131 / 226
【第一部】
14
しおりを挟むあぁ、気持ちいいなぁ、黒川さん嬉しそうな顔してくれてる。よかったなぁ。
なんて思いながらぎこちなく動いていると、一気に近付いてきた綺麗な顔。
「ぅ、わあ」
仰け反ると背中に柔らかいベッドの感触。
黒川さんの後ろには天井、どうやら押し倒されたらしい。
「ありがとう、次は俺の番な」
「え、ぁっ、駄目!俺がっ、あッ」
俺が動く日なのに、一回ガツンと強く突かれ黙らせられる。
「ンっ、んっ、あっ…そこ好きっ」
さっきまで俺が黒川さんを押し倒していたみたいな体勢だったのに、今は俺が黒川さんに押し倒されている。
両手は恋人繋ぎされて、下から黒川さんのセックスしてる顔を眺めていると、黒川さんの動きが止まった。
「…怖くない?」
怖いわけない。
何も怖いことは無い。
あ…でも気持ち良すぎて怖いのはあるかも。
いつもキリッとしている眉を下げて、心配そうな顔をしている黒川さんに何回も頷く。
「お前がセックスしてるのが俺で安心してるよ。これからずっと離れたくない」
「…俺も…俺、黒川さん大好きです…」
汗で額に張り付いた前髪を横に流したあと、そこに柔らかいキスが落とされる。
お返しと言わんばかりに俺からは唇にキスをした。
「この一週間ずっと一緒に居てくれるか?離れたくない」
もう一度『離れたくない』と言った黒川さんは、恋人繋ぎした両手を強く握り直して上目遣いで見つめてくる。
「…も、ちろんです」
か、かわいい。本当に成人男性か…?
どこでそんな仕草覚えた?そんなあざといの無意識でしてるとしたら、可愛さでもう全てがどうでも良くなってしまう。
また先生が今度は俺以外の誰かに何か危害を加えるかも、なんて心配は頭の中から消えていた。
「…あの…嬉しいですけど…仕事は?」
一番気になっている事を聞いてみる。
嬉しいけどまた仕事に迷惑かけたくない。
「…」
さっきの甘ったるい空気は何処へやら。
俺から目を逸らして、冷や汗をかきそうなくらいに焦り出す黒川さん。
「…仕事は?」
「…凛堂、に…丸投げした…」
なんてこった。
俺の上で視線を泳がせる黒川さんが言うには仕事を全部、部下に丸投げして俺と1週間を過ごすつもりらしい。
「来週二人でお礼言いに行きましょうね…」
「わかった」
小さく頷いた黒川さんにもう一度キスをする。
仕事を丸投げするのは駄目だなんて言わないし言えないし、言うつもりもない。
だって俺のためにしてくれた事だから。
0
お気に入りに追加
226
あなたにおすすめの小説
そばにいてほしい。
15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。
そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。
──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。
幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け
安心してください、ハピエンです。
成り行き番の溺愛生活
アオ
BL
タイトルそのままです
成り行きで番になってしまったら溺愛生活が待っていたというありきたりな話です
始めて投稿するので変なところが多々あると思いますがそこは勘弁してください
オメガバースで独自の設定があるかもです
27歳×16歳のカップルです
この小説の世界では法律上大丈夫です オメガバの世界だからね
それでもよければ読んでくださるとうれしいです
欠陥αは運命を追う
豆ちよこ
BL
「宗次さんから番の匂いがします」
従兄弟の番からそう言われたアルファの宝条宗次は、全く心当たりの無いその言葉に微かな期待を抱く。忘れ去られた記憶の中に、自分の求める運命の人がいるかもしれないーー。
けれどその匂いは日に日に薄れていく。早く探し出さないと二度と会えなくなってしまう。匂いが消える時…それは、番の命が尽きる時。
※自己解釈・自己設定有り
※R指定はほぼ無し
※アルファ(攻め)視点
白い部屋で愛を囁いて
氷魚彰人
BL
幼馴染でありお腹の子の父親であるαの雪路に「赤ちゃんができた」と告げるが、不機嫌に「誰の子だ」と問われ、ショックのあまりもう一人の幼馴染の名前を出し嘘を吐いた葵だったが……。
シリアスな内容です。Hはないのでお求めの方、すみません。
※某BL小説投稿サイトのオメガバースコンテストにて入賞した作品です。
初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。
【完結】終わりとはじまりの間
ビーバー父さん
BL
ノンフィクションとは言えない、フィクションです。
プロローグ的なお話として完結しました。
一生のパートナーと思っていた亮介に、子供がいると分かって別れることになった桂。
別れる理由も奇想天外なことながら、その行動も考えもおかしい亮介に心身ともに疲れるころ、
桂のクライアントである若狭に、亮介がおかしいということを同意してもらえたところから、始まりそうな関係に戸惑う桂。
この先があるのか、それとも……。
こんな思考回路と関係の奴らが実在するんですよ。
彼者誰時に溺れる
あこ
BL
外れない指輪。消えない所有印。買われた一生。
けれどもそのかわり、彼は男の唯一無二の愛を手に入れた。
✔︎ 四十路手前×ちょっと我儘未成年愛人
✔︎ 振り回され気味攻と実は健気な受
✔︎ 職業反社会的な攻めですが、BL作品で見かける?ようなヤクザです。(私はそう思って書いています)
✔︎ 攻めは個人サイトの読者様に『ツンギレ』と言われました。
✔︎ タグの『溺愛』や『甘々』はこの攻めを思えば『受けをとっても溺愛して甘々』という意味で、人によっては「え?溺愛?これ甘々?」かもしれません。
🔺ATTENTION🔺
攻めは女性に対する扱いが酷いキャラクターです。そうしたキャラクターに対して、不快になる可能性がある場合はご遠慮ください。
暴力的表現(いじめ描写も)が作中に登場しますが、それを推奨しているわけでは決してありません。しかし設定上所々にそうした描写がありますので、苦手な方はご留意ください。
性描写は匂わせる程度や触れ合っている程度です。いたしちゃったシーン(苦笑)はありません。
タイトル前に『!』がある場合、アルファポリスさんの『投稿ガイドライン』に当てはまるR指定(暴力/性表現)描写や、程度に関わらずイジメ描写が入ります。ご注意ください。
➡︎ 作品や章タイトルの頭に『★』があるものは、個人サイトでリクエストしていただいたものです。こちらではリクエスト内容やお礼などの後書きを省略させていただいています。
➡︎ 作品は『時系列順』ではなく『更新した順番』で並んでいます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる