a pair of fate

みか

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【第一部】

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「いつまでですかこれ」

「あ~?俺の気が済むまで」

「はぁ」


チラチラ送られる視線。
決して好意的ではないそれが気になって仕方がない。
俺は繋がれた右手をぶんぶん揺らす。

数十年前まで男同士のカップルは珍しかったみたいだけど、バースの事が色々研究され始めてからは街を歩く男同士のカップルは、男女カップルと同じくらいになっていた。

だがしかし、ただの男子高校生とどっかのモデルみたいな男が遊園地ってそりゃ視線集めるわな…


「次どこ行きますか?」

「んーお前の行きたい所」

「あ!ジェットコースター!」

「…あぁ」


目に入った全長○○メートル!という看板。
俺はそれを指さし『この先、右!』と書いてある通りに右折する。

他のアトラクションにはあった最後尾とか書いてある看板がなくて嬉しくなり黒川さんの腕を引っ張った。


「あ!ちょうど空いてますよ!すぐ乗れそう!」

「…あぁ」


係の人に二人で!と元気よく言い、座席に座る。
俺らの他に数組乗っているだけだった。
安全バーはかなりゴツくてワクワクが止まらない。


「あ~楽しみですね黒川さ…、黒川さん…?」

「…おう」


笑いながら右隣を見ると心許なさそうな顔で明後日の方を見る黒川さん。
安全バーをぎゅっと握る手は心做しか少し震えている。

も、もしかして…絶叫系無理なのかこの人…?
ヤのつく仕事してるくせに…?日本刀とか銃は大丈夫なのに絶叫系が無理なの…??すっげぇウケるんだけど…??

俺は心の中のメモ欄に『黒川さんは絶叫系が苦手』と書いた。


「…ふふ…マジですか?おります?」

「いや、華とならいける気がする」

「そんな死んだ目で言われても」


虚ろな目で微動だにしない黒川さんを無視してガタガタと前に進むジェットコースター。

不意にバーを掴んでいた右手が握られそちらを見る。
黒川さんが前を見ながら俺の手を握っていた。


「黒川さんかわいいですね」

「調子乗んなよ…俺だってやれば出来る…」

「…あ!あっち見てください!観覧車!」

「無理」

「あ、落ちる」


頂上キタ~!さっきの観覧車見える~!あ、落ちるって感じのスピード感がたまらない。

ゴォォォォォォォと音を立てながら急降下する。


「うわぁぁぁぁあ!!」


隣の黒川さんは声もでてなかった。


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