ペトリの夢と猫の塔

雨乃さかな

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第2章『悪夢の王国と孤独な魔法使い』編

第41話『入口/Gate』

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 しばしの休息を終えて、エレリア、ミサ、ソウヤ、そして、白猫のモフミは共に広大な城下町を時折迷いながらも歩き続け、遂にスカースレット城の目の前まで到着した。

「これがスカースレット城……」

 どれほど、この瞬間を待ち望んだだろう。あの日、初めてマルロスという男が村に依頼を持ち寄って来た日までは、まさか自分たちが隣国の王のために、それもポーションを作るなんて少しも思ってもいなかった。もちろん、強く覚悟を決めた上で彼の頼みを承諾したわけではあるのだが、村を出発する最後の最後まで確かな実感が湧かないでいた。
 しかし、今、自分たちはここにいる。ずっと頭の中で夢見ていたあの王国の城の前に、この足で立っているのだ。

「おいおい、何てデカさなんだよ……」

 実際にスカースレット城を目の前にして、3人はその圧倒的な城のスケールにただただ息を呑むしか術がなかった。
 鮮やかに映える深い黄色を基調としたスカースレット城。先端が尖った塔は天高くそびえ立ち、城壁には王の威厳を示すかのように無数の国旗が風でなびいている。
 それはまるで、城全体が一つの街のようだった。
 この圧倒的な風格ならば、城下町のどこからでも城を眺めることができるだろう。
 さらに、分厚い石造りの城壁がぐるりと城を囲み、それに沿って用水路を兼ねた人工的な川が流れている。これでは、川を泳いで壁をまるごと壊すか、正式な門から突入する以外では、城内に侵入することはまず不可能だ。
 また、鎖で吊られた橋の向こうには、屈強な鎧で武装した2人の兵士が正門の前に立っていた。どうやら、城の中に入るには、まず彼らと接触する必要があるようだ。

「あぁ、なんだか緊張してきた……!!」

 王への面会が近づいてくるという実感が高まるにつれて、エレリアもミサのように自身の心臓も張り詰めているのに気づいた。
 だが、無理もないことだろう。城下町の人混みでさえ、すでに精神は疲弊しきってしまっているのだ。ましてや、これから王に会ってしまえば一体自分たちはどうなってしまうのだろう。正気を保つことができたらいいが。

「ところで、ミサ。マルロスさんから貰った例の通行手形はちゃんと持ってきたんだろうな?」

 その瞬間、とつぜんミサの顔が突然青白くなったかと思うと、口に両手をあてて叫んだ。

「あぁっ、どうしよう!! 通行手形、家に忘れてきちゃった……!!」
「おい、嘘だろぉ!!? 何してんだよ!」

 ふと思い出したかのように急に慌て始めたミサの一言に、エレリアとソウヤは一気に自身の血の気が引いていく気分だった。
 今、ミサは何と言ったのか。
 あの日、マルロスから貰った通行手形。あれが、無ければ城内に招待してもらえない。かと言って、今から村に引き返す時間も体力もない。

「……ふふふ。なんちゃってねっ。ほら、見て」

 しかし、その直後こらえきれなくなったミサの口の端が緩むや否や、彼女は愉快そうに吹き出しながらポケットからあるものを取り出した。
 彼女の手にあったもの。それは、あの通行手形だった。

「もう、安心してよ、二人とも。私が持ってくるのを忘れるわけないじゃん。冗談だよ、冗談」
「……おい、まじでよ、ついていい冗談とダメなやつがあるだろ。ビックリしすぎて、10秒くらい寿命が縮んだぜ……」
「10秒なんだ……」

 通行手形を忘れてしまったと必死に慌てふためくミサであったが、実はそれが芝居だったことが数秒後に判明し、二人は一瞬のうちに張り詰めた息を安堵と共に吐き出した。
 とにかく、彼女はちゃんと通行手形を持ってきていたのだ。これで、城の中に入ることができる。
 しかし、ソウヤの言ったとおり、このような緊迫した状況で、冗談を言うのはいくら何でも趣味が悪すぎるのではないか。ただ、無駄に張り詰めたこの気分をほぐす目的で、わざと彼女がおどけて見せたとしたら、どうだろうか。事実として、今エレリアの胸の内は先と比べれば幾分軽やかにはなっている。
 真意のほどは不明だが、なんとかこれで城に入る準備が整った。



 少し震える足取りで、3人と1匹は橋を渡り、城の入口である関門の前までやってきた。
 スカースレット城の正門はまるで歯を噛み締めるかのごとく頑丈な鉄の門で固く閉ざされており、その前に立ち塞がる門番によって許可を出された者のみが中に入ることが許される仕組みになっていた。
 門番の兵士に近づいていくにつれて、緊張で鼓動が速くなっていくのが分かった。色々な意味で、まずここを通ることが第一関門だ。
 エレリアたちに気づいた門番のうちの一人が緩んでいた気を引き締め、鋭い眼光と共に手にした槍の先を3人に向けた。

「止まれ、旅の者たちよ。我が城に何の用だ」

 必要最低限の口数と、冷たく突き放すような物言いで兵士は口を開いた。彼の目は素性の分からないエレリアたちの一挙手一投足を疑いの視線で眺め、少しでも3人が不審な振る舞いを見せれば、そのまま手にした槍で突かれてしまうような緊張感に包まれていた。
 それでもミサは震える手をもう片方の手で押さえつけ、意を決して門番の兵士に話しかけた。

「え、えっと……、その……。私たちは王様に会いにきたんですけど……」
「民間人と王との面会は原則として固く禁じられている。それ以外の用がないのであれば、お引き取り願おう」

 時折、どもりながらもミサは小さな勇気を振り絞り、言葉を選びながら慎重に会話を行おうとした。
 しかし、彼女が話し終えるよりも先に、要求の結末を先に見通した兵士は使い古された決まり文句でミサの会話を早々に突っぱねてしまった。

「あ、あのっ、そうじゃなくて! こ、これを見てください!!」

 早とちりな兵士の呆れ果てた態度に、このままでは城に入れなくなると焦燥に駆られたミサは急いでポケットからマルロスによる直筆サインが記された通行手形を取り出し、素早く兵士に見せつけた。

「……なるほど、通行手形を持っていたか。少し、そこで待っておれ」

 そう言うと、兵士はミサからしわくちゃになってしまった手形を受け取り、もう一方の兵士に門番を任せると、近くにあった扉の奥に消えて行ってしまった。

「……」

 見知らぬ門番の兵士と居心地の悪い沈黙の時間が流れる。
 ここは何か話題を持ちかけこの重い空気を少しでも心地の良いものにしたいところだが、相手は大国の城に仕えている人間だ。気軽に話しかけていいような雰囲気ではなかったし、軽率な計らいはむしろ相手の職務を妨害してしまうことになる。

「ちゃんと、城の中に入れればいいけどな……」

 すると、3人にだけ聞こえるような小声でソウヤが口を開いた。

「そもそも、あの手形、本物なんだろうな……?」
「本物だよ……! ちゃんとマルロスさんからサインつきで貰ったんだよ? 偽物のわけないじゃん!」
「……だと、いいけどよ。にしては、遅すぎねぇか?」全然、戻ってこねぇじゃねぇか、あの兵士さん」

 それから門番の兵士がミサの手形を解析しに行ってしばらく経ったが、ソウヤの言う通り、彼はなかなかエレリアたちのもとに戻ってこなかった。手形は本物で間違いないはずなのだが、ここまで待たされると次第に不安な気持ちになってきてしまう。



 しばらくして、ついに閉ざされたままの扉の向こうからあの兵士が戻ってきた。表情を見る限り、特に問題があるようには見えず、きちんと手形は機能を果たしてくれたようだった。
 すると、彼の後ろからもう一人、鎧に身を包んだとある兵士の男も同時に姿を見せた。その見覚えのある顔を見て、ミサは思わず声を漏らした。

「あっ……」

 そして、その男はエレリアたちの姿を見つけるや否や、やけに慌てた様子で急いで駆け寄り、切羽詰まった物言いで叫んだ。

「待ちわびたぞ、ミサ殿!!」

 待ちわびたのはこちらも同じなのだが、そこは声には出さず心の中だけにエレリアは留めておいた。

「マルロスさん!」

 ミサの口にした名で、ようやく思い出した。そうだ、この男こそミサにポーションを作ってほしいと依頼した、すべての始まりの男、マルロスであった。太陽の下で赤く輝く長髪に、男としての色気に満ちた眉目秀麗な佇まい、間違いない。
 だが、そんな彼は端正な面構えに似合わず顔に焦りの色を浮かべて、兵隊長らしからぬ慌ただしい振る舞いをエレリアたちに見せつけた。

「何をしておったのだッ! 約束の日はとっくに過ぎておるのだぞ!」
「す、すみません!!」

 出会って早々いきなりマルロスから叱責の絶叫を喰らい、とにかくミサは必死に頭を下げて謝罪の意を唱え続けた。
 そうだ、マルロスと交わした約束では、ポーションをここに届ける日は昨日だったのだ。だが、コックル村出発当日での予想外のメノーの襲来によって、出発の日が一日ズレてしまったのだ。

「なかなか卿たちが現れんから、つい今さっき村に使いの兵を送ったばっかりだったのだぞ!!」
「えぇ、使いの兵って、そうだったんですか!?」

 どうやら、ポーションの到着を待ちきれなくなった王国側は居ても立ってもいられず、コックル村に直接エレリアたちを迎えに兵士を送り込んでしまったらしい。
 しかし、昨日はとてもじゃないが王国に出発するどころではなかった。メノーの突然の襲撃を、どう彼に説明すればよいのだろう。

「……ま、まぁ、よい! ここでとやかく咎めたとて、無駄に時を浪費するだけ。とにかく、私についてきたまえ」

 そう言い、マルロスがエレリアたちを正式にスカースレット城内部に案内しようとした、その時だった。

「ちょっと、待て。その白猫はどうしたのだ? 流石に猫は城の中には入れれんぞ」

 当たり前の顔をしてエレリアたちと共に城に入ろうとしたモフミを、マルロスの鋭い視線は見逃さなかった。

「えぇっと……、この子も一緒に入れることはできませんか?」
「他国が送り込んだスパイかも知れぬ。それ故に、素性の分からない生物を城に入れることはできない」
「そんな……」

 穏便な態度でミサはモフミも一緒に連れていきたいと何度も交渉し続けたが、いくら情に訴えかけようともマルロスの信念は少しも揺らぐことはなかった。それどころか、彼は邪険な眼差しでモフミを見つめ、今にも忌々しき魔物として切り捨ててしまうのではないかと思ってしまうほど妙に危うい緊迫感が彼から漂っていった。

「ブルーノ。その猫を保護して差し上げろ」
「はっ!」

 すると、マルロスから命令を受けた門番の兵士の一人がおもむろにモフミに片手を伸ばすと、容赦なくモフミの首根っこを掴み軽々と持ち上げた。
 宙ぶらりんに吊られるモフミ。当然、モフミは身体をくねらせて抵抗したが、慣れた手つきで兵士は暴れる白猫を見つめていた。
 しかし、このままやすやすと人間の手によって捕らえられるモフミでは無かった。意表を突くような威嚇と共にモフミは信じられない柔軟な動きで兵士の手に思いっきり噛みつき、あまりの痛みに思わず兵士が手を離した隙に、軽々と地面に降り立った。

「シャッァァア!!」

 そして、毛を逆立てたモフミは鋭く尖った牙をむき、小さな身体で人間という自分よりも巨大な存在にその自身の威厳を最大限に見せつけた。

「モフミ……」

 初めて見た猫という生物の威嚇に、エレリアは思わず面食らってしまった。可愛げな見た目からは想像もできないほど、今のモフミは猛獣としての闘争心に駆られている。
 しかし、王国の兵士たちはこの手の展開には慣れているようで、特に慌てた様子はなく、むしろ呆れ果てた表情をこぼしていた。
 逃げることなく、勇ましく威嚇を続けるモフミ。そんな彼女に兵士は小さく呆れた吐息を漏らすと、手の平をモフミに向けた。

「……ムーファ」

 彼がとある魔法の名を詠唱する。
 そして、彼の手から夢うつつな波動が放たれたかと思うや否や、果敢に兵士に立ち向かっていたモフミはいきなり虚ろにまぶたを閉じ、地面に倒れ込んだかと思うと、そのまま寝息を立てて気を失ってしまったようだった。

「モフちゃん!?」
「安心したまえ、眠っているだけだ。危害は加えていない」

 兵士が唱えたムーファという聞き慣れぬ言葉。それは、対象物を眠らせることのできる魔法のようだった。まんまとムーファという眠りの魔法にかかったモフミは静かに目を閉じ、深い眠りについていた。

「卿たちの任務が果たされるまで、こちらの生物は我々が責任を持って保護させていただく」
「は、はい……」

 兵士からまたもや首根っこをつかまれ、無様に宙づりになるモフミ。
 それはまるで、無駄な抵抗をするとこうなるぞと言わんばかりに、こちらに見せつけているようだった。抵抗なんぞ初めからする気はないのだが、少しでも城の人間の気に損ねるようなことでもすれば、どんな処置を行使されるか想像もつかない。
 モフミの二の舞を踏まないためにも、エレリアたちは改めて気を引き締め、固唾を飲み込むのだった。



 モフミと別れさせられた後、マルロスに案内されるがまま、エレリアたちは城の中に足を踏み入れた。
 ついに目の当たりにしたスカースレット城の内部。それは、もう息を呑むほど豪華なものだった。
 一度、コックル村で村長の豪華な屋敷を訪ねたことがあったが、このスカースレット城に関してはそのような比ではなかった。まず間取りのスケールが違うのは当然のこと、天井の隅から地面の隅まで鮮やかな装飾が施され、まるで王国の荘厳なる国威を最大限まで具現化したもののようだった。それは、あまりの輝きに思わず目が眩んでしまいそうなほど。
 また、すれ違う人間一人一人からは上流階級ならではの気品が溢れ出していて、遠い田舎からやって来たエレリアたちは得も言われぬ疎外感を感じながら歩いていた。
 世界には、ここまで豪華絢爛な場所があるなんて。まるで、夢を見ているような気分だ。
 時折、気を抜いてしまうとなぜ自分がこのような場所にいるのか分からなくなってしまう。だが、与えられた使命を果たすまで、エレリアは強く自分に言い聞かしてしっかりと現実を見据えた。

「こっちだ。ついてきたまえ」

 マルロスは後ろの少年少女3人がちゃんと迷わずついてきているか確認しつつ、エレリアたちをさらに城の奥へ案内した。
 何度も階段を上り下りし、今ここが何階のどこかも分からないところまでエレリアたちはやって来た。

「……ねぇ、どこまで行くのかな?」

 黙ったままひたすら城の中を行くマルロスの背後を歩きながら、ふいにミサがどこか不安げな顔で、エレリアとソウヤにだけ聞こえるような小声を漏らした。その声には気だるげな吐息の成分が多く混じっており、それはすでに彼女の体力が残り僅かであることを示していた。

「さあな。ただ一つ言えるのは、ここまで複雑に入り組んでるのは、恐らく敵の侵入を惑わせるためなんだろうな。……知らんけど」

 ソウヤもその顔を少し曇らせながら己の解釈と共に返答した。
 親切に案内してくれるのはありがたいが、ここまで一方的に無言で見知らぬ城の中を歩き回されれば、さすがに不安になってくる。だが、あくまでもこちらは王の命を救うためにやってきた、いわば王国の救世主なのだ。ここは、無下に扱われることなど無いと信じたい。

「この部屋だ。入ってくれたまえ」

 すると、突然マルロスの足が止まり、3人はとある部屋にたどり着いた。
 そして、彼に促されるがままエレリアたちはその部屋の中へ案内された。
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