a pair of fate

みか

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【第一部】

お泊まりリベンジ

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「……夢…ですかね…?」

「もしかしてまだ寝てんの?」

「いや…なにこれ…」


ふかふかのカーペットが敷いてあるホテルの廊下に立ち尽くす俺。

ドアを開けると目の前に広がるのはいわゆるラグジュアリーホテルと呼ばれる部屋の一室だった。

軽く腰を抱かれ一歩踏み出す。
寝起きの俺の頭はこの状況をまだ飲み込めていない。
黒川さんの安全運転でいつの間にか寝落ちていた俺は気が付くとどっかのホテルに着いていて今のこの状況。

長い廊下の先には二人には広い、広過ぎるリビング。
窓から見えるのは絶景で夜は夜景が綺麗なんだろうなと容易に想像できるくらい見える沢山の建物。


「たっっっっか!!!えっ?ここ何県ですかね?!」

「気に入ったか?」


窓に指紋がつかないようにスレスレまで近寄り下を見る。
俺が自分から見たんだけど高すぎて目眩がする。
黒川さんも大興奮の俺の隣に立ち、景色を眺める。


「いや、えっ、気に入ったっていうか凄いです…初めてこんな…え?てか予約とかしてたんですか?」

「…まぁ…デートだし…?」

「え!?」


黒川さんから『デート』という単語が出たのに驚き、思わず見上げると凄い勢いで大きな手で視界を覆われる。


「え?!えっ?!デートって言いました?!手!どけてください!!」

「無理」


ぐぐぐ…、と覆われていた居たはずがいつの間にか片手で顔面を掴まれている。

その手を俺が掴み『痛い痛い!』とギブアップしたら案外すぐに視界は明るくなった。


「…真っ赤…」

「うるせぇな」


俺を見下ろす黒川さんの顔はゴンドラの中で見た時くらい真っ赤で、つられて俺の顔も熱くなる。
数秒間、見詰め合い、顎を掬われゆっくり唇が重なる。


「………っン、」

「…っふ…可愛い」

「…ずるいです」


もう一度、触れるだけのキスをしたあとふわりと頭を撫でられ何だか恥ずかしくなった俺たちはクスクス笑いあった。
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