a pair of fate

みか

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【第一部】

3

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首を振ったのに、尚も胸を揉んでくる黒川さん。

何を思ったか、ボディーソープを追加して俺の乳首を摘み始めた。


「痛かったら言えよ」

「いや、もう」


終わりで良くないですか、と言おうとしたけど、鼻から抜けるような声が出そうで慌てて片手で口を押える。

初めて与えられるそこへの違和感に戸惑う。


「どう?」

「…ン、…へん、なかんじ」


直接的な強い刺激ではない。
じわじわ遠くから、でも確実にやってくる快感に思わず目を閉じた。


黒川さんが触れる度にぴりぴりじくじく疼いて堪らない。
快感が直で股間に向かっている気がする。
行き場のない疼きを逃すように膝を擦り合わせる。


いつの間にかシャワーは止められていて、静かな浴室には俺の声を殺すフーフーという荒い息しか響いていない。


…振り向いたら黒川さんの顔見えるかな?

…ギリギリ見えない?


この体制だと前に鏡があって恥ずかしい。目を閉じてるから何も見えないけど、鏡があるってだけで恥ずかしい。

それに俺に触れている最中の黒川さんの顔が見たくて、振り返ろうと、そろっと目を開ける。


「!!あっ、ぁ、っ…やぁ」


開けてすぐに目に入ったのは、泡を纏った長い指が俺の乳輪をくるくる撫で回している光景。

と、その向こう側には見事に勃ち上がっている自分の性器。ご丁寧に先走りまで溢れる始末で目も当てられない。


なんで?触られてないのにこんな。


「黒川さんっ!」


自分が明るみの中、何をされているかしっかり認識してしまって体温が一気に上がった。


首が痛い限界まで振り向いて中止を訴えるけど、攻める指先は激しさを増すばかり。


「気持ちいいなぁそんなに勃てて」

「嫌だ、は、ずかしいっ、ぁ、ん」


無理すぎる。
乳首いじられてるだけで勃起するなんて。


「あっ、…ァ」


いつの間にか口を抑えていたはずの手は外れていて声はダダ漏れ。

爪でカリカリされる度に声は大きくなる。くにくにされたり捻られたり、乳首がちぎれるんじゃないかと心配になる。


ふと痛くないギリギリの力で、きゅぅっと摘まれ背が反る。


「ぅン…も、…止めてっ、ふっぅ…ぁん」

「なんで?痛い?」


答えが分かりきっている事を聞いてくる黒川さんの腕を叩く。耳元で笑うのやめてほしい。


てか痛くないわ!痛くないのがいけねぇんだよ!!!


「もう!!!!!!」

「何どうした」


浴室に俺の声が響く。

人は驚くと動きが止まるらしい。
黒川さんが俺の奇声に驚いて動きを止めた隙に体を反転させた。

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