a pair of fate

みか

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【第一部】

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「っう」

「おわっ!」


ネオン街の半分ほどに来たところ、下を向きながら歩いていたせいでキャッチのお兄さんにぶつかる。


「すっ!すみません!」

「っお~、気をつけて早く帰んなクソガキ」


慌てて謝ると別に気にしてない感じで再び仕事帰りのおじさんに声を掛け始めたキャッチさん。

よ、よかった。

あの人が‪α‬だったら俺死んでたかも...。
まぁ‪α‬が全員悪い人ってわけじゃないんだけどな。

‪α‬独特の威圧感がなかった事に安心し、また歩き出す。
今度はちゃんと前を向いてね。
『華はΩなんだから、気を付けて。』と小さい頃から母に何度も言われ続けた台詞が脳内再生する。

思い出して、別に本当にΩか分からねぇじゃん。と少しイライラ。

俺、金条 華は17歳の高校三年生。

バースはΩ、それは出生時に検査されて分かっている。
だけど俺は今年18になるのにまだ発情期が来ていなかった。

出生時検査でΩって事は分かっているけど、俺はΩにしては身長が高く、運動も勉強も割とできる方だ。
それこそ時々『華って‪α‬だっけ‬?』と聞かれるくらい。

そんな事があれば、検査結果が間違っていたのかと疑いたくもなるだろう。

…でも俺には‪α‬独特の威圧感がない。

それで何となくわかっていた。
自分はΩだと認めるしかない。

発情期が来てないお陰で盛っている‪α‬に襲われる事はこれまでなかった。


「.....はぁ。」


嫌な気持ちになった。
早く帰って妹に癒されたい。早く帰ろう。と気持ちを入れ替え前を向く、その時だった。

ネオン街の入口に重厚感のある黒塗りの車が一台停まる。

後部座席のドアが開き、黒いスーツの男が二人降りてきた。
途端、ネオン街がザワザワ、と一層騒がしくなる。


うわぁ....いかにもって感じ.....。
確実にカタギではない雰囲気に身を震わせる。

なるべくその二人の視界に入らないよう道の端に寄るが、歩む足は変わらず早足。

あと少しでネオン街を抜ける、あ~早く妹に会いたい~。

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