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第二章
22 過去と今の環境
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椿木が家を出たあと、ローズが手に綺麗なシーツと掃除道具を持って僕の部屋にやってきた。
「掃除、というか消毒」
先程の怒り未だ醒めやらぬといった風に、ずんずんとベッドに近づき、勢いよくシーツを剥いだ。
てきぱきとベッドメイクを済ませると、僕を押しのけて周囲を見事なまでに磨き上げていく。
「あの、お手伝いしましょうか」
「結構です、ご主人さま」
起死回生を図った一手は一刀両断され無念の敗北を喫した僕は、部屋の隅に椅子を移動させて座り、ローズの掃除を見守ることしか出来なかった。ヒイロもローズのただならぬ様子に気圧され、僕の膝の上で丸くなることを選んだ。
十五分程で、部屋はピカピカになった。うちのメイドさん達、掃除の技術の上達が半端ない。
最終チェックを済ませたローズが、扉の前でぺこりと頭を下げて出ていこうとする。
「あ、待って。ちょっと話がしたい」
「ローズもそうしたい。お茶とお菓子持ってくる」
「ヨイチは何の話?」
最近ヒスイが町で見つけてきた緑茶に似たお茶が今、我が家のブームだ。お茶請けはヒイロお気に入りのリートグルク饅頭。まだ膝の上にいるヒイロの口元に半分にちぎった饅頭を近づけたら、一瞬で消えた。好きなくせに味わうということを知らないらしい。
「ローズは僕のことを恩人って言ってくれるけど、僕は覚えがない。一体何のこと?」
椿木との会話以外に、イネアルさんからも言われたことがある。
そもそも、僕が直接助けたのはヒスイだ。間接的にツキコとローズを救ったことになると言えなくはないが、ここまで執着されるほどじゃない。
「ヒスイはローズの恩人。恩人を救った人だから、ヨイチも恩人」
「ヒスイが?」
ローズはこの世界に喚び出される前、日本にいた時のことから、話してくれた。
***
日本では、恵まれた環境で過ごしていた。
生まれる前から家にはお手伝いさんが何人もいて、私は家事どころか日常生活に必要な動作の殆どを、お手伝いさんにやってもらっていた。
甘やかせられっぷりは、小学校へ上る直前になって、やっとひとりで着替えができるようになったほどだ。
登下校は車で送り迎え、休日は両親とお茶会、夏休みは避暑地の別荘、冬休みは海外旅行。
与えられるものは何でも最高級品。だけど私が欲しがれば、おもちゃでも駄菓子でも、好きなものが選べた。
幸い学校の勉強に困るような頭ではなかったし、高校は近いからという理由で良槃高校にした。
将来のことは、まだあまり考えてなかった。だけど、実家がこうだから、何があっても大丈夫という自信だけはあった。
まさか異世界に召喚されるなんて、思わなかったから。
何の憂いもない生活をしていたから、私は不測の事態にとても弱い。
いつものように車が迎えに来て、乗り込んだはずなのに、突然知らない床に座り込んでいた。
そこで初めて見る衣装の人たちに、よくわからない丸い石に手を置けと言われて、拒否もできず固まっていたら無理やり手を引かれて……。
「離しなさいっ!」
私の手を掴んだ人に食って掛かり、怒鳴ってくれたのは、ヒスイだった。
ヒスイは私をかばってくれただけなのに、力ずくで押さえつけられた。
そして結局全員、石に手を乗せられ、一方的に「違う」「いらない」と言われ、追い出されたのだ。知らない土地、知らない世界に。
「改めて聞いても、酷い話だな」
ヨイチの瞳が青くなってる。私達になにか悪いことがあると、今みたいに瞳が青くなる。本人は大きな魔法を使うときだけ青くなると思い込んでいて、気付いてないみたい。
何度か同じ話をしているのに、聞く度にこうして憤ってくれる。
それが、嬉しい。
「ローズは最初、家事はひとつも出来なかったの。修道院でお手伝いを言い渡されて途方に暮れてたのを真っ先に助けてくれたのが、ヒスイ。ツキコも助けてくれたけど、最初は自分のことでいっぱいいっぱいだったって。ローズが一番駄目だったし、ヒスイだって自分のことがあるのに、いつもローズのことを優先してくれたの」
「そうだったのか。僕がローズと会ったときは既に、家事万能だったから、日本でもやってたのかと思った」
「全部ヒスイのお陰」
「でもさ、ローズが自分からやろうと思わなかったら、ヒスイだって手を貸してなかったんじゃないかな」
「……ヒスイと同じことを言う」
「え?」
私はヒスイが好きだ。尊敬しているという意味で。ツキコのことももちろん好きだ。背が高くてかっこいいし、なんでも作ってくれるし、優しい。
ヨイチのことは最初、ヒスイを助けてくれたから好きだと思ってた。
ちょっと違った。
ヒスイに少し似てるから好きなんだ。
周りの人に優しくできて、自分を顧みずに守ってくれる人たちだ。
「なんでもない。つまり、ヨイチはヒスイの恩人だから、ローズの恩人でもあるの」
冷めてしまったお茶を飲み干してヨイチを見ると、ヨイチは困ったような顔で頭を掻いていた。
「理屈はわかったような、納得しづらいような……。気持ちはありがたく受け取っておくよ」
「うん」
ヨイチもお茶を飲み干し、自分でおかわりを注いだ。
「ローズの方の話は?」
「ヨイチはお人好しすぎ。あんなやつ、冒険者ギルドか警備兵に突き出せばよかったの」
「ごめん。どうしても自分で確かめたかったんだ」
ヨイチの言い分はわかる。自分で確かめられるなら、確かめたい。
「……うん。言いたかったのは、それだけ。お茶、もっといる?」
「いや、もうじき夕食だから」
「そっか」
本当はもっと色々と言いたかった。椿木を追い出す前にもう一度ボコボコにしてほしかった。
でも、優しいヨイチだから好き。
テーブルの上を片付けて、ヨイチにカーテシー。
「それではご主人さま、晩餐までどうぞお寛ぎくださいませ」
飽きないなぁ、って顔で「ありがとう」を言ってくれるヨイチも好き。
***
「これからどうしよう……」
横伏の家を出て、当てもなく歩いている。
横伏に会わないようにするためには、この町を出たほうがいい。天使にも嫌われちゃったし。
城に戻るのは論外だ。レベル60もあれば不東と渡り合えるかもしれないが、たとえ殺せても嬉しくない。虚しい。
ふと顔を上げたら、ドルシェスさんの店の近くだった。無意識に知っている場所へ向かってたのかな。
ドルシェスさんにもこれ以上迷惑は掛けられない。
踵を返して、店から遠ざかる。目指すは町の外だ。
街道を辿れば、他の町か村のひとつも見つかるだろう。
マジックボックスの中に、城を出た時とドルシェスさんの所で揃えた生活用品が入っているから、これを元手にまたアルバイトでも探そう。
頭の中で今後の方針がまとまると、少しだけ気分が上向いた。
町の外へ出てしばらく歩き、一度振り返る。
召喚されて、チートを貰ったときはあんなに心躍ったのに、最後は不東のサンドバッグにされて、天使に嫌われて。
次の場所では、今度こそ上手くやれるだろうか。
「元はと言えば、召喚されなければ……」
考えてもしょうがないことが口から勝手に出た。
「城の連中が、魔王なんかに楯突こうとしなければ」
え?
「異世界から勇者共や聖女共を召喚すること自体が愚かなことだ」
なんだ?
「二度とくだらぬ真似が出来ぬよう、この地の人々を」
ま、まって、何!?
「根絶やしにしよう」
こんなこと、考えてない!
「誰だよっ!」
さっきから誰かが勝手にボクの口を使って、勝手に喋ってる。
「ここだよ」
聞き覚えのある声が、今度は上から降ってきた。
見上げるとそこには、ガリガリに痩せた皺だらけの、黒いローブを着た男が浮いていた。
「見つけた」
皺だらけの、ボクと同じ顔が、ボクと同じ声で喋った。
「どういうこと……?」
浮いていたボクは目の前に降り立ったかと思うと、ボクの頭を片手で掴んだ。
手から、死んだ時の記憶が流れ込んでくる。
苦しい。熱い。寒い。どうしようもない絶望感と、虚脱感。
「や、やめ……」
手を掴んで、離そうとしても全く動かない。それどころか、力が抜ける。
「拒むのか」
「当たり前だ……やめろ……」
意識までも朦朧とする中、なんとか拒絶の意思を伝えた。
「ふん」
急に手を振り払われ、たたらを踏む。死の記憶は遠ざかり、意識もはっきりした。
「我が依代になるかと期待したが、違ったか」
「さっきから一体、何を……お前は何なんだ」
「姿はしばらく借り受けるぞ」
ボクのような何かは一方的に言いたいことだけ言って、町の方へ飛んでいった。
「ぜんっぜん意味わからん!」
誰も聞いてないのをいいことに、声を出して溜まったイライラを発散させた。
大声を出すのはボクがよくやるストレス解消方法だ。すると頭も冷えてくる。
さっきのやつは、ファンタジー的に言えば、ボクのドッペルゲンガーかな。ドッペルゲンガーに会ったら死ぬんじゃなかったっけ。
会ったら死ぬ……。
逆か? 死んだから、アイツが生まれた?
ここは異世界で、魔法があって、死んでも生き返るようなところだ。
生き返ったことでなにかがおかしくなって、あれが発生したとか、ありそうじゃないか。
待てよ、拙くないか?
あいつ、町へ向かったよな?
折角町を出たのに、ボクが戻ったと勘違いされるんじゃないか?
天使にはもう十分嫌われてるけど、これ以上泥の上塗りはしたくない。
せめて横伏には説明しておかなくちゃ。
転移魔法を使おうとしたら、発動しなかった。
魔力が戻っていないのかと、集中してみる。魔力は、十分ある。
ステータスを見ると、属性が……属性の項目ごと消えていた。
魔法が使えなくなってる!?
一体いつからだ? これもアイツのせいか? 掴まれた時に抜けた力は、属性だったのか?
「くそっ!」
考えている場合じゃない。町へ全力で走って戻った。
「掃除、というか消毒」
先程の怒り未だ醒めやらぬといった風に、ずんずんとベッドに近づき、勢いよくシーツを剥いだ。
てきぱきとベッドメイクを済ませると、僕を押しのけて周囲を見事なまでに磨き上げていく。
「あの、お手伝いしましょうか」
「結構です、ご主人さま」
起死回生を図った一手は一刀両断され無念の敗北を喫した僕は、部屋の隅に椅子を移動させて座り、ローズの掃除を見守ることしか出来なかった。ヒイロもローズのただならぬ様子に気圧され、僕の膝の上で丸くなることを選んだ。
十五分程で、部屋はピカピカになった。うちのメイドさん達、掃除の技術の上達が半端ない。
最終チェックを済ませたローズが、扉の前でぺこりと頭を下げて出ていこうとする。
「あ、待って。ちょっと話がしたい」
「ローズもそうしたい。お茶とお菓子持ってくる」
「ヨイチは何の話?」
最近ヒスイが町で見つけてきた緑茶に似たお茶が今、我が家のブームだ。お茶請けはヒイロお気に入りのリートグルク饅頭。まだ膝の上にいるヒイロの口元に半分にちぎった饅頭を近づけたら、一瞬で消えた。好きなくせに味わうということを知らないらしい。
「ローズは僕のことを恩人って言ってくれるけど、僕は覚えがない。一体何のこと?」
椿木との会話以外に、イネアルさんからも言われたことがある。
そもそも、僕が直接助けたのはヒスイだ。間接的にツキコとローズを救ったことになると言えなくはないが、ここまで執着されるほどじゃない。
「ヒスイはローズの恩人。恩人を救った人だから、ヨイチも恩人」
「ヒスイが?」
ローズはこの世界に喚び出される前、日本にいた時のことから、話してくれた。
***
日本では、恵まれた環境で過ごしていた。
生まれる前から家にはお手伝いさんが何人もいて、私は家事どころか日常生活に必要な動作の殆どを、お手伝いさんにやってもらっていた。
甘やかせられっぷりは、小学校へ上る直前になって、やっとひとりで着替えができるようになったほどだ。
登下校は車で送り迎え、休日は両親とお茶会、夏休みは避暑地の別荘、冬休みは海外旅行。
与えられるものは何でも最高級品。だけど私が欲しがれば、おもちゃでも駄菓子でも、好きなものが選べた。
幸い学校の勉強に困るような頭ではなかったし、高校は近いからという理由で良槃高校にした。
将来のことは、まだあまり考えてなかった。だけど、実家がこうだから、何があっても大丈夫という自信だけはあった。
まさか異世界に召喚されるなんて、思わなかったから。
何の憂いもない生活をしていたから、私は不測の事態にとても弱い。
いつものように車が迎えに来て、乗り込んだはずなのに、突然知らない床に座り込んでいた。
そこで初めて見る衣装の人たちに、よくわからない丸い石に手を置けと言われて、拒否もできず固まっていたら無理やり手を引かれて……。
「離しなさいっ!」
私の手を掴んだ人に食って掛かり、怒鳴ってくれたのは、ヒスイだった。
ヒスイは私をかばってくれただけなのに、力ずくで押さえつけられた。
そして結局全員、石に手を乗せられ、一方的に「違う」「いらない」と言われ、追い出されたのだ。知らない土地、知らない世界に。
「改めて聞いても、酷い話だな」
ヨイチの瞳が青くなってる。私達になにか悪いことがあると、今みたいに瞳が青くなる。本人は大きな魔法を使うときだけ青くなると思い込んでいて、気付いてないみたい。
何度か同じ話をしているのに、聞く度にこうして憤ってくれる。
それが、嬉しい。
「ローズは最初、家事はひとつも出来なかったの。修道院でお手伝いを言い渡されて途方に暮れてたのを真っ先に助けてくれたのが、ヒスイ。ツキコも助けてくれたけど、最初は自分のことでいっぱいいっぱいだったって。ローズが一番駄目だったし、ヒスイだって自分のことがあるのに、いつもローズのことを優先してくれたの」
「そうだったのか。僕がローズと会ったときは既に、家事万能だったから、日本でもやってたのかと思った」
「全部ヒスイのお陰」
「でもさ、ローズが自分からやろうと思わなかったら、ヒスイだって手を貸してなかったんじゃないかな」
「……ヒスイと同じことを言う」
「え?」
私はヒスイが好きだ。尊敬しているという意味で。ツキコのことももちろん好きだ。背が高くてかっこいいし、なんでも作ってくれるし、優しい。
ヨイチのことは最初、ヒスイを助けてくれたから好きだと思ってた。
ちょっと違った。
ヒスイに少し似てるから好きなんだ。
周りの人に優しくできて、自分を顧みずに守ってくれる人たちだ。
「なんでもない。つまり、ヨイチはヒスイの恩人だから、ローズの恩人でもあるの」
冷めてしまったお茶を飲み干してヨイチを見ると、ヨイチは困ったような顔で頭を掻いていた。
「理屈はわかったような、納得しづらいような……。気持ちはありがたく受け取っておくよ」
「うん」
ヨイチもお茶を飲み干し、自分でおかわりを注いだ。
「ローズの方の話は?」
「ヨイチはお人好しすぎ。あんなやつ、冒険者ギルドか警備兵に突き出せばよかったの」
「ごめん。どうしても自分で確かめたかったんだ」
ヨイチの言い分はわかる。自分で確かめられるなら、確かめたい。
「……うん。言いたかったのは、それだけ。お茶、もっといる?」
「いや、もうじき夕食だから」
「そっか」
本当はもっと色々と言いたかった。椿木を追い出す前にもう一度ボコボコにしてほしかった。
でも、優しいヨイチだから好き。
テーブルの上を片付けて、ヨイチにカーテシー。
「それではご主人さま、晩餐までどうぞお寛ぎくださいませ」
飽きないなぁ、って顔で「ありがとう」を言ってくれるヨイチも好き。
***
「これからどうしよう……」
横伏の家を出て、当てもなく歩いている。
横伏に会わないようにするためには、この町を出たほうがいい。天使にも嫌われちゃったし。
城に戻るのは論外だ。レベル60もあれば不東と渡り合えるかもしれないが、たとえ殺せても嬉しくない。虚しい。
ふと顔を上げたら、ドルシェスさんの店の近くだった。無意識に知っている場所へ向かってたのかな。
ドルシェスさんにもこれ以上迷惑は掛けられない。
踵を返して、店から遠ざかる。目指すは町の外だ。
街道を辿れば、他の町か村のひとつも見つかるだろう。
マジックボックスの中に、城を出た時とドルシェスさんの所で揃えた生活用品が入っているから、これを元手にまたアルバイトでも探そう。
頭の中で今後の方針がまとまると、少しだけ気分が上向いた。
町の外へ出てしばらく歩き、一度振り返る。
召喚されて、チートを貰ったときはあんなに心躍ったのに、最後は不東のサンドバッグにされて、天使に嫌われて。
次の場所では、今度こそ上手くやれるだろうか。
「元はと言えば、召喚されなければ……」
考えてもしょうがないことが口から勝手に出た。
「城の連中が、魔王なんかに楯突こうとしなければ」
え?
「異世界から勇者共や聖女共を召喚すること自体が愚かなことだ」
なんだ?
「二度とくだらぬ真似が出来ぬよう、この地の人々を」
ま、まって、何!?
「根絶やしにしよう」
こんなこと、考えてない!
「誰だよっ!」
さっきから誰かが勝手にボクの口を使って、勝手に喋ってる。
「ここだよ」
聞き覚えのある声が、今度は上から降ってきた。
見上げるとそこには、ガリガリに痩せた皺だらけの、黒いローブを着た男が浮いていた。
「見つけた」
皺だらけの、ボクと同じ顔が、ボクと同じ声で喋った。
「どういうこと……?」
浮いていたボクは目の前に降り立ったかと思うと、ボクの頭を片手で掴んだ。
手から、死んだ時の記憶が流れ込んでくる。
苦しい。熱い。寒い。どうしようもない絶望感と、虚脱感。
「や、やめ……」
手を掴んで、離そうとしても全く動かない。それどころか、力が抜ける。
「拒むのか」
「当たり前だ……やめろ……」
意識までも朦朧とする中、なんとか拒絶の意思を伝えた。
「ふん」
急に手を振り払われ、たたらを踏む。死の記憶は遠ざかり、意識もはっきりした。
「我が依代になるかと期待したが、違ったか」
「さっきから一体、何を……お前は何なんだ」
「姿はしばらく借り受けるぞ」
ボクのような何かは一方的に言いたいことだけ言って、町の方へ飛んでいった。
「ぜんっぜん意味わからん!」
誰も聞いてないのをいいことに、声を出して溜まったイライラを発散させた。
大声を出すのはボクがよくやるストレス解消方法だ。すると頭も冷えてくる。
さっきのやつは、ファンタジー的に言えば、ボクのドッペルゲンガーかな。ドッペルゲンガーに会ったら死ぬんじゃなかったっけ。
会ったら死ぬ……。
逆か? 死んだから、アイツが生まれた?
ここは異世界で、魔法があって、死んでも生き返るようなところだ。
生き返ったことでなにかがおかしくなって、あれが発生したとか、ありそうじゃないか。
待てよ、拙くないか?
あいつ、町へ向かったよな?
折角町を出たのに、ボクが戻ったと勘違いされるんじゃないか?
天使にはもう十分嫌われてるけど、これ以上泥の上塗りはしたくない。
せめて横伏には説明しておかなくちゃ。
転移魔法を使おうとしたら、発動しなかった。
魔力が戻っていないのかと、集中してみる。魔力は、十分ある。
ステータスを見ると、属性が……属性の項目ごと消えていた。
魔法が使えなくなってる!?
一体いつからだ? これもアイツのせいか? 掴まれた時に抜けた力は、属性だったのか?
「くそっ!」
考えている場合じゃない。町へ全力で走って戻った。
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