」、「小説家になろう」にも投稿しています。
組長と俺の話
性癖詰め込みおばけ
BL
その名の通り、組長と主人公の話
え、主人公のキャラ変が激しい?誤字がある?
( ᵒ̴̶̷᷄꒳ᵒ̴̶̷᷅ )それはホントにごめんなさい
1日1話かけたらいいな〜(他人事)
面白かったら、是非コメントをお願いします!
いつかコントローラーを投げ出して
せんぷう
BL
オメガバース。世界で男女以外に、アルファ・ベータ・オメガと性別が枝分かれした世界で新たにもう一つの性が発見された。
世界的にはレアなオメガ、アルファ以上の神に選別されたと言われる特異種。
バランサー。
アルファ、ベータ、オメガになるかを自らの意思で選択でき、バランサーの状態ならどのようなフェロモンですら影響を受けない、むしろ自身のフェロモンにより周囲を調伏できる最強の性別。
これは、バランサーであることを隠した少年の少し不運で不思議な出会いの物語。
裏社会のトップにして最強のアルファ攻め
×
最強種バランサーであることをそれとなく隠して生活する兄弟想いな受け
※オメガバース特殊設定、追加性別有り
.
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。
白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。
最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。
(同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!)
(勘違いだよな? そうに決まってる!)
気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。
ヤクザと捨て子
幕間ささめ
BL
執着溺愛ヤクザ幹部×箱入り義理息子
ヤクザの事務所前に捨てられた子どもを自分好みに育てるヤクザ幹部とそんな保護者に育てられてる箱入り男子のお話。
ヤクザは頭の切れる爽やかな風貌の腹黒紳士。息子は細身の美男子の空回り全力少年。
傷だらけの僕は空をみる
猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。
生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。
諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。
身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。
ハッピーエンドです。
若干の胸くそが出てきます。
ちょっと痛い表現出てくるかもです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる