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【第一部】
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しおりを挟むそんな俺の後ろからは、プリプリした怒り声。
「そこ!!邪魔なんだけど!!」
「あ、ごめん」
入口で突っ立ってたからだ。
慌てて振り向きながら謝る。
そこに立っていたのは、通学鞄をリュックみたいにしている理央だった。
俺と目が合うと吊り上がっていた眉がへにゃっと下がる。
けどすぐに強気な釣り眉に戻る。
なんだ?と思っていると理央が俺の胸辺りに何かを投げ付けた。
「こっっ、これっ、!!さっさと読め!」
「えっ何」
キャッチできず、ひらひら落ちる小さな紙切れ。
これ、と言うなら手渡ししてくれればいいのに、と思い腰を庇いながら紙切れを拾う。
「いてて…」
…腰だるい…もうこんなにならないように機嫌損ねない研究しよう…。
拾ったそれを読む。
『ごめん 』
少しよれた紙切れにこの一文。
何回も消して書き直した跡がある。
きっと理央なりに頑張ったんだろうなぁ。
「…全部…俺のせい…俺が怪我させなかったら…っ…」
目の前に立つ理央が小さな声で呟いた。
いつの間にか爽たちは気を使ってくれたのか教室内に戻っている。
俯いて俺の返事を待つ理央はいつもより小さく見えた。
「別に…気にしないで」
きっと理央はあの日の事を全部知っているんだろう。
「な、仲直りする…っ」
「いいよ、仲直りしよ」
パッと顔を上げた理央の瞳はキラキラと輝いていた。
こいつにこんな顔されるの初めて…。
いつもこれだったら可愛いのに。
本人には絶対言ってやらないけど。
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