75 / 226
【第一部】
3
しおりを挟む「…っ、あ、あっ、廉っさん、」
「…ん?」
何度も何度も最奥を突かれて、もう何が何だか分からない。それくらい気持ちよくて、気を抜いたら正気じゃいられなくなりそう。
シーツを掴んでいた手を黒川さんに伸ばすと、ちゃんと分かってぎゅっと恋人繋ぎをしてくれる。
きゅっと強く握られ、親指ですりすり撫でてくれる。
そんな些細な事でキュンキュンする自分が女の子みたいで恥ずかしい。
「好き、っ…」
目を合わせていたらポロっと口からこぼれ落ちた気持ち。
「ふっ」
それを聞いた黒川さんは今までで一番甘い笑顔を向けてくれる。
その途端、ぎゅーーーっと肺を掴まれたみたいに息苦しくなる。
……やばい、こんな顔できたんだ。なんか今めちゃくちゃ好きってなった…!!
黒川さんは笑いながらぐっと顔を近付けてくる。
あ、またキスかなと思いぎゅっと目を瞑ると、黒川さんが顔を埋めたのは俺の首筋で、そのまま右耳にキスされた。
その後、耳元でスッと息を吸う音が聞こえて甘く掠れた声で囁かれる。
「…俺も…愛してる」
「っひ、」
背骨を一本の指でつつ~っとなぞられたみたいに背中から腰にかけてゾワゾワして全身に力が入る。
その瞬間俺の中でなにかがパチンと弾けたような感覚に襲われ、頭の中が真っ白になった。そして一気に絶頂に登り詰める。
「────ぅぁあ、ぁ!!」
「あっ、コラ締めんな、っ」
ぐぐぐっと自分の身体に力が入るのがわかる。自分の腹に出たものがかかって恥ずかしい。
黒川さんはやったな、と不敵な笑みを浮かべ俺の腰を掴み直す。
「っえっ、あっ、黒川さぁ、んっ」
それから今までの速さとは比にならないくらいの勢いで好き勝手突かれて、さっきまでのは俺に合わせた動きだったんだと気付く。ガクガク揺れる視界。ベッドが大きな音をたてる。
「や、はや、いっ、イった、から、うっ…あっ!あっっ!」
「ごめん、…っでる」
「っぅ…゛────!!!」
黒川さんは俺に覆いかぶさってきて頬擦りしてくる。
…黒川さん…イったっぽい…もう頭も身体もグズグズで何も分からない。
まぁ重いけどいい匂いするから許す。
「…もう一回…」
「…っは……はぁ…無理、です…って…絶対無理、きつい…やぁ」
すぐに俺の首にキスマをつけてるみたいな痛みが走る。
そんな可愛い事しても体力は戻らない。運動には自信があったのに…。
無理なもんは無理。でも黒川さんは諦めようとしない。
「どんだけ我慢したと思ってんだよ。お前なら、」
「無理ですって!琉唯くんの所に正臣さんからのプレゼント取りに行かないといけないし!!」
太ももをさわさわ撫でる手をぺしんと叩いて黒川さんの下から脱出する。
黒川さんは俺のセリフを聞いて勢いよく起き上がった。
「は?親父からプレゼント?聞いてねぇけど」
「俺もさっき琉唯くんから聞いたんですよ」
「…ふーん」
そして床に落ちてたパンツを履き直してベッドから下りる。
「…えっ、どこ行くんですか…」
「すぐ戻ってくる。ちょっと待ってろ」
今はまだどこにも行かないで俺の側に居てって引き止めようとしたけど、思ったより全身がだるくて上手く動けない。
ベッドに再び転がり、寝室を出ていく黒川さんの後ろ姿を大人しく見送った。
0
お気に入りに追加
229
あなたにおすすめの小説
純情Ωの悩みごと
豆ちよこ
BL
願いが叶って晴れて流星と両想いになった理央だけど、相変わらず七央とも仲良しこよし。今までずっと理央の世界の中心だった七央。そう簡単にそれが変わるはずもなかった。
どんな事も七央に相談してきた理央だけど、ある朝理央の体に起きた異変は、ちょっとαの七央には相談し難い事で、理央はとある大先輩Ωのあの人に相談を持ちかけるが………。
※こちらは『純情Ωの願いごと』の続編です。
【完結】はじめてできた友だちは、好きな人でした
月音真琴
BL
完結しました。ピュアな高校の同級生同士。友達以上恋人未満な関係。
人付き合いが苦手な仲谷皇祐(なかたにこうすけ)は、誰かといるよりも一人でいる方が楽だった。
高校に入学後もそれは同じだったが、購買部の限定パンを巡ってクラスメートの一人小此木敦貴(おこのぎあつき)に懐かれてしまう。
一人でいたいのに、強引に誘われて敦貴と共に過ごすようになっていく。
はじめての友だちと過ごす日々は楽しいもので、だけどつまらない自分が敦貴を独占していることに申し訳なくて。それでも敦貴は友だちとして一緒にいてくれることを選んでくれた。
次第に皇祐は嬉しい気持ちとは別に違う感情が生まれていき…。
――僕は、敦貴が好きなんだ。
自分の気持ちに気づいた皇祐が選んだ道とは。
エブリスタ様にも掲載しています(完結済)
エブリスタ様にてトレンドランキング BLジャンル・日間90位
◆「第12回BL小説大賞」に参加しています。
応援していただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。
ピュアな二人が大人になってからのお話も連載はじめました。よかったらこちらもどうぞ。
『迷いと絆~友情か恋愛か、親友との揺れる恋物語~』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/416124410/923802748
森の中の華 (オメガバース、α✕Ω、完結)
Oj
BL
オメガバースBLです。
受けが妊娠しますので、ご注意下さい。
コンセプトは『受けを妊娠させて吐くほど悩む攻め』です。
ちょっとヤンチャなアルファ攻め✕大人しく不憫なオメガ受けです。
アルファ兄弟のどちらが攻めになるかは作中お楽しみいただけたらと思いますが、第一話でわかってしまうと思います。
ハッピーエンドですが、そこまで受けが辛い目に合い続けます。
菊島 華 (きくしま はな) 受
両親がオメガのという珍しい出生。幼い頃から森之宮家で次期当主の妻となるべく育てられる。囲われています。
森之宮 健司 (もりのみや けんじ) 兄
森之宮家時期当主。品行方正、成績優秀。生徒会長をしていて学校内での信頼も厚いです。
森之宮 裕司 (もりのみや ゆうじ) 弟
森之宮家次期当主。兄ができすぎていたり、他にも色々あって腐っています。
健司と裕司は二卵性の双子です。
オメガバースという第二の性別がある世界でのお話です。
男女の他にアルファ、ベータ、オメガと性別があり、オメガは男性でも妊娠が可能です。
アルファとオメガは数が少なく、ほとんどの人がベータです。アルファは能力が高い人間が多く、オメガは妊娠に特化していて誘惑するためのフェロモンを出すため恐れられ卑下されています。
その地方で有名な企業の子息であるアルファの兄弟と、どちらかの妻となるため育てられたオメガの少年のお話です。
この作品では第二の性別は17歳頃を目安に判定されていきます。それまでは検査しても確定されないことが多い、という設定です。
また、第二の性別は親の性別が反映されます。アルファ同士の親からはアルファが、オメガ同士の親からはオメガが生まれます。
独自解釈している設定があります。
第二部にて息子達とその恋人達です。
長男 咲也 (さくや)
次男 伊吹 (いぶき)
三男 開斗 (かいと)
咲也の恋人 朝陽 (あさひ)
伊吹の恋人 幸四郎 (こうしろう)
開斗の恋人 アイ・ミイ
本編完結しています。
今後は短編を更新する予定です。
不良×平凡 オメガバース
おーか
BL
自分のことをβだと思っていた…。αやΩなんてβの自分には関係ない。そう思っていたんだけどなぁ…?
αとΩを集めた学園に入学することになった。そこで出会ったのは、学園を仕切るGRACEのナンバー2。
不良×平凡で書いたキャラクターを引き継いで、オメガバースを書いて行きます。読んでなくても大丈夫です。
キンモクセイは夏の記憶とともに
広崎之斗
BL
弟みたいで好きだった年下αに、外堀を埋められてしまい意を決して番になるまでの物語。
小山悠人は大学入学を機に上京し、それから実家には帰っていなかった。
田舎故にΩであることに対する風当たりに我慢できなかったからだ。
そして10年の月日が流れたある日、年下で幼なじみの六條純一が突然悠人の前に現われる。
純一はずっと好きだったと告白し、10年越しの想いを伝える。
しかし純一はαであり、立派に仕事もしていて、なにより見た目だって良い。
「俺になんてもったいない!」
素直になれない年下Ωと、執着系年下αを取り巻く人達との、ハッピーエンドまでの物語。
性描写のある話は【※】をつけていきます。
いつかコントローラーを投げ出して
せんぷう
BL
オメガバース。世界で男女以外に、アルファ・ベータ・オメガと性別が枝分かれした世界で新たにもう一つの性が発見された。
世界的にはレアなオメガ、アルファ以上の神に選別されたと言われる特異種。
バランサー。
アルファ、ベータ、オメガになるかを自らの意思で選択でき、バランサーの状態ならどのようなフェロモンですら影響を受けない、むしろ自身のフェロモンにより周囲を調伏できる最強の性別。
これは、バランサーであることを隠した少年の少し不運で不思議な出会いの物語。
裏社会のトップにして最強のアルファ攻め
×
最強種バランサーであることをそれとなく隠して生活する兄弟想いな受け
※オメガバース特殊設定、追加性別有り
.
初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。
Ωの不幸は蜜の味
grotta
BL
俺はΩだけどαとつがいになることが出来ない。うなじに火傷を負ってフェロモン受容機能が損なわれたから噛まれてもつがいになれないのだ――。
Ωの川西望はこれまで不幸な恋ばかりしてきた。
そんな自分でも良いと言ってくれた相手と結婚することになるも、直前で婚約は破棄される。
何もかも諦めかけた時、望に同居を持ちかけてきたのはマンションのオーナーである北条雪哉だった。
6千文字程度のショートショート。
思いついてダダっと書いたので設定ゆるいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる