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【第二部】
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しおりを挟む「……はぁ…っは…」
誰かの荒い息が遠くで聞こえる。
「はっ!?」
ガバっと起き上がった時の、身体の違和感の正体は直ぐに分かった。
何度も経験している倦怠感。
高い体温に勃ち上がる性器。
奥に番のモノが欲しいと熱く濡れて疼く後孔。
間違いなくヒートの症状だった。
「あッ…、ん」
もぞっと身じろぎするだけで、シーツと擦れた肌が快感を拾う。
やばい、やばいやばい…これはまずい早く戻らないと!
と思う反面、でもなぁ、ベッドすっごい良い匂いするんだよなぁ…!!
どうせ帰ってこないなら居てもいいよな!
と思う自分もいる。
「…まぁ…いいかぁ…はぁ~…」
起こした体を、また倒して寝転ぶ。
秒で勝ったのは自分の欲だった。
「………」
シャツを抱き締めながらゴロゴロ寝返りをうってみると、黒川さんの匂いがふわふわ強くなる。
もっと服とか集めたいなぁ。もっと集めて、それに埋もれたら気持ちいいだろうなぁ。
本人はいないけど、幸せになれる。
そう思った俺はだるい身体を動かして、クローゼットまで移動する。
一枚だけのつもりだったけど全部洗濯すればいいよね。
「…ふふふ…」
クローゼットからとってきたのは、たくさんのシャツとネクタイ、靴下や下着。
腕の中にこんもり抱えて、ベッドにダイブする。
「こんなもん…かなぁ…」
それを綺麗に綺麗に、自分を囲む円形のように並べていく。
黒川さんのベッドは、俺が大の字で寝ても大丈夫なくらい大きいから、いくら服を広げても平気だった。
…でも服からは肝心の匂いがしない。
そこでさっきと同じように、それぞれ一回ずつ香水を吹き掛けてみた。
「……くさっ…でも大丈夫~…廉さん喜んでくれるかな」
うん、いい感じ。ちょっと香水くさいけど黒川さんの匂い。
満足すると共に、ムラムラが襲ってきた。
誰もいないのにキョロキョロしてから、そろっとズボンの中に手を突っ込む。
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