a pair of fate

【第一部】

7

「帰れそうなら送って貰えばいいし俺が帰ってくるまで居てもいいからな」

「はーい」


ベッドに寝転んでスーツに着替えている黒川さんに返事する。

実は昨日、花火が終わったあと『泊まる？』と聞かれ、その熱っぽい視線に頷いてしまった俺は流れで黒川さんと浴衣エッチした。

するのは二回目だけどやっぱり全然慣れなくて、しかもお互い浴衣って事もあって余計に緊張した。
まぁ浴衣はすぐに脱いだんだけど。

浴衣のおかげもあり、前回よりねちっこく攻めてきた黒川さんのせいで今は腰痛だ。何回したかとか覚えてないけど2回は確実にした。


「行ってくる」

「行ってらっしゃい。気を付けてくださいね」


頬にちゅっとキスされるのが嬉しい。ニヤける口元をグッと引き締める。

頭を撫でて寝室を出ていく黒川さんを玄関までお見送りしたいけど、動けないし仕方なくベッドから手を振った。


遠くでバタンと玄関のドアが閉まる音が聞こえる。

俺は起こしていた身体をもう一度倒して仰向けに寝転んだ。
黒川さんはたった今出ていったばかりなのにもう寂しくなる。黒川さんの匂いだけしか残ってない。

動けるようになったら誰かに送ってもらおう。
このマンションは黒川会の人しか住んでないし、全員俺が黒川さんの番だって知ってるから誰に頼んでも大丈夫らしい。

できるだけ琉唯くんか、あのごつい運転手さんに頼めって言われたけど、まず琉唯くんが既に免許を持ってるって事が驚きだ。


「…んーー…」


お腹空いたし喉は乾いたけど、身体中痛むので大人しくベッドに沈む。佐伯を呼んで色々してもらえって言われたけど、さすがに申し訳ないし何より恥ずかしい。

まだ朝の8時過ぎ。
とりあえずYouTubeで動画でも見て体が回復するまでゆっくりしよう。