56 / 226
【第一部】
2
しおりを挟む胸か心臓だかわかんないけどそこら辺がチクチク鋭く痛む。
自分でこの感情が何かは分かっている。
病気なんかじゃない、目の前の光景にシンプルに嫉妬している。
だってつまんないだろ。自分の番 兼 恋人が他の男と腕組んでるとか。
有り得ない。
自分にこんな感情があった事も有り得ない。
理央は見た感じαじゃなさそうだから俺と同じΩかも。
αはΩと違って複数の番を持てるっていうけど、…。
頬を染めて可愛らしく黒川さんに笑いかける理央をじっと観察する。項は制服の襟で見えない。
──まさか、ね。
「廉~次はクラゲ見たい!その後イルカショー!」
「はいはい引っ張るなって…」
館内が暗くてよかった。ここは特に暗い深海魚のコーナー。次はクラゲらしい。理央に腕を引っ張られる黒川さんの何か言いたげな視線を感じるが中々顔をあげられない。
さっき浮かんだ最悪の想像を振り払うように頭を振って二人の後ろからついて行く。
「廉!見て!これ可愛いよ」
「…ふーん」
黒川さん以外の男が今の理央のセリフを聞いたら100人中100人が『お前の方が可愛いよ』と返すだろう。
何度も言うがそれくらい理央はかわいい。俺は?もちろん可愛くない。
何で身長は同じくらいなのに理央は可愛いんだ。
「華」
「いっ、てぇ!」
不意に伸ばされた黒川さんの手。思わず俺も手を伸ばすが触れる直前でばしっと理央にはたき落とされる。
「──駄目!廉は俺とイルカショー行くの!」
じんじん痛む手を摩ると黒川さんの咎める様な視線が理央を捉えた。
「お前いい加減にしろよ」
「…」
「おい聞こえてんのか」
「…トイレ…いってくる」
黒川さんに怒られるとそう言って近くのトイレに行った理央。
俺も何か言われるのかな、いや俺は何も悪くないよな、と思いながら何となく俯く。
0
お気に入りに追加
249
あなたにおすすめの小説
Take On Me 2
マン太
BL
大和と岳。二人の新たな生活が始まった三月末。新たな出会いもあり、色々ありながらも、賑やかな日々が過ぎていく。
そんな岳の元に、一本の電話が。それは、昔世話になったヤクザの古山からの呼び出しの電話だった。
岳は仕方なく会うことにするが…。
※絡みの表現は控え目です。
※「エブリスタ」、「小説家になろう」にも投稿しています。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
【胸が痛いくらい、綺麗な空に】 -ゆっくり恋する毎日-
悠里
BL
コミュ力高めな司×人と話すのが苦手な湊。
「たまに会う」から「気になる」
「気になる」から「好き?」から……。
成長しながら、ゆっくりすすむ、恋心。
楽しんで頂けますように♡

初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭

ヤクザと捨て子
幕間ささめ
BL
執着溺愛ヤクザ幹部×箱入り義理息子
ヤクザの事務所前に捨てられた子どもを自分好みに育てるヤクザ幹部とそんな保護者に育てられてる箱入り男子のお話。
ヤクザは頭の切れる爽やかな風貌の腹黒紳士。息子は細身の美男子の空回り全力少年。

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる