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第1章『始まりの村と魔法の薬』編
第0話 始まり/Prologue その3
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何が起こったか分からないまま、エレリアは必死に無我夢中で走ってきた。
走れど走れど、目の前に広がるのは変わらない地獄の景色のみ。
肺が焼けつくように痛い。きっと煙を吸いすぎたからだろう。
それまで、何度もエレリアは思った。これが、すべて悪い夢でありますようにと、すべて何かの間違いでありますようにと。
しかし、こうして焼けつく皮膚や肺の痛みを感じることから、これは何の紛れもない現実であると痛感させられる。
そんな途方もない絶望を巡らすと、彼女は何度も胸をえぐられるような気持ちになった。
そして、その瞬間はいきなり訪れた。
突然エレリアの足に何か大きなモノがぶつかったのだ。
必死に走っていた彼女はそれに気づかず、そのままダイナミックに地面に叩きつけられてしまった。
彼女の小さな悲鳴と共に、派手に土埃が舞う。
「痛てててて…」
エレリアは地面に手をつき、ゆっくりと起き上がった。
そして、自分の膝をゆっくりと見ると、土で黒く汚れた皮膚の下から赤い血が滲んできているのが見てとれた。
「…どうしよう。血が…」
あっという間に血はドクトクと、傷口から流れ出てきていた。
とりあえず、エレリアは急いで手で傷口を押さえることに。
昔から泣き虫だった彼女は、よく怪我をしていた。その度に、母に治療してもらっていたのを思い出す。毎日のように怪我をするものだから、母にはいつも迷惑をかけていたかもしれない。
そんな一瞬能天気なことを考えていた矢先、後ろを振り返ると、鎧を着た戦士風の男がよろよろと起き上がろうとしていた。その男は漆黒の鎧と兜を身に纏い、腰には剣を携えており、はっきりと顔は見えないが、いかにも邪悪な雰囲気に包まれていた。
突然の状況に思考が追い付かず、エレリアはその男の姿を確認する。
彼女が足に引っかけた「モノ」とは、どうやら地面に倒れていた彼らしい。彼女とぶつかった衝撃で、彼は目が覚めてしまったようだ。
すると、彼はようやく意識を取り戻し、頭を抱えて、地面に座り込んでいたエレリアの姿を発見する。
「…ん?」
お互い今の状況が理解できないまま、しばし見つめあっていた。
エレリアは自分の心の内で「逃げろ!!」と本能が騒ぎ立てているのが分かった。
そしてそのまま、彼女は逃げ出そうと足に力を入れる。
しかし、刹那の差で男が先に立ち上がり、
「あっ、いたぞ!!白い娘だ!」
と森全体に響き渡るような大声を上げた。
「しまった、見つかっちゃった…!」
どうやらその男は、宮殿の兵士たちや母親が敵として認識している相手の落武者だったようだ。
すっかり正気を取り戻した男は彼女を捕らえようと、あるいは殺してしまおうと、こちらに向かって詰め寄ってくる。
エレリアはじっと男の顔をじっと鋭く睨み付けた後、隙をついて地面に落とした白い包みを拾い上げ、一目散にその場から駆け出した。
「おいっ、こら、待て!!」
後ろからあの男がやって来る。
幼い頃、宮殿の中で妹と一緒に楽しく追いかけっこをして遊んだこともあったが、今の状況はそんな事とは比にならない。
あの男は自分を殺そうとしているのだ。そう考えるだけで、エレリアの心は恐怖で潰されてしまいそうだった。
しかし、身軽で小柄なエレリアは器用に木々の隙間を走り抜けていく。男はエレリアより大柄な体格だったせいか、二人の間の差は見る見るうちに離れていく。
エレリアが心の隅で「逃げ切れるのでは」と甘い未来を思い浮かべたのも束の間、男はなかなか埋まらない二人の差にシビレを切らしたのか、恐ろしい声でエレリアに向かって叫ぶ。
「小娘、この俺から逃げ切れると思うなよ!これでも喰らえっ、『ボーマ』!!」
すると、男の振った剣の先から小さな火の玉が発生し、空間を切り裂きながら、ものすごい速さでまっすぐエレリアに向かって飛んできた。
とっさの出来事に判断できず、気づけば火の弾丸はエレリアのすぐ後ろまで迫っていた。
「うあっ!!」
そのまま、何が起こったのかも理解することもできず、エレリアは背中からもろに男の放った火球を喰らってしまった。あまりの激痛に息が詰まり、視界が真っ赤に染まる。
「よしっ!」
男は嬉しそうに拳を握り、ガッツポーズで喜びの意を示した。
しかし、エレリアは脳天を貫くような激しい痛みを歯を食いしばって堪えきった。そして、地面に片方の手をつき、吹っ飛ばされそうになった自分の身体を支え、なんとか体勢を維持。
そのまま、近くの草の茂みに頭から飛び込んだ。
「おい、待て!!」
数秒後、男はエレリアの飛び込んだ茂みに追い付き、急いで草むらを乱暴に掻き分ける。
しかし、そこにはもう彼女の姿はどこにも見当たらなかった。
つまり、逃げられてしまったのだ。
「くそっ、逃がしたか…!!」
男は叫ぶと、悔しそうに自らの膝を強く叩いた。
もうエレリアの体力は限界の限界に達していた。
全身はすでに傷だらけで、これ以上歩くことすらもできそうにない。
依然として、木々は激しく燃え続けている。
周囲に充満した煙がエレリアの肺に流れ込み、彼女は激しく咳き込んだ。
そして、とうとう立つ力さえ失い、エレリアは勢いよく地面に倒れた。
「ごめん、お母さん。私、やっぱり無理かも…。もう、歩けないよ…」
そう声を漏らした彼女の、ゆっくりと閉じていく瞳から、一筋のしずくがこぼれ落ちた。
これまで涙は浮かべた事があっても、決して泣かないと自分の中で決めていた。
しかし、今こうしてどうすることもできない状態になって初めて、彼女の目からは制約から解き放たれたように大量の涙が押し寄せてくる。
結局、泣いてしまった。
その涙の出所は恐怖からか、不安からか、孤独からか、寂しさからか、それとも何もできない無力な自分に対しての悔しさからか、彼女自身もよく分からなかった。
しかし、そんなことなど、エレリアにとってはどうでもよかった。
もう、疲れた。
やれることは、もう全部やりきったのだ。
つらいのはもう嫌だ。
怖い思いをするのはもう嫌だ。
寝てしまおう。
寝てしまえば、楽になれる。
すべてが終わる。
そんな安楽な意に誘われるがまま、エレリアは目を閉じようとする。
「…っ!?」
完全に目を閉じきり、意識をこの世界から遮断しようとした。
しかしその刹那、エレリアの霞みきった視界の向こうから、何かの建造物のような光景が飛び込んできた。
「…あ、あれは…、森の…ほこら…?」
朦朧とする意識の中で、エレリアはふと母との約束を思い出す。
「…森のほこらへ行きなさい」
「…そこの方がずっと安全よ」
「…生きて帰って来て」
あの時、母と交わした約束が頭の中で反芻するように回想される。
「…そうだ。私は生きて帰らなくちゃいけないんだ。こんなところで死んでちゃ、母様が悲しむだけだ…!」
エレリアは閉じていたまぶたを開き返し、力強く大地に手をつき、母との約束を原動力に最後の力を振り絞って、よろよろと起き上がる。
まだ、自分の身体は動くようだ。
それだけ確認すると、エレリアは再び母から渡された白い包み抱き締め、ゆらゆらと揺れる視界の中、おぼつかない足取りで、その建造物の方へ歩を進めて行った。
「…これが、母様が言っていた森のほこら…?」
目の前の建物が近づくにつれ、その存在感はどんどん増していく。
「…と、とりあえず、中に入ってみよう」
彼女は自分の中の身体の内で起こる不思議な感覚を確認した後、建物の内部へ入ろうと入口を探した。
しかし、その建物はすでに木の根やおびただしいツタで覆われており、入口とおぼしき部分も瓦礫に埋もれてしまっており、簡単には中へ入れそうも無かった。
見ると、その建物はまさに、完全に忘れ去られてしまったようなたたずまいであった。
仕方なく、エレリアは建物の目の前まで進み、どこか内部へ侵入できないか、手探りで探すことにした。
すると、瓦礫と瓦礫の間にわずかな隙間を見つけ、エレリアはここから中へ入ることができそうだと判断した。
「うっ、せ、狭い…」
いくら小柄な少女のエレリアといえども、その隙間は易々と訪問者を中へ招き入れるような親切なものでは無かった。
しかし、エレリアは身体をよじりながら、なんとかその建物の中に入ることに成功した。
もちろん、白い包みも忘れずにしっかり持ってある。
なんとか中に入った建物の中は暗い闇に閉ざされており、埃とカビのような匂いで充満している。
そして天井のわずかなヒビの隙間からは一筋の光が差し込んでいて、それが暗闇の中の、ただ唯一の明かりとなっていた。
そして、その建造物に侵入したエレリアはふと、自分の身体の中に浸透している不思議な温もりを感じた。そう、さっきまで憔悴しきっていた身体が嘘のように軽いのだ。
気づけば身体中の傷はすべて癒えており、みなぎるような活力が全身に満ちていた。その気になれば空だって飛べそうなぐらいだ。
そんな、おそらく「森のほこら」だと思われるこの建造物。
いざ入ったのはいいものの、あの時、母が言っていた肝心の「戦士の像」がどこにも見当たらない。暗闇に目を凝らしても、まず像のような物すら見当たらない。
あるのは、ただの空間だけだ。
「どうしよう。ここは森のほこらじゃないのかなぁ…」
途方にくれて、肩を落とすエレリアだったが、またしても新たな発見を目にする。
ほこらの最深部、そこの小さな隙間から何やらまばゆい白い光のようなものが溢れている。
近づいて見てみると、どうやらその光は木の根の間にできた隙間から放たれているようだった。
「これは…?」
エレリアは目を細めて、光が溢れているその隙間の中を覗きこんでみると、なんとさらに奥へ階段が続いていた。
「階段が…。ってことは、まだ奥に部屋があるってこと?」
いったんエレリアは深呼吸し、昂る身体の調子を整える。埃臭くはあっても、外の煙を吸うよりは断然こっちのほうがいい。
「よし、行ってみよう」
意を決し、エレリアは両手で隙間を作っている根っこを掴み、一息置いた後、全身の力を込めて、思いっきり隙間をこじ開けた。
「んんんっ!!」
思ったよりあっさり、木の根の隙間は広がり、そのまますぐにすっぽり入れる、とまではさすがにいかないが、エレリアがギリギリ中へ入るぐらいのスペースができた。
先に包みを隙間の中へ入れ、その後を彼女自身の身をその間に入れ込んだ。
木の根の隙間を抜けると、先ほど確認した通り、階段が下の方へ続いており、どうやら光はその先から発せられているらしかった。
エレリアは白い包みを抱き直すと、慎重に一段一段踏みしめて、警戒の糸を切らすことなく階段を下りて行った。
階段は更に奥の方へつづいている。
そして、最後の段を下りきると、そこには目を疑うような光景が広がっていた。
なんと、小さな部屋の中に泉が湧いていたのだ。
いつの間にか、無機質な石畳だったほこらの地面は深緑の芝生になっており、部屋を見回すと色とりどりの蝶々や淡いオーブのようなものが浮遊している。
そして、真ん中に位置している虹色に輝いている泉からは、まるでエレリアを誘い込むかのような幻想的な光が溢れていた。その魅惑的な光は日光でも月光でもない、今まで見たことのないような輝きをしていた。
「…キレイ」
天国のような光景を前に、思わずエレリアは感嘆の意を漏らした。
「…触ってみたい」
と、いきなりエレリアは泉の水に触れてみたい衝動に駆られ、何かに取りつかれたように、足を前に踏み出す。それは、泉の光が彼女の無意識に語りかけ、こちらに引き寄せているようでもあった。
そんな恍惚に酔いしれたのも束の間、彼女が降りてきた階段の上段部から突然、耳をつんざくような爆音が聞こえた。その大爆音は、完全に目を陶酔しきっていた彼女を強引に現実に引き戻した。
「な、何!?」
我に返ったエレリアは慌てて後ろを振り返る。
すると、エレリアが下りてきた階段の奥から大勢の黒騎士たちが無数の足音と共に一斉に駆け下りてきた。その姿を見るに、おそらくあの時、森で出くわした落武者の仲間たちと見て間違いないだろう。
再びあの恐怖の感情がエレリアの心と身体を凍てつかせる。
「な、なんで…?」
エレリアにはなぜ、自分の居場所が向こうにバレたのかが分からなかった。確かにあの時、うまく姿をくらましたつもりだったのだが。
すると、今度は騎士たちの群れの中から、いかにも大将とおぼしき大柄の黒騎士が歩み出てきた。エレリアと比べ、その黒騎士は彼女の倍近くの体格をしており、あの時森で出会った彼はさることながら、それ以上に圧倒的なたたずまいをしていた。
「ふっ、バカな小娘だ」
そのボスの黒騎士はエレリアの発言を鼻で笑うと、半分呆れたような口調で話し始めた。
「俺たちから逃げられるとでも思ったのか?」
ボスの黒騎士が嘲笑に似た微笑と共にそう告げると、その後ろからとある一匹の魔獣が姿を見せた。
その魔獣は、エレリアと同じぐらいの背丈ではあったが、彼女を鋭く睨みつける眼差しは紛れもない殺意を秘めており、口に収まりきらないほどの凶暴な鋭い牙は、いかにも『殺す』ことの象徴とでも言わんばかりの存在感をかもし出していた。
今にもエレリアに飛び付こうと、姿勢を低くし、唸り声をあげている。恐らく、この魔獣の敏感な嗅覚をもとに、エレリアが辿ってきた痕跡を追ってきたのだろう。
「そんな…」
あまりに絶望的な状況で、彼女は今にも気絶してしまいそうだった。敵の数は数えきれないほど存在し、後ろには逃げれるような隙は無く、どうあがいても助かりそうも無かった。
「ねぇ!あなたたちは誰?一体、何なの!?私が何か悪いことでもしたの!?」
平和で幸せだった毎日に突然現れた謎の脅威。そんな不条理で不明瞭な運命に翻弄され続け、エレリアはもう我慢の限界だった。
意を決し、彼女は敵の黒騎士に真意を問いかけてみた。
しかし、黒騎士の言い放ったセリフは、またしてもエレリアの期待していたようなものではなかった。
「おまえがそんなことなど、知る必要は無い」
冷たく突き放すような黒騎士の態度とその言葉に、エレリアはまたしても落胆する。
どうして誰も本当のことを教えてくれないのか。
どうして自分はここまで恐い思いをしなければいけないのか。
すべてが不公平だ。
エレリアの腹の底からだんだんと、憤りの感情が沸き起こってくる。
だが、黒騎士はそんなエレミアの感傷に付き合うほど優しくはなかった。
「では、覚悟はいいか、小娘。メノー様の計画のために死んでもらうぞ」
不適な笑みを浮かべたボスの黒騎士はそうエレリアに宣告すると、一斉に敵の剣の先端がこちらに突きつけられる。
とうとう、命の制限時間が来てしまったようだ。
「…い、嫌だよ…。まだ、死にたくない…」
エレリアは一斉に向けられる刃を前に、涙ながらに呟いた。
目の前の敵はきっと、相手がか弱そうな少女と言えども遠慮なく殺しにかかるだろう。
敵はじりじりとエレリアとの距離を詰めてくる。
背後に逃げ場は無く、あるのは、相も変わらず湧き続ける不思議な泉だけ。
しかし、そんな絶体絶命の状況でも、彼女は生きることへの執念の灯は決して絶やさなかった。
絶対に生きて帰ると、母と約束したから。
「殺れ!!」
高らかなボスの男の声が響き渡る。
そして、一斉に敵の刃がこちらへ飛んでくる。
それは、まるでスローモーションのようだった。
「もう、ダメだっ………!!!」
エレリアは最後の願いを込めて、包みをぎゅっと抱き締める。
最後に母様と一緒に寝たのはいつだっただろうか。
最後に母様と一緒に遊んだのはいつだっただろうか。
ねぇ、母様…、いや、お母さん。できるなら最後にもう一度、お母さんと一緒に同じ布団で寝たかった…。
そんな走馬灯にも似た回想が頭を巡り、エレリアはついに、自分は死んでしまうのだと悟る。
…もう、私の命も終わりか。
死を覚悟したエレリアは、すべての意識をこの世界から断絶するように、ぎゅっと目を閉じる。
するとその瞬間、なんと後ろからいきなり誰かがエレリアの力強く足首を掴んだ。
「…え!?」
そうして、エレリアは紙一重のところで降りかかる刃の嵐を避け、そのまま息つく暇もなく、背中から虹色の泉の中へ引きずり込まれて行った。
なんだ?この感覚。
まばゆい蒼白い閃光が辺りを散らし、少女は深い空の底へ落ちていく。
頭の中を鷲掴みにされたように、記憶が引き剥がされ、ぐちゃぐちゃになっていく。
そして、だんだんと身体の輪郭がぼやけていくのが分かった。
なんだ、死んじゃったのか。
あっけなかったなぁ。
薄れて行く意識の中、最後に少女はそう悟った。
ごめん、お母さん。
やっぱり、約束、守れなかったよ。
そしてそのまま、少女の意識は薄らいでいった。
その日、白い月が輝くよく澄んだ漆黒の夜空に、6つの蒼い流星群が夜空を彩った。
走れど走れど、目の前に広がるのは変わらない地獄の景色のみ。
肺が焼けつくように痛い。きっと煙を吸いすぎたからだろう。
それまで、何度もエレリアは思った。これが、すべて悪い夢でありますようにと、すべて何かの間違いでありますようにと。
しかし、こうして焼けつく皮膚や肺の痛みを感じることから、これは何の紛れもない現実であると痛感させられる。
そんな途方もない絶望を巡らすと、彼女は何度も胸をえぐられるような気持ちになった。
そして、その瞬間はいきなり訪れた。
突然エレリアの足に何か大きなモノがぶつかったのだ。
必死に走っていた彼女はそれに気づかず、そのままダイナミックに地面に叩きつけられてしまった。
彼女の小さな悲鳴と共に、派手に土埃が舞う。
「痛てててて…」
エレリアは地面に手をつき、ゆっくりと起き上がった。
そして、自分の膝をゆっくりと見ると、土で黒く汚れた皮膚の下から赤い血が滲んできているのが見てとれた。
「…どうしよう。血が…」
あっという間に血はドクトクと、傷口から流れ出てきていた。
とりあえず、エレリアは急いで手で傷口を押さえることに。
昔から泣き虫だった彼女は、よく怪我をしていた。その度に、母に治療してもらっていたのを思い出す。毎日のように怪我をするものだから、母にはいつも迷惑をかけていたかもしれない。
そんな一瞬能天気なことを考えていた矢先、後ろを振り返ると、鎧を着た戦士風の男がよろよろと起き上がろうとしていた。その男は漆黒の鎧と兜を身に纏い、腰には剣を携えており、はっきりと顔は見えないが、いかにも邪悪な雰囲気に包まれていた。
突然の状況に思考が追い付かず、エレリアはその男の姿を確認する。
彼女が足に引っかけた「モノ」とは、どうやら地面に倒れていた彼らしい。彼女とぶつかった衝撃で、彼は目が覚めてしまったようだ。
すると、彼はようやく意識を取り戻し、頭を抱えて、地面に座り込んでいたエレリアの姿を発見する。
「…ん?」
お互い今の状況が理解できないまま、しばし見つめあっていた。
エレリアは自分の心の内で「逃げろ!!」と本能が騒ぎ立てているのが分かった。
そしてそのまま、彼女は逃げ出そうと足に力を入れる。
しかし、刹那の差で男が先に立ち上がり、
「あっ、いたぞ!!白い娘だ!」
と森全体に響き渡るような大声を上げた。
「しまった、見つかっちゃった…!」
どうやらその男は、宮殿の兵士たちや母親が敵として認識している相手の落武者だったようだ。
すっかり正気を取り戻した男は彼女を捕らえようと、あるいは殺してしまおうと、こちらに向かって詰め寄ってくる。
エレリアはじっと男の顔をじっと鋭く睨み付けた後、隙をついて地面に落とした白い包みを拾い上げ、一目散にその場から駆け出した。
「おいっ、こら、待て!!」
後ろからあの男がやって来る。
幼い頃、宮殿の中で妹と一緒に楽しく追いかけっこをして遊んだこともあったが、今の状況はそんな事とは比にならない。
あの男は自分を殺そうとしているのだ。そう考えるだけで、エレリアの心は恐怖で潰されてしまいそうだった。
しかし、身軽で小柄なエレリアは器用に木々の隙間を走り抜けていく。男はエレリアより大柄な体格だったせいか、二人の間の差は見る見るうちに離れていく。
エレリアが心の隅で「逃げ切れるのでは」と甘い未来を思い浮かべたのも束の間、男はなかなか埋まらない二人の差にシビレを切らしたのか、恐ろしい声でエレリアに向かって叫ぶ。
「小娘、この俺から逃げ切れると思うなよ!これでも喰らえっ、『ボーマ』!!」
すると、男の振った剣の先から小さな火の玉が発生し、空間を切り裂きながら、ものすごい速さでまっすぐエレリアに向かって飛んできた。
とっさの出来事に判断できず、気づけば火の弾丸はエレリアのすぐ後ろまで迫っていた。
「うあっ!!」
そのまま、何が起こったのかも理解することもできず、エレリアは背中からもろに男の放った火球を喰らってしまった。あまりの激痛に息が詰まり、視界が真っ赤に染まる。
「よしっ!」
男は嬉しそうに拳を握り、ガッツポーズで喜びの意を示した。
しかし、エレリアは脳天を貫くような激しい痛みを歯を食いしばって堪えきった。そして、地面に片方の手をつき、吹っ飛ばされそうになった自分の身体を支え、なんとか体勢を維持。
そのまま、近くの草の茂みに頭から飛び込んだ。
「おい、待て!!」
数秒後、男はエレリアの飛び込んだ茂みに追い付き、急いで草むらを乱暴に掻き分ける。
しかし、そこにはもう彼女の姿はどこにも見当たらなかった。
つまり、逃げられてしまったのだ。
「くそっ、逃がしたか…!!」
男は叫ぶと、悔しそうに自らの膝を強く叩いた。
もうエレリアの体力は限界の限界に達していた。
全身はすでに傷だらけで、これ以上歩くことすらもできそうにない。
依然として、木々は激しく燃え続けている。
周囲に充満した煙がエレリアの肺に流れ込み、彼女は激しく咳き込んだ。
そして、とうとう立つ力さえ失い、エレリアは勢いよく地面に倒れた。
「ごめん、お母さん。私、やっぱり無理かも…。もう、歩けないよ…」
そう声を漏らした彼女の、ゆっくりと閉じていく瞳から、一筋のしずくがこぼれ落ちた。
これまで涙は浮かべた事があっても、決して泣かないと自分の中で決めていた。
しかし、今こうしてどうすることもできない状態になって初めて、彼女の目からは制約から解き放たれたように大量の涙が押し寄せてくる。
結局、泣いてしまった。
その涙の出所は恐怖からか、不安からか、孤独からか、寂しさからか、それとも何もできない無力な自分に対しての悔しさからか、彼女自身もよく分からなかった。
しかし、そんなことなど、エレリアにとってはどうでもよかった。
もう、疲れた。
やれることは、もう全部やりきったのだ。
つらいのはもう嫌だ。
怖い思いをするのはもう嫌だ。
寝てしまおう。
寝てしまえば、楽になれる。
すべてが終わる。
そんな安楽な意に誘われるがまま、エレリアは目を閉じようとする。
「…っ!?」
完全に目を閉じきり、意識をこの世界から遮断しようとした。
しかしその刹那、エレリアの霞みきった視界の向こうから、何かの建造物のような光景が飛び込んできた。
「…あ、あれは…、森の…ほこら…?」
朦朧とする意識の中で、エレリアはふと母との約束を思い出す。
「…森のほこらへ行きなさい」
「…そこの方がずっと安全よ」
「…生きて帰って来て」
あの時、母と交わした約束が頭の中で反芻するように回想される。
「…そうだ。私は生きて帰らなくちゃいけないんだ。こんなところで死んでちゃ、母様が悲しむだけだ…!」
エレリアは閉じていたまぶたを開き返し、力強く大地に手をつき、母との約束を原動力に最後の力を振り絞って、よろよろと起き上がる。
まだ、自分の身体は動くようだ。
それだけ確認すると、エレリアは再び母から渡された白い包み抱き締め、ゆらゆらと揺れる視界の中、おぼつかない足取りで、その建造物の方へ歩を進めて行った。
「…これが、母様が言っていた森のほこら…?」
目の前の建物が近づくにつれ、その存在感はどんどん増していく。
「…と、とりあえず、中に入ってみよう」
彼女は自分の中の身体の内で起こる不思議な感覚を確認した後、建物の内部へ入ろうと入口を探した。
しかし、その建物はすでに木の根やおびただしいツタで覆われており、入口とおぼしき部分も瓦礫に埋もれてしまっており、簡単には中へ入れそうも無かった。
見ると、その建物はまさに、完全に忘れ去られてしまったようなたたずまいであった。
仕方なく、エレリアは建物の目の前まで進み、どこか内部へ侵入できないか、手探りで探すことにした。
すると、瓦礫と瓦礫の間にわずかな隙間を見つけ、エレリアはここから中へ入ることができそうだと判断した。
「うっ、せ、狭い…」
いくら小柄な少女のエレリアといえども、その隙間は易々と訪問者を中へ招き入れるような親切なものでは無かった。
しかし、エレリアは身体をよじりながら、なんとかその建物の中に入ることに成功した。
もちろん、白い包みも忘れずにしっかり持ってある。
なんとか中に入った建物の中は暗い闇に閉ざされており、埃とカビのような匂いで充満している。
そして天井のわずかなヒビの隙間からは一筋の光が差し込んでいて、それが暗闇の中の、ただ唯一の明かりとなっていた。
そして、その建造物に侵入したエレリアはふと、自分の身体の中に浸透している不思議な温もりを感じた。そう、さっきまで憔悴しきっていた身体が嘘のように軽いのだ。
気づけば身体中の傷はすべて癒えており、みなぎるような活力が全身に満ちていた。その気になれば空だって飛べそうなぐらいだ。
そんな、おそらく「森のほこら」だと思われるこの建造物。
いざ入ったのはいいものの、あの時、母が言っていた肝心の「戦士の像」がどこにも見当たらない。暗闇に目を凝らしても、まず像のような物すら見当たらない。
あるのは、ただの空間だけだ。
「どうしよう。ここは森のほこらじゃないのかなぁ…」
途方にくれて、肩を落とすエレリアだったが、またしても新たな発見を目にする。
ほこらの最深部、そこの小さな隙間から何やらまばゆい白い光のようなものが溢れている。
近づいて見てみると、どうやらその光は木の根の間にできた隙間から放たれているようだった。
「これは…?」
エレリアは目を細めて、光が溢れているその隙間の中を覗きこんでみると、なんとさらに奥へ階段が続いていた。
「階段が…。ってことは、まだ奥に部屋があるってこと?」
いったんエレリアは深呼吸し、昂る身体の調子を整える。埃臭くはあっても、外の煙を吸うよりは断然こっちのほうがいい。
「よし、行ってみよう」
意を決し、エレリアは両手で隙間を作っている根っこを掴み、一息置いた後、全身の力を込めて、思いっきり隙間をこじ開けた。
「んんんっ!!」
思ったよりあっさり、木の根の隙間は広がり、そのまますぐにすっぽり入れる、とまではさすがにいかないが、エレリアがギリギリ中へ入るぐらいのスペースができた。
先に包みを隙間の中へ入れ、その後を彼女自身の身をその間に入れ込んだ。
木の根の隙間を抜けると、先ほど確認した通り、階段が下の方へ続いており、どうやら光はその先から発せられているらしかった。
エレリアは白い包みを抱き直すと、慎重に一段一段踏みしめて、警戒の糸を切らすことなく階段を下りて行った。
階段は更に奥の方へつづいている。
そして、最後の段を下りきると、そこには目を疑うような光景が広がっていた。
なんと、小さな部屋の中に泉が湧いていたのだ。
いつの間にか、無機質な石畳だったほこらの地面は深緑の芝生になっており、部屋を見回すと色とりどりの蝶々や淡いオーブのようなものが浮遊している。
そして、真ん中に位置している虹色に輝いている泉からは、まるでエレリアを誘い込むかのような幻想的な光が溢れていた。その魅惑的な光は日光でも月光でもない、今まで見たことのないような輝きをしていた。
「…キレイ」
天国のような光景を前に、思わずエレリアは感嘆の意を漏らした。
「…触ってみたい」
と、いきなりエレリアは泉の水に触れてみたい衝動に駆られ、何かに取りつかれたように、足を前に踏み出す。それは、泉の光が彼女の無意識に語りかけ、こちらに引き寄せているようでもあった。
そんな恍惚に酔いしれたのも束の間、彼女が降りてきた階段の上段部から突然、耳をつんざくような爆音が聞こえた。その大爆音は、完全に目を陶酔しきっていた彼女を強引に現実に引き戻した。
「な、何!?」
我に返ったエレリアは慌てて後ろを振り返る。
すると、エレリアが下りてきた階段の奥から大勢の黒騎士たちが無数の足音と共に一斉に駆け下りてきた。その姿を見るに、おそらくあの時、森で出くわした落武者の仲間たちと見て間違いないだろう。
再びあの恐怖の感情がエレリアの心と身体を凍てつかせる。
「な、なんで…?」
エレリアにはなぜ、自分の居場所が向こうにバレたのかが分からなかった。確かにあの時、うまく姿をくらましたつもりだったのだが。
すると、今度は騎士たちの群れの中から、いかにも大将とおぼしき大柄の黒騎士が歩み出てきた。エレリアと比べ、その黒騎士は彼女の倍近くの体格をしており、あの時森で出会った彼はさることながら、それ以上に圧倒的なたたずまいをしていた。
「ふっ、バカな小娘だ」
そのボスの黒騎士はエレリアの発言を鼻で笑うと、半分呆れたような口調で話し始めた。
「俺たちから逃げられるとでも思ったのか?」
ボスの黒騎士が嘲笑に似た微笑と共にそう告げると、その後ろからとある一匹の魔獣が姿を見せた。
その魔獣は、エレリアと同じぐらいの背丈ではあったが、彼女を鋭く睨みつける眼差しは紛れもない殺意を秘めており、口に収まりきらないほどの凶暴な鋭い牙は、いかにも『殺す』ことの象徴とでも言わんばかりの存在感をかもし出していた。
今にもエレリアに飛び付こうと、姿勢を低くし、唸り声をあげている。恐らく、この魔獣の敏感な嗅覚をもとに、エレリアが辿ってきた痕跡を追ってきたのだろう。
「そんな…」
あまりに絶望的な状況で、彼女は今にも気絶してしまいそうだった。敵の数は数えきれないほど存在し、後ろには逃げれるような隙は無く、どうあがいても助かりそうも無かった。
「ねぇ!あなたたちは誰?一体、何なの!?私が何か悪いことでもしたの!?」
平和で幸せだった毎日に突然現れた謎の脅威。そんな不条理で不明瞭な運命に翻弄され続け、エレリアはもう我慢の限界だった。
意を決し、彼女は敵の黒騎士に真意を問いかけてみた。
しかし、黒騎士の言い放ったセリフは、またしてもエレリアの期待していたようなものではなかった。
「おまえがそんなことなど、知る必要は無い」
冷たく突き放すような黒騎士の態度とその言葉に、エレリアはまたしても落胆する。
どうして誰も本当のことを教えてくれないのか。
どうして自分はここまで恐い思いをしなければいけないのか。
すべてが不公平だ。
エレリアの腹の底からだんだんと、憤りの感情が沸き起こってくる。
だが、黒騎士はそんなエレミアの感傷に付き合うほど優しくはなかった。
「では、覚悟はいいか、小娘。メノー様の計画のために死んでもらうぞ」
不適な笑みを浮かべたボスの黒騎士はそうエレリアに宣告すると、一斉に敵の剣の先端がこちらに突きつけられる。
とうとう、命の制限時間が来てしまったようだ。
「…い、嫌だよ…。まだ、死にたくない…」
エレリアは一斉に向けられる刃を前に、涙ながらに呟いた。
目の前の敵はきっと、相手がか弱そうな少女と言えども遠慮なく殺しにかかるだろう。
敵はじりじりとエレリアとの距離を詰めてくる。
背後に逃げ場は無く、あるのは、相も変わらず湧き続ける不思議な泉だけ。
しかし、そんな絶体絶命の状況でも、彼女は生きることへの執念の灯は決して絶やさなかった。
絶対に生きて帰ると、母と約束したから。
「殺れ!!」
高らかなボスの男の声が響き渡る。
そして、一斉に敵の刃がこちらへ飛んでくる。
それは、まるでスローモーションのようだった。
「もう、ダメだっ………!!!」
エレリアは最後の願いを込めて、包みをぎゅっと抱き締める。
最後に母様と一緒に寝たのはいつだっただろうか。
最後に母様と一緒に遊んだのはいつだっただろうか。
ねぇ、母様…、いや、お母さん。できるなら最後にもう一度、お母さんと一緒に同じ布団で寝たかった…。
そんな走馬灯にも似た回想が頭を巡り、エレリアはついに、自分は死んでしまうのだと悟る。
…もう、私の命も終わりか。
死を覚悟したエレリアは、すべての意識をこの世界から断絶するように、ぎゅっと目を閉じる。
するとその瞬間、なんと後ろからいきなり誰かがエレリアの力強く足首を掴んだ。
「…え!?」
そうして、エレリアは紙一重のところで降りかかる刃の嵐を避け、そのまま息つく暇もなく、背中から虹色の泉の中へ引きずり込まれて行った。
なんだ?この感覚。
まばゆい蒼白い閃光が辺りを散らし、少女は深い空の底へ落ちていく。
頭の中を鷲掴みにされたように、記憶が引き剥がされ、ぐちゃぐちゃになっていく。
そして、だんだんと身体の輪郭がぼやけていくのが分かった。
なんだ、死んじゃったのか。
あっけなかったなぁ。
薄れて行く意識の中、最後に少女はそう悟った。
ごめん、お母さん。
やっぱり、約束、守れなかったよ。
そしてそのまま、少女の意識は薄らいでいった。
その日、白い月が輝くよく澄んだ漆黒の夜空に、6つの蒼い流星群が夜空を彩った。
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