a pair of fate

みか

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【第一部】

14

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あぁ、気持ちいいなぁ、黒川さん嬉しそうな顔してくれてる。よかったなぁ。

なんて思いながらぎこちなく動いていると、一気に近付いてきた綺麗な顔。


「ぅ、わあ」


仰け反ると背中に柔らかいベッドの感触。
黒川さんの後ろには天井、どうやら押し倒されたらしい。


「ありがとう、次は俺の番な」

「え、ぁっ、駄目!俺がっ、あッ」


俺が動く日なのに、一回ガツンと強く突かれ黙らせられる。


「ンっ、んっ、あっ…そこ好きっ」


さっきまで俺が黒川さんを押し倒していたみたいな体勢だったのに、今は俺が黒川さんに押し倒されている。

両手は恋人繋ぎされて、下から黒川さんのセックスしてる顔を眺めていると、黒川さんの動きが止まった。


「…怖くない?」


怖いわけない。
何も怖いことは無い。

あ…でも気持ち良すぎて怖いのはあるかも。

いつもキリッとしている眉を下げて、心配そうな顔をしている黒川さんに何回も頷く。


「お前がセックスしてるのが俺で安心してるよ。これからずっと離れたくない」

「…俺も…俺、黒川さん大好きです…」


汗で額に張り付いた前髪を横に流したあと、そこに柔らかいキスが落とされる。

お返しと言わんばかりに俺からは唇にキスをした。


「この一週間ずっと一緒に居てくれるか?離れたくない」


もう一度『離れたくない』と言った黒川さんは、恋人繋ぎした両手を強く握り直して上目遣いで見つめてくる。


「…も、ちろんです」


か、かわいい。本当に成人男性か…?

どこでそんな仕草覚えた?そんなあざといの無意識でしてるとしたら、可愛さでもう全てがどうでも良くなってしまう。

また先生が今度は俺以外の誰かに何か危害を加えるかも、なんて心配は頭の中から消えていた。


「…あの…嬉しいですけど…仕事は?」


一番気になっている事を聞いてみる。
嬉しいけどまた仕事に迷惑かけたくない。


「…」


さっきの甘ったるい空気は何処へやら。
俺から目を逸らして、冷や汗をかきそうなくらいに焦り出す黒川さん。


「…仕事は?」

「…凛堂、に…丸投げした…」


なんてこった。

俺の上で視線を泳がせる黒川さんが言うには仕事を全部、部下に丸投げして俺と1週間を過ごすつもりらしい。


「来週二人でお礼言いに行きましょうね…」

「わかった」


小さく頷いた黒川さんにもう一度キスをする。

仕事を丸投げするのは駄目だなんて言わないし言えないし、言うつもりもない。

だって俺のためにしてくれた事だから。




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