a pair of fate

みか

文字の大きさ
上 下
140 / 226
【第一部】

2 side 黒川 廉

しおりを挟む



今日は体育大会本番。

グラウンドのスピーカーからは、生徒の選手宣誓が聞こえてくる。

俺は今日だけ理央の保護者だから、(華を見るため)朝早くから、優斗と早野と共に某高校の体育大会を観戦しに来ていた。
親父が『暑いからパス~』なんてふざけ事抜かしやがるかし、一人は心許ないしと、とりあえず優斗と早野を誘った次第だ。

まだ午前9時といっても太陽は容赦なく照りつけてクソ暑い。
これだけ生徒の人数がいると、華がどこに居るかも分からない。


「え、人数多すぎじゃない?」
「…これはさすがに無理ですね!」


保護者用のテントの下で、体育大会の競技種目が書かれたプリントを片手に、早々諦める二人。

でも無理では済ませない。

まず手配させた新しい体育教師がまともか確認しなければいけない。
そして華が出る二人三脚は、ペアが理央だって佐伯から聞いて、明らかに馬の合わない二人が無事にゴールできるか見届けなければならない。

それに華がクラスメイトとどんな風に過ごしているかも気になるし、やっぱり理央も血が繋がっていないとはいえ弟だ。転校して上手くやれているか、少しは気になる。

あと佐伯がちゃんと華を護れているかの抜き打ち検査でもあるし、清水爽が本当に華にとって安全なのかも確認しなければ…。


「チッ、駄目だ。気になる事が多すぎる…」


頭の中で今日この目で見なければいけない物をまとめようとするが、多すぎて目眩がしてくる。

隣で優斗が『過保護すぎて嫌われるぞ』なんて言ってるが、言い返す余裕はない。


「あら~由奈がいたわ~」
「…華は…どこだ母さん」
「背が高いからきっと後ろのほうねぇ~」


イライラしながら3年生の列を前から順に華を探していると、不意に耳に飛び込んできた男女の会話。


 「「?!」」


『華』という単語に俺と優斗が反応する。

声の出処を探そうと周りを見てみるが、それっきり華という単語は聞こえてこず、中々見つけられない。


「廉、廉、あそこ」


そんな俺に隣に立っていた優斗が、斜め右前の方向を目立たないよう控えめに指さす。


「…似てるな…」


そこには華に良く似た堅い表情の男性と、それとは真反対にフワフワした雰囲気の女性がいて、二人はグラウンドを眺めていた。


しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

すずらん通り商店街の日常 〜悠介と柊一郎〜

ドラマチカ
BL
恋愛に疲れ果てた自称社畜でイケメンの犬飼柊一郎が、ある時ふと見つけた「すずらん通り商店街」の一角にある犬山古書店。そこに住む綺麗で賢い黒猫と、その家族である一見すると儚げ美形店主、犬山悠介。 恋に臆病な犬山悠介と、初めて恋をした犬飼柊一郎の物語。 ※猫と話せる店主等、特殊設定あり

Take On Me 2

マン太
BL
 大和と岳。二人の新たな生活が始まった三月末。新たな出会いもあり、色々ありながらも、賑やかな日々が過ぎていく。  そんな岳の元に、一本の電話が。それは、昔世話になったヤクザの古山からの呼び出しの電話だった。  岳は仕方なく会うことにするが…。 ※絡みの表現は控え目です。 ※「エブリスタ」、「小説家になろう」にも投稿しています。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

組長と俺の話

性癖詰め込みおばけ
BL
その名の通り、組長と主人公の話 え、主人公のキャラ変が激しい?誤字がある? ( ᵒ̴̶̷᷄꒳ᵒ̴̶̷᷅ )それはホントにごめんなさい 1日1話かけたらいいな〜(他人事) 面白かったら、是非コメントをお願いします!

王冠にかける恋【完結】番外編更新中

毬谷
BL
完結済み・番外編更新中 ◆ 国立天風学園にはこんな噂があった。 『この学園に在籍する生徒は全員オメガである』 もちろん、根も歯もない噂だったが、学園になんら関わりのない国民たちはその噂を疑うことはなかった。 何故そんな噂が出回ったかというと、出入りの業者がこんなことを漏らしたからである。 『生徒たちは、全員首輪をしている』 ◆ 王制がある現代のとある国。 次期国王である第一王子・五鳳院景(ごおういんけい)も通う超エリート校・国立天風学園。 そこの生徒である笠間真加(かさままなか)は、ある日「ハル」という名前しかわからない謎の生徒と出会って…… ◆ オメガバース学園もの 超ロイヤルアルファ×(比較的)普通の男子高校生オメガです。

僕の追憶と運命の人-【消えない思い】スピンオフ

樹木緑
BL
【消えない思い】スピンオフ ーオメガバース ーあの日の記憶がいつまでも僕を追いかけるー 消えない思いをまだ読んでおられない方は 、 続きではありませんが、消えない思いから読むことをお勧めします。 消えない思いで何時も番の居るΩに恋をしていた矢野浩二が 高校の後輩に初めての本気の恋をしてその恋に破れ、 それでもあきらめきれない中で、 自分の運命の番を探し求めるお話。 消えない思いに比べると、 更新はゆっくりになると思いますが、 またまた宜しくお願い致します。

消えない思い

樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。 高校3年生 矢野浩二 α 高校3年生 佐々木裕也 α 高校1年生 赤城要 Ω 赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。 自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。 そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。 でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。 彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。 そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。

お隣さんはヤのつくご職業

古亜
恋愛
佐伯梓は、日々平穏に過ごしてきたOL。 残業から帰り夜食のカップ麺を食べていたら、突然壁に穴が空いた。 元々薄い壁だと思ってたけど、まさか人が飛んでくるなんて……ん?そもそも人が飛んでくるっておかしくない?それにお隣さんの顔、初めて見ましたがだいぶ強面でいらっしゃいますね。 ……え、ちゃんとしたもん食え? ちょ、冷蔵庫漁らないでくださいっ!! ちょっとアホな社畜OLがヤクザさんとご飯を食べるラブコメ 建築基準法と物理法則なんて知りません 登場人物や団体の名称や設定は作者が適当に生み出したものであり、現実に類似のものがあったとしても一切関係ありません。 2020/5/26 完結

処理中です...