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【第一部】
体育大会
しおりを挟むまだ夏の日差しが残るグラウンド。
「お前何回言ったら分かるんだよアホか?」
「は?!バーカ!華が足出すの早いんだし!!」
そこで俺と理央は、周りの視線に気にせず言い争いをしていた。
この間と同じようにコケた俺と理央は、お互いに睨み合って暴言のオンパレード。
売り言葉に買い言葉、まさにそんな感じ。
「黒川さんに笑われたら理央のせいだから」
「はぁ~??廉が見たら悪いのは華だってすぐ分かるから!!」
…いやいやどう考えても悪いのは理央だろ。と、思うがどうせ何を言っても通じない。
お互いに、はーっとため息をつきながら再び練習を始める。
『仲直り』してから数日後、理央は俺の事を華と呼ぶようになった。そして俺も、以前ほど理央の事が嫌いではなくなっていた。
なのに、この体育大会の練習だけはどうも上手くいかない。
むしろ黒川さん絡みで口喧嘩が増えたくらいだ。
「ほんっとに最悪」
たった今思っていた事を言われてイラっとし、隣の理央を睨む。
「…こっちのセリフだって」
とにかく練習しかない。
再度お互いに睨み合い合いながら足を動かす。
チラッと見た選抜リレーの練習。
爽はキラキラ笑顔で楽しそうだし、琉唯くんは二人三脚だけど、他のクラスメイトと上手くやっているようだ。
体育大会本番まであと1週間…本当に琉唯くんにペア頼めばよかった。
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