a pair of fate

みか

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【第二部】

日常

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ネクタイが歪んでいないか確認した後、充電していたスマホを持って玄関へ向かう黒川さん。を、追いかける俺。

俺は高校を卒業してから、すぐに黒川さんと同棲を始めた。
同棲と言っても、生活費は全部黒川さんが出してくれてるから、俺はいわゆるヒモ状態。

お陰で貯金は貯まるばかり。


「今日は早野の所だろ?少し遅くなるけど迎え行くから」

「ありがとうございます、気を付けてくださいね」


黒川さんがふっと笑って顔を近付けてきたら、俺はぎゅっと目を閉じる。

そして唇に慣れた柔らかい感触がして、頬を撫でられる。


「じゃあな」


行ってきますのチューなんてどこのバカップルだ、と思いながらも拒めない俺は、毎日玄関のドアが閉まると一人で悶絶する。


「…あぁぁぁ…甘い…」


いつまで経っても慣れないし、寧ろ毎日ドキドキが増していってる気がする。

はぁ~…さっさと慣れないと…。

たっぷり時間をかけて心を落ち着かせたら自分の準備。


これが毎朝のルーティン。


早野の所、というのは早野さんが普段お手伝いしている知り合いの花屋さんのバイトの事だ。

爽と共に事務所に入ったのはいいが、新人過ぎてまだまだ仕事なんて貰えない。毎日バイトとレッスンに追われる毎日。


「急がないと」


バタバタ準備をして家を出る。
去年貰った合鍵で鍵を閉める度に『同棲だ…』ってなって幸せになるんだよなー。口角が勝手に上がるのがわかる。


「おはよ」

「おはよう琉唯くん」


琉唯くんと最寄り駅まで歩く。

電車に乗って数駅、降りて5分歩いたら見えてくる、こじんまりした花屋さん。
店長さんと早野さんと、週に何度か入る俺と琉唯くんで楽しく営業している。


「おはようございます~」

「「おはよう金条くんと佐伯くん」」


店に入ると、奥の方から同時にひょこっと顔を出した店長さんと早野さん。
二人とも花屋さんにぴったりな雰囲気で、週に何度かの、このバイトが癒しの時間だ。


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