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第18話 初めてのクエスト①
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「うぅ……」
体を起こす。
外を見れば、朝が来た。ここに来て初めての朝だ。
「よく寝たな……」
昨日は疲れていたせいかすぐに寝れた。
疲れはほとんど取れているようで目覚めがいい。
体も痛くないし、大丈夫らしい。
「……おい、サクヤ起きろ」
近くにいるサクヤをゆする。
ちなみにベッドは別々で一緒には寝ていない。
というか寝ていたらそれはそれで色々と問題だ。
「あと少しだけ……あとちょっとだけ……」
「ダメだ。早く起きないとクエストに行けないぞ。早く起きろ」
「いかなくてもいいよ……寝ていようよ……美味しいご飯……」
「はぁ……ならおいてくぞ」
「それはいや!」
それを聞くと、飛び跳ねるように起きあがる。
なんでそこまでついてきたがるんだよ。
嫌なら寝ていればいいのに。
「起きるならなんでもいいや……早く行こう」
「わかったよ……でもその前にお腹空いたからあの商店街に寄ろうよ。美味しいものいっぱいあるし」
「仕方ないな。ちょっとだけだぞ」
----------------------------
「よし、やっと着いた。……なんで着くのにこんなに時間が掛かるんだよ!」
ギルドの中に入りながら苦言をはいた。
朝だからだろうか。以前より人が少ない。
昼にきっと人が増えるんだろう。
「う~ん美味しい」
サクヤが隣で朝ご飯を食べている。さっきの商店街で買ったお肉だ。
フライドチキンである。
そんなところを見た周りの人もサクヤには少しひいているようだった。
「全く……」
俺も正直ひいている。大食いにもほどがある。
昨日も今日もずっとこんな感じだ。
「……100万コロンなんてすぐになくなりそうだな」
食費はなんとかしないといけなそうだ。
大金も手に入ったっていうのに。とほほってやつだ。
「……それでどのクエストをやるつもりなの?」
やっと食べ終わり、俺に話しかけて来る。
手がべとべとだったので【ウォーター】で水洗いさせた。
意外とこんな風にも使えるから魔法って便利だ。
「……うーんそうだな。強くなるんだったら実践する方が良さそうだし……」
どんなクエストがあるのかはまだ見ていない。
確認していなかった。
「まあとりあえずクエストの内容を見にいくか」
「うん」
案内のところに近づき、掲示板をみる。
ここに色々とクエストが書いてあるらしい。
掲示板は4つあり、左から順にブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナだった。
「あれ、ダイヤモンドがない……」
「ダイヤモンドランクはあちらの方にございます」
受付の人がさした方を見ると。
「うわぁ……なにあれ」
高いであろう金に包まれている掲示板がみえる。
庶民の俺には関係のなさそうな代物だ。
「なるほどね。ダイヤモンドは掲示板ですら優遇されているってことか」
他にもちょっとしたことで優遇されているに違いない。
さっさと上のランクに上がらないとな。
そう思ってブロンズの掲示板の方に目を傾ける。
クエストを選ぶためだ。
「えっと……犬の散歩に迷子の猫探し。それになんだこれ、子供のお世話……全然いいのないじゃないか。酷いな……」
こっちは冒険者だぞ。子供のお世話とか意味がわからない。
もっとましなのないのかよ
ほら、モンスター退治とか。ちょっとくらいあってもいいんじゃないんですかね。
「あ、こっちにいいクエストが!」
サクヤが言う。
「え? どれどれ」
意外と役に立つじゃないか。
そう思ったのもつかの間。
「このゲジゲジ虫を10匹討伐するってやつ。ゲジゲジ虫は中のエキスも美味しいしやろうよ!」
「……遠慮しておく」
変なクエストだった。
名前からして気持ち悪い。
絶対にやりたくないクエストだ。虫とか嫌いだし。
ていうかいつもなんでこいつは食べ物のことばかりなんだ……しかもエキスって……
「もっとましな奴は……あ」
すると、今度こそいいのを見つけた。
「炎トカゲ5匹の討伐で報酬は5000コロン。制限日数は2日までで場所はこの地図の通りに行けばいいのか……いい感じだな」
特に強くなさそうで魔法の練習にもってこいみたいなクエストだ。さらにランクも上げやすそうで効率がいい。
討伐と聞いて、なんだかわくわくしてくる。
まえの牛やジョンとは違う。やっとまともな戦いが出来る。
これまでは酷かったから余計にその気持ちが強い。
「サクヤもこれでいいか?」
「そうね……冒険者っぽいし、いいと思うわ!」
「……まあいいならいいか」
よし、このクエストに決めた。
これにしよう。
掲示板からその紙をとり、受付の人の方に持っていく。
「はい、炎トカゲ5匹討伐のクエストですね。討伐したなら報酬は5000エリスになります。お間違えございませんか?」
「大丈夫です」
「では、承りました。討伐が完了したらそのライセンスが反応して、クエストを完了させますので後処理はこちらにお任せください。ご無事に帰還することを祈っております。では」
これでクエストの受付は完了したようだ。最後にさっきの討伐の紙を渡される。
地図にこの場所が書いているからだろう。
記憶できるからあんまり意味ないんだけど。
それにしても、討伐が完了したらライセンスが反応するってどんな仕組みなんだろう。少し気になるな。
「……サクヤ、すぐにクエストに向かうぞ。遅くなると暗くてヤバいことになりそうだからな」
「うん。そうだね。早く行こう」
「言っておくが、このまま一直線で向かうから商店街にはいかないからな」
「行かないよ!? 私を何だと思ってるの! 最近私、大食いキャラみたいになってない!?」
「あはははは、確かに」
「笑い事じゃないよ!?」
そんなことを言い合いながら、俺たちはギルドを出た。
「あ、いけない!」
レンたちが出て行って少し経った頃、受付の人が重大なことに気がつく。
それはそれは、大事なことだった。
「炎トカゲのクエストで注意事項がもう一個あったのを言い忘れてしまったわ……大丈夫かな、あの子たち。でも今更追いかけても追いつかないわよね……やってしまったわ……どうしよう」
その場で慌てふためく。
顔からは冷や汗がたれ、緊張が彼女を襲う。
彼女が言い忘れていたのは。
「炎トカゲのあの特性のせいで別名が――初心者殺しだってことを言い忘れるだなんて。なんてことを……生きていられるのかな……」
炎トカゲの特性についてだった。
体を起こす。
外を見れば、朝が来た。ここに来て初めての朝だ。
「よく寝たな……」
昨日は疲れていたせいかすぐに寝れた。
疲れはほとんど取れているようで目覚めがいい。
体も痛くないし、大丈夫らしい。
「……おい、サクヤ起きろ」
近くにいるサクヤをゆする。
ちなみにベッドは別々で一緒には寝ていない。
というか寝ていたらそれはそれで色々と問題だ。
「あと少しだけ……あとちょっとだけ……」
「ダメだ。早く起きないとクエストに行けないぞ。早く起きろ」
「いかなくてもいいよ……寝ていようよ……美味しいご飯……」
「はぁ……ならおいてくぞ」
「それはいや!」
それを聞くと、飛び跳ねるように起きあがる。
なんでそこまでついてきたがるんだよ。
嫌なら寝ていればいいのに。
「起きるならなんでもいいや……早く行こう」
「わかったよ……でもその前にお腹空いたからあの商店街に寄ろうよ。美味しいものいっぱいあるし」
「仕方ないな。ちょっとだけだぞ」
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「よし、やっと着いた。……なんで着くのにこんなに時間が掛かるんだよ!」
ギルドの中に入りながら苦言をはいた。
朝だからだろうか。以前より人が少ない。
昼にきっと人が増えるんだろう。
「う~ん美味しい」
サクヤが隣で朝ご飯を食べている。さっきの商店街で買ったお肉だ。
フライドチキンである。
そんなところを見た周りの人もサクヤには少しひいているようだった。
「全く……」
俺も正直ひいている。大食いにもほどがある。
昨日も今日もずっとこんな感じだ。
「……100万コロンなんてすぐになくなりそうだな」
食費はなんとかしないといけなそうだ。
大金も手に入ったっていうのに。とほほってやつだ。
「……それでどのクエストをやるつもりなの?」
やっと食べ終わり、俺に話しかけて来る。
手がべとべとだったので【ウォーター】で水洗いさせた。
意外とこんな風にも使えるから魔法って便利だ。
「……うーんそうだな。強くなるんだったら実践する方が良さそうだし……」
どんなクエストがあるのかはまだ見ていない。
確認していなかった。
「まあとりあえずクエストの内容を見にいくか」
「うん」
案内のところに近づき、掲示板をみる。
ここに色々とクエストが書いてあるらしい。
掲示板は4つあり、左から順にブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナだった。
「あれ、ダイヤモンドがない……」
「ダイヤモンドランクはあちらの方にございます」
受付の人がさした方を見ると。
「うわぁ……なにあれ」
高いであろう金に包まれている掲示板がみえる。
庶民の俺には関係のなさそうな代物だ。
「なるほどね。ダイヤモンドは掲示板ですら優遇されているってことか」
他にもちょっとしたことで優遇されているに違いない。
さっさと上のランクに上がらないとな。
そう思ってブロンズの掲示板の方に目を傾ける。
クエストを選ぶためだ。
「えっと……犬の散歩に迷子の猫探し。それになんだこれ、子供のお世話……全然いいのないじゃないか。酷いな……」
こっちは冒険者だぞ。子供のお世話とか意味がわからない。
もっとましなのないのかよ
ほら、モンスター退治とか。ちょっとくらいあってもいいんじゃないんですかね。
「あ、こっちにいいクエストが!」
サクヤが言う。
「え? どれどれ」
意外と役に立つじゃないか。
そう思ったのもつかの間。
「このゲジゲジ虫を10匹討伐するってやつ。ゲジゲジ虫は中のエキスも美味しいしやろうよ!」
「……遠慮しておく」
変なクエストだった。
名前からして気持ち悪い。
絶対にやりたくないクエストだ。虫とか嫌いだし。
ていうかいつもなんでこいつは食べ物のことばかりなんだ……しかもエキスって……
「もっとましな奴は……あ」
すると、今度こそいいのを見つけた。
「炎トカゲ5匹の討伐で報酬は5000コロン。制限日数は2日までで場所はこの地図の通りに行けばいいのか……いい感じだな」
特に強くなさそうで魔法の練習にもってこいみたいなクエストだ。さらにランクも上げやすそうで効率がいい。
討伐と聞いて、なんだかわくわくしてくる。
まえの牛やジョンとは違う。やっとまともな戦いが出来る。
これまでは酷かったから余計にその気持ちが強い。
「サクヤもこれでいいか?」
「そうね……冒険者っぽいし、いいと思うわ!」
「……まあいいならいいか」
よし、このクエストに決めた。
これにしよう。
掲示板からその紙をとり、受付の人の方に持っていく。
「はい、炎トカゲ5匹討伐のクエストですね。討伐したなら報酬は5000エリスになります。お間違えございませんか?」
「大丈夫です」
「では、承りました。討伐が完了したらそのライセンスが反応して、クエストを完了させますので後処理はこちらにお任せください。ご無事に帰還することを祈っております。では」
これでクエストの受付は完了したようだ。最後にさっきの討伐の紙を渡される。
地図にこの場所が書いているからだろう。
記憶できるからあんまり意味ないんだけど。
それにしても、討伐が完了したらライセンスが反応するってどんな仕組みなんだろう。少し気になるな。
「……サクヤ、すぐにクエストに向かうぞ。遅くなると暗くてヤバいことになりそうだからな」
「うん。そうだね。早く行こう」
「言っておくが、このまま一直線で向かうから商店街にはいかないからな」
「行かないよ!? 私を何だと思ってるの! 最近私、大食いキャラみたいになってない!?」
「あはははは、確かに」
「笑い事じゃないよ!?」
そんなことを言い合いながら、俺たちはギルドを出た。
「あ、いけない!」
レンたちが出て行って少し経った頃、受付の人が重大なことに気がつく。
それはそれは、大事なことだった。
「炎トカゲのクエストで注意事項がもう一個あったのを言い忘れてしまったわ……大丈夫かな、あの子たち。でも今更追いかけても追いつかないわよね……やってしまったわ……どうしよう」
その場で慌てふためく。
顔からは冷や汗がたれ、緊張が彼女を襲う。
彼女が言い忘れていたのは。
「炎トカゲのあの特性のせいで別名が――初心者殺しだってことを言い忘れるだなんて。なんてことを……生きていられるのかな……」
炎トカゲの特性についてだった。
応援ありがとうございます!
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