a pair of fate

【第二部】

αとΩ

蘭さんがお隣さんになってから1ヶ月経ったけど、毎日大変だ。

具体的には夜は一人で寂しいからって構成員さん達を部屋に呼んで朝まで騒いだり、暇だから遊びに行こうとか言って急に他県に琉唯くんと拉致されたり、その他諸々。

一番酷かったのは弾丸旅行。

朝、『おはよう！なんか温泉行きたい気分なんだよね！』と言って俺と、一応俺の護衛の琉唯くんと3人、飛び入りで新幹線に乗って高級旅館に二泊三日。

その日、本家に行く予定だったらしくいつまで経っても現れず電話にも出ない蘭さんに、構成員さん達は大慌て。

帰ってきた後は、3人でしっかり正臣さんに怒られた。

それから俺は必要最低限、蘭さんに関わらないでいいように息を潜めて生活している。


「やば！急がないと」


そして今日はバイトの日なので、朝から蘭さんに捕まる前に琉唯くんと共にマンションを出る。


「琉唯くん！おはよう！」

「おはよ、早く行くぞあの人面倒臭いから！」


マンションが見えなくなるくらいまで二人で走った。

何故かと言うと、前にベランダから俺たち二人を見つけた蘭さんが追いかけて来て車でそのまま映画に拉致られたからだ。

早野さんは大激怒で、後日、本家の正臣さんにチクリに行ったらしい。

そこで二度目のお叱りを受けた。

ウチは忙しくないから良いんだよ～青春青春！と、店長はお怒りの早野さんを落ち着かせていたけど、早野さんは前から蘭さんが嫌いらしくどうも馬が合わないみたい。


「っは、ははっ、」

「本当にヤバイよな！あはは！」


数々の迷惑を思い出して、走りながら二人で笑う。

廉さんなら絶対そんな事しないだろう。

旅行なら前から計画してる事を教えてくれそうだし、家には必要以上に他人を入れない。
映画だって落ち着かないとか言ってレンタルしそうだし。

本当に正反対過ぎる。

でも蘭さんの話だと今の黒川さんならやりかねない可能性もあるって事で、しばらく会ってないけどちゃんと仕事をしているか心配になった。