倒した魔物が消えるのは、僕だけのスキルらしいです

桐山じゃろ

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第二章

35 原因

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 スルカス国王を探すのはいいが、現状手がかりが全く無い。
 どこから手を付けたものかとフェリチと話し込んでいると、貴族の一人が揉み手しながら近づいてきた。
 拘束されていないということは、貴族制廃止賛成派なのだろうが、笑みが厭らしい。
「あのぉー……英雄ディール殿。陛下の行方にひとつ心当たりがございまして……」
 喋り方までねちねちと耳障りだ。
「早く言ってください。時間が惜しい」
「しかしですね、国家の機密にも関わる重要な……」
 すごい、たったこれだけのやりとりで僕をここまで苛立たせるなんて。
 僕は無言でそいつの襟元を掴み、軽く持ち上げてみせた。
「このまま地面に叩きつけられて頭を割るのと、さっさと喋って解放されるのと、どっちがいい?」
「ひいいっ!? 分かりました分かりました、言いますうううう」
 あとでフルマ伯爵に訊いたら、こいつは賛成派の中でも蝙蝠に例えられていて、しかし侯爵家で地位と権力はあるものだから、こういう交渉事や我儘をよく言い、止められる人が少ない人なのだそうだ。面倒くさい。
「さっさと話せ」
「ひとまず下ろして……」
「叩きつけられたいか?」
 思い切り睨みつけると、そいつはヒュッと息を呑んでから、ようやく話し始めた。
「お、王のお部屋に隠し通路がありまして、陛下がお逃げになられるのなら、そちらではないかと思った次第でして……」
「隠し通路の場所は?」
「それが、その、あの」
 やっぱり叩きつけるか、と腕を更に上げると、やっと吐いた。
「ままま待ってっ! ごめんなさい! 実はそこまでは知らなくてっ! 痛っ!」
 僕はそいつをぽいっと捨てるように落とした。

「フルマ伯爵、なにかご存知ありませんか。もしくは心当たりの有りそうな人は」
「申し訳ない、隠し通路の噂は知っていますが、詳しい場所や知っている方までは。それに、大怪我を負った人間がわざわざそういう場所へ逃げ込むものかと思い込んでおりまして……しかし、手がかりがないのであれば、行ってみるのも手ですね」
 確かに、隠し通路と言えば重たい家具が置いてある壁や釘が打ち付けてある床、火のついた暖炉の向こうなんかに隠すものだ。
 大怪我を負った人間がそんなところを通ろうとするとは考えにくい。
「とりあえず探してみます。王の部屋まで案内を頼めませんか」
「勿論です。隠し通路探しもお手伝いします」
 僕達はフルマ伯爵に案内を頼んで、王の部屋へと向かった。

 王の部屋は広かったが、拍子抜けするほど、一見質素だった。
 しかしよく見れば、家具や建材には全て統一感があり、高級な素材で作られた特注品だと分かる。
「私はあちらの部屋を探しましょう」
 フルマ伯爵が指さしたのは、水回りのある部屋へ続く別室の扉だ。
「僕は家具を動かしていくから、フェリチはその後を探してみてくれる?」
「はい」
 重厚な机や棚、ベッドを次々と元ある場所から動かし、最終的に絨毯を全て剥いだが、特にそれらしいものは見つからなかった。
 ふたりで見落としがないかもう一度部屋を見ていると、フルマ伯爵が僕達を呼んだ。
「ディール殿、フェリチ殿、こちらへ!」

 行ってみれば、フルマ伯爵はトイレの便器の横に座り込んでいた。
「何かありましたか?」
「ここの床だけ埃がズレていたのです。絡繰り仕掛けがあるようなのですが……」
「どいてください」
 仕掛けがあろうとなかろうと、そこが開くのであれば力ずくでもいけるだろう。
 床には確かに、動いた形跡があった。
 わずかな隙間に爪をねじ込み、力を入れると、べりっと床板が剥がれ……下り階段が現れた。
「おお……本当に存在するとは……」
 フルマ伯爵が驚いている。
「助かりました、フルマ伯爵。行ってみますね」
「何が起きるかわかりません。お気をつけて」
 フルマ伯爵に見守られながら、僕とフェリチは階段を降りた。



「真っ暗ですね……明かりの魔法を使ってもいいですか?」
「あ、ごめん。夜目が効いてて気づかなかった。使ってくれ」
 僕にはあたりの様子がはっきりと見えるのだが、明かりの全く無い地下道は当然真っ暗闇だ。
 フェリチが魔法を使うと、改めて景色が浮かび上がった。
 通路は王の部屋と同じく質素で、静謐だ。
 床をよくよく見れば、何かを引きずったような跡がある。
「変ですね」
 フェリチが眉をひそめる。
「お怪我をなさった方が通ったのではなく、これは……」
 何者かが、怪我をした陛下を引きずっていったように見える。
「急いだほうが良さそうだ。フェリチ、持つよ」
「へっ? は、ひゃああ!?」
 フェリチの細い悲鳴が通路に響くが、かまっていられない。
 僕はフェリチを横抱きにして、通路を全速力で走った。

 通路は一本道ですぐ端に到達し、上り階段があった。
「ディールさんっ、そろそろ……」
「まだるっこしいからこのまま跳ぶよ。掴まってて」
「跳ぶ!?」
 上を向いて思い切り地面を蹴り、頭突きで階段の上にある板を破壊し脱出した。
「む、無茶なさらないでくださいっ」
「急いでるから仕方ないだろう。……ん?」
 外は嵐になっていた。
 冷たい風と雨が吹き付ける中、誰かの気配がある。
 気配の方へ目をやると、そこには、知っている顔がひとつと、見たことはないが知っている人がひとり。

 ぐったりとして動かないスルカス国王を、第二王子が引きずっていた。

 第二王子は確か、僕を不当に国外追放とした咎で、どこかに幽閉されていたのではなかったか。


「待て!」
 フェリチをその場に下ろし、ひと跳びで第二王子に追いついた。
「なっ……き、貴様は!」
 第二王子も僕に気付いたが、構わず陛下を取り返した。
「フェリチっ!」
「はいっ!」
 フェリチは走ってこちらへ向かいながら、治癒魔法を発動させた。器用だ。
 治癒魔法は陛下に降り注ぎ、真っ白になっていた陛下の顔にわずかに赤みが差した。
 遠隔だからこの程度なのか、それとも……。
「この状況はどういうことだ? 貴族たちが暴れた原因を知っているか?」
「誰が言うか! お前も死ねっ!」
 第二王子は腰の剣を抜き放ち、僕に斬り掛かってきた。
 意外と速い!

「フェリチ、そこにいて!」
 まずフェリチの安全を確保した上で、僕は第二王子と相対した。
 意外と速いと言っても、僕の敵じゃない。
 剣を躱し、背後に回って第二王子の腕を取り、関節を極めてその場に押し倒した。
「ぐっ、ど、どうして……」
「こっちの台詞だ」
 聞きたいことだらけだが、素直に言いそうもない。
「お気づきになられましたか。痛むところはありませんか?」
 どうしようかと考えあぐねていたら、フェリチが陛下に声をかけていた。
 陛下が目覚めたらしい。
「ああ……素晴らしい治癒魔法だ、誰かに事の次第を伝える時間は得られた」
 陛下は止めるフェリチをそっと手で制して立ち上がり、こちらを向いた。
「君たちは何者か訊いても?」
 そういえば陛下は僕達の顔を知らないのだった。
「私はフェリチ・パルヴァと申します。あちらはディール・エクステミナです」
 フェリチが自身と僕を紹介すると、陛下は目を見開いた。
「君が英雄ディールか、その節はすまなかった。儂の最期の言葉を託すのにこれほど相応しい人間はおらぬな」
「最期?」
 フェリチを見ると、フェリチは悲しそうに首を横に振った。
 傷が深すぎて、表面上は癒えたが、生命力は元に戻らなかったのだ。
 人は、生命力が尽きれば、死ぬ。

「儂が貴族制の廃止を宣言し、国終えの仕事をしている最中、そやつが戻ってきよった」
 そやつ、というのは僕が制圧していた第二王子だ。泡を吹き白目を剥いていたから、手荷物に入っていた縄で簡単に縛り上げて転がしておいた。
「貴族は我が味方についた、我こそは王に相応しいと言うてな。おそらく貴族制廃止反対派の連中がそやつを担ぎ出したのじゃろう。そこからは……儂にもようわからぬ。突然、貴族たちが暴れ始めて、王都を壊し、城内で争いを始めた。儂はそやつに……我が子に腹を割かれてこのザマじゃ。う、ごほっ、ごほっ」
 ぱたたっ、と濡れた地面に血が滲む。フェリチが半泣きで陛下の背中を優しく擦っている。こんな状態の人間に治癒魔法を掛けてもこれ以上傷は治らない上、逆に生命力を削ってしまうのだ。
「陛下、わかりました。もう……」
「ふふ……まさか我が最期を看取るのが、不肖の息子が一度は追放した英雄と聖女であるとはな……何の因果じゃろうな」
 この状態で笑えるとは、強い人だ。
「せめて城までお連れします」
「だが、そやつも放っておけぬであろう」
「三人くらいなんとかなります」
「三人?」
「ディールさんっ!」

 僕は陛下を背負い、フェリチを片腕に抱き上げ、第二王子の首根っこを掴んで、元きた道を戻った。


「英雄とは凄まじいな、人を三人担いで息も切らさぬとは」
 すっかり忘れていたが、陛下の部屋は僕が荒らしたんだった。
 部屋に到着するとフルマ伯爵が待っていてくれて、部屋をもとに戻す努力をしてくれていたが、かろうじて絨毯がきれいに敷かれただけで、ほとんど荒れたままだった。
 僕は慌ててひっくり返したベッドを元通りにし、フェリチと一緒に簡単にベッドメイクして陛下に寝てもらった。
「陛下、おいたわしや……」
 フルマ伯爵が、フェリチから陛下の容態を聞いて嘆いた。
「時に、我がもう一人の息子のことを何かしら知らぬか?」
「第一王子殿下でしたら、僕の家にいます。すぐにお連れしましょう」
「無事ならよい。そなたの家は国外であろう? 親を看取れぬ不幸をさせてしまうのは心苦しいが……」
「連れてきました」
「父上!」
 陛下がなにか言っている間に転移魔道具でさっさと第一王子を連れ帰ってきた。
「お、おお、英雄とは凄まじいな」
 さっきも聞いた台詞だ。
「父上、まだ国終えの仕事が終わっておりませぬ。どうか、どうか……」
「すまぬな、あとは任せた……」
 第一王子が陛下の手を握りしめて号泣している間に。

 スルカス国最後の王は、崩御した。



「くくっ、はっはっは、父上は、王は死んだ! 次の王はこの俺ごぶげっ」
 場にそぐわない発言をした第二王子に素晴らしい飛び蹴りを食らわせたのは、第一王子だ。
 更に第一王子は第二王子に馬乗りになり、第二王子をぼこぼこに殴りつけた。
「このっ、親不孝者がっ! 貴様っ! どうしてここにいる!?」
「ぎゃああ痛い痛い痛い痛い痛い!!」
「殿下、手が痛みますよ」
 僕が止めに入ると、フェリチが第一王子の手を魔法で癒やした。第二王子は放置だ。
「ああ、あ、ありがとう……まだ、気は済んでいないが」
「後ほど心ゆくまでやってください。次は原因究明をしなくては」
「そうだったな……と言っても、結局何が何やら……おい、起きろ。知っていることは何でも良いから、洗いざらい吐け」
 気絶していた第二王子を第一王子が蹴り飛ばすと、第二王子は「んぎゃん!」という悲鳴とともに飛び上がった。
「フェリチ、あれじゃ話できなさそうだから、仕方ないけど治癒魔法使ってあげて」
「はい」
 フェリチがいつもより適当な感じで治癒魔法を使うと、第二王子の腫れた顔が元通りになった。
「うう……第二王子の俺の扱いが酷すぎやしないか……」
「そう扱われる原因はお前自身だろうが。さあ、さっさと知っていることを話せ。貴族たちが暴走していたのは何故だ」
「ぐっ……し、しかし俺は何も……い、痛い、痛たた……痛いいいいいい!!」
 普通に話していた第二王子が急にどこかを痛がり出し、敷き直した絨毯の上を転がった。
「フェリチ?」
「傷はすべて治したはずです」
 不意に、酷い臭いがした。
 この臭いは……どうして今まで気づかなかったんだ!?
 臭いの元は第二王子だ。
 僕は第二王子の首根っこを掴んで、転移魔道具を使った。



 冒険者をしていた経験がここで生きるとは。
 咄嗟に魔物の少ない平原の場所を思い浮かべることができた。
 ここならドラゴンが出てきても、誰にも迷惑をかけない。
 土地はちょっとひどいことになるかも知れないが、民家は遠いし、大丈夫だろう。

 第二王子の首根っこから手を離した瞬間、右眼がびきりと痛んだ。
 耐えられない痛みじゃない。
 そのまま放置していると、頭の中に金色のドラゴンのイメージが浮かび上がった。

『あやつだけは特異でな』

 金色のドラゴンは勝手に喋りだした。

『人間も上手く名付けたものだ。リヴィディネ……人が持つ欲求そのもののひとつ。あやつは自身の欲求が満たせない限り、隠れ、暴れまわるぞ』

 倒れ込んだ第二王子から、赤い靄が立ち上る。
 靄から酷い臭いがする。

 赤い靄は徐々に形になり……赤い鱗と色欲の名を持つ、リヴィディネドラゴンとなった。
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