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【第一部】
初めて〜の
しおりを挟む「俺にはお前だけだ。覚えとけ。」
「…っはい」
仰向けに押し倒され、顔の傍についた両腕に閉じ込められる。
しかも肘ついてるから黒川さんの顔と俺の顔がめちゃくちゃ近くて、心臓が爆発しそうなくらい猛スピードで動いている。
こんなにドキドキしたことない。胸が苦しい。
「ち、かい、です」
「当たり前」
両頬を大きな手で包まれて、あ、キスするのかな。
そう思い、ぎゅっと目を瞑る。
最初はフレンチキスだった。数回ふにっと唇が軽く触れ合ったあと、顔中にキスを落とされて擽ったい。
不意に顔中に落とされていたキスが止み、また唇が重なる。
今度はかたく閉じていた唇を開けろと言うようにぺろっと舐められて、だけど唇がふるふる震えてうまく開けられない。
「くち、開けて、鼻で息する」
「んっぁ、」
黒川さんの低い声でやっと口を開けられたけど、記憶にある中でキスなんかした事がない俺。息も上手く出来ないし熱い舌が触れ合うだけで体をびくびく揺らしてしまうのが恥ずかしい。
けどそんなの気にしてる暇がないくらい気持ちよくて頭がぼーっとする。
あとやっぱり黒川さんと顔が近くて、それは唯一気になる。
「ぅっ」
キスされながらTシャツの中に手が入ってくるのに気付く。暫く素肌を撫でていたかと思えば気付くと俺は上半身裸で肌が丸見えになっていた。
けど黒川さんは未だキッチリとスーツを着ているのが恥ずかしくて俺は手を伸ばし黒川さんのネクタイを引っ張った。
「…黒川さんも…脱いで…」
「ん」
黒川さんは俺の髪に一回キスして上半身を起こした。
そしてネクタイに指をかける。
しゅるっと解けるその音と姿でさえなんかとてつもなくエロくて目を逸らした。
首元から一つずつ外されていくボタン。
そうすると黒いシャツから見える素肌をガン見してしまう。
「ぅ、っわ」
「そんな見るなよ」
忘れてたけど今はまだ真昼。
カーテンは当たり前に閉まってないから窓から入ってくる光に黒川さんの身体が照らされて、やっぱりどこを見たらいいか分からない。
俺と同じ上裸になった黒川さんは腹筋バキバキ…俺も割れてないわけじゃないけど、黒川さんと並ぶと誰でも貧相に見えるだろこれ。
「…明るい、デスね」
だからどうにかして室内を暗くして欲しい…!と願いを込めて言ってみると、黒川さんはベッド横のサイドテーブルに手を伸ばす。
ピッと音がしてカーテンが閉まった。
いやいやカーテンくらい手で閉めろやと思うが、この馬鹿デカいマンションは金持ち仕様らしい。
「お前の感じる顔、よ~く見たかったんだけどなぁ」
黒川さんはニヤニヤしながらわざとらしく言うと俺への愛撫を再開した。
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