孤児院で育った俺、ある日目覚めたスキル、万物を見通す目と共に最強へと成りあがる

シア07

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第16話 クエストへいざ出発!

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 クエストを受理してもらった後、一旦宿に向かった。
 夜も近づいていたので明日行くことにしたのだ。
 そういうわけで宿に向かったのだが、その宿は俺が眠っている間、ミクが泊まっていた宿らしく、簡単に着いた。

「ここが宿か……」
 
 初めて見た。これが宿か。
 中に入ってみるとおばさんが立っており、ミクが話を通し、2階にある部屋に入れてもらった。
 すぐに入れたのもミクが前に泊まっていたおかげだろう。まあ少し二人が泊まるのには小さいんだけどね……サンキュー!

 目の前には大きなベットに荷物が置けそうな所。そして小さなバスルームとトイレがあった。

「ベットは一つしかないからあんまり暴れないでよね。あと、万が一でも変なことしようとしたら……殺すわ」

「一段と怖いな!? やらないけどね!」

「それならいいけど……って、その言い方って私に魅力がないって言っているのかしら!?」

「そうじゃないだろ。そうじゃないだろ! なんでそうなるんだよ!?」

 そう言うと、ふんと俺から目を離し、ベットに一人でダイブする。そして布団に顔を埋めているようだった。気持ちよさそだ。
 いま、このベットにダイブする勇気は俺にはなかった。

 しかしまあ……ベットが一つだけとは。こればっかりは仕方ないけど、それでも緊張する。モヤモヤする……
 
「……それで、洞窟って書いてあったけど、なにか準備するものとかあるのかな」

「……別にないでしょ。簡単に倒してちょちょいのちょいで上のランクに行く予定だし」

「そういうもんか」

「そんなことしてないで早く寝なさい。今はいいかもだけど明日疲れてたままクエストに行かれたら困るわ」

「え、ちょ!?」

 腕を引っ張られ、ベットに引きずり込まれる。
 ドキドキを心臓がなる。

 なにこの状況。絶対傍から見たら恋人同士だよね!
 めっちゃ緊張するんですけど!?

 すると、ミクが説明を始めた。

「いい、ちゃんと聞きなさい。ここから先が私。あんたがそっちね。以上、おやすみ」

「俺の範囲狭くない!?」

 ベットの範囲を勝手に決められた。しかも俺の全体の5分の1くらい。
 ギリギリ寝れるくらいだ。
 
 まあ……いいか。今日は5日間寝てたことがわかったり、ラグナロクから攻撃されなかったりギルドに入ったりと、色んなことがありすぎて、疲れた……
 いまの身体が寝たがっている。あんなに寝ていたのに、おかしい……

「……じゃあ。おやすみ、私は寝るから。さっきも言ったけどなにもしないでよね」

「ああ、おやすみ……」

 ツッコミする気力もなく、眠りについた。
  
「……て……きて……ねえ、起きてってば!」

「お!? ミクか。びっくりした、なんだよ……」

 髪がぐちゃぐちゃで俺をゆするいつもと違うミクがいた。
 印象が違い過ぎて、驚いた。一瞬わからなかったくらいだし。

「なんだよ、じゃないわよ。もうそろそろ昼になっちゃうわ。さっさと行かないと、帰ってくるのが夜になって危ないでしょ。準備しなさい」

「お前だって寝起きのくせに……」

「なにか言ったかしら?」

「……いえ、なにも」

「そう」

 笑顔が怖い怖い! 
 俺は準備を始める。体を洗い、身支度を整えた。

「はい、これご飯。商店街で買ってきたわ」

「ありがと」

 パンを渡される。見た目は普通のパンだった。

「……うん、美味い! これ、どこの奴だよ。また食いたいから教えてくれ!」

「グランよ。ちょっと見るつもりで寄ったら新作だからやるよって言ってくれたわ」

「そうか。グランさんのやつなのか。どうりで美味いわけだ」

 今度、グランさんにもお金のお礼もしたいし、いっぱい稼がなないとな。
 
「じゃあ行くぞ。クエスト!」

 そうして俺たちは初めてのクエストに出発する。
 洞窟は町から歩いて数十分。すぐに着く距離らしい。
 
「へぇ……この洞窟か」
 
 ギルドにあった地図を見てみると、ここで間違いはなさそうだ。
 この中にモンスター――ゴブリンがたくさんいるのか。

 ごくりと固唾を飲む。

「行くわよ。ちょっと暗そうだから私から離れないことね」

「……わかってるよ」
 
 普通逆なんだよな……男が女を守るんだよね。なんで俺って力でミクに負けてるんだろう。

 はぁと小さくため息をつき、進んでいく。

「暗……」

 中はミクの言っていた通り、暗く、あまり完全にはみえない。たまにある光を帯びている石のおかげで周りが見えるくらいだ。
 やっぱり松明とか持ってくるべきだった気がする。準備を怠ったせいだ。今度からはちゃんとしよう!

 するといきなりカサカサと何人かの足音が聞こえて来る。
 これはまさか……

「おい、ミク! なにか足音が聞こえる気がするなにか見えるか!」

「悪いけど、わからないわ……。だから、動いちゃダメよ。動けば動くほど命取りになると思うし。出てきたら音で判断して反撃よ」

 ミクと俺は鞄からナイフを取り出す。
 これでゴブリンの体を引き裂く。

 ……来る!

「がるぅぅぅ……」

 緑色をした気持ちの悪いゴブリンが出て来た。
 背は俺たちと同じくらいだ。

「はあああああああ!」

 すぐさまミクがナイフを振るい、見事ゴブリンに命中した。

「一体しかいないようね……ふう、なんとかなったわ」

「いや、まだ居る!」
 
 ミクの後ろから棍棒を振りかぶったこのゴブリンよりも一回り大きいゴブリンの姿が。
 俺は反射的に走り出していて、ミクと遠くへ突き飛ばし、ゴブリンの一撃をナイフで受け止める。
 
「ぐぅ……」

 重い。なんだこれ。腕が……折れる! 馬鹿力だ!

 受け止めきれたが、一撃の威力が半端じゃない。このままだと俺がナイフごとやられて死ぬかもしれない。苦しすぎる!

「はああああああああ! や!」

 ミクは体制を整え、もう一体のゴブリンの腹にナイフを刺し、腹を切った。
 ゴブリンは倒れ、戦闘は終わる。

「はぁはぁはぁ……簡単かと思ってたけど意外とキツイのね」

「ホントだな、キツイ……」

 息がギリギリだ。
 2体倒すだけでこんなに疲れるなんて……後が心配だ。しかもまだ2体だから金にもならないし、ここで引き返すわけにはいかない。

「……先へ進もう。連携もちゃんと取りながらな」

「わかってるわよ。なんとかしないとマズいわね……」

 奥へどんどん進んでいく。
 次はなにが出て来るんだろう。恐怖心が出て来る。手が少し震えていた。
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