11 / 32
第三章 振り回されるもの
11 異世界に召喚されたんだが!?
しおりを挟む
オレの名前は浮木草要。十七歳。
一年前まで、日本の都心に近いところに住んでいた。
親父は会社社長でお袋は女優。
オレ自身は親父の頭の良さとお袋の顔の良さを受け継いで、勉強も恋愛もそこそこにいい感じに過ごしてた。
転機は一年前。道を歩いてたらトラックに跳ねられて、気がついたら今の世界にいた。
どうやらトラック自体が異世界からやってきた「異世界召喚請負魔道具」とかいうものらしく、オレはまんまと異世界へ召喚されたわけだ。
オレは漫画は人並みに読むが、小説だのライトノベルだの、文字ばっかりの本は苦手だ。
それでも異世界転生モノはいくつか読んできた。
お陰で、オレを召喚したクロイツヴァルトっていう国の魔法使いさん達からの説明はすんなり受け入れられた。
でも、でもだ。元の世界で人生を謳歌していたオレに、異世界での心機一転スタートは辛いものがある。
真っ先に尋ねたのは、元の世界へ帰る方法があるかどうかだ。
結論。あるにはあるが、クロイツヴァルトにはない。別の大陸の別の場所へ行かなければならない、だそうで。
そんで、これも定石だか何だか知らないが、オレには使命を押し付けられた。
十年ほど前、クロイツヴァルト国は隣国ラインフェルデンと領土を巡って戦争をしていた。
長年に渡る拮抗状態に先に痺れを切らしたラインフェルデン国は、なんと異世界から魔王を呼び出した。
魔王の圧倒的な力の前に、クロイツヴァルト国は民の命を優先して降伏。王族は軒並み処刑されてしまう。
ところがラインフェルデン国はもっと酷いことになった。
魔王が「召喚の報酬だ」と言って、ラインフェルデン国の王族の魂を貪り喰らい、国内に大量の魔物を放って民を蹂躙した。
困り果てたラインフェルデンのお偉いさんたちは、戦敗国であるクロイツヴァルトに「なんとかしてくれ」と泣きついた。
クロイツヴァルトのお偉いさんたちは、ラインフェルデンの自業自得とも言える行動に呆れ返りつつも、条件付きで承諾した。
条件とは、先の戦争で被害を受けた民に十分なお金や物資を配ること、そして二度と戦争を起こさないと誓うこと。
ラインフェルデンから肯定の返事を受けてから、早速対抗策を探した。
そこから一年ほど掛けて二つの国の古い書物を漁り、賢者たちの知恵を寄せ集めて出した結論が、魔王に対抗できる勇者、つまりオレを召喚することだった。
でもオレ、別に何の力も無いですよ。
魔力? レベル? そんなの日本になかったです。
召喚したから力が目覚めた? いや、そんなことはなさそうですが……。
オレは本当に何ももっていなかった。何なら、トラックに跳ねられた時の怪我すら治ってなかったから、召喚直後は瀕死状態だったもんね。
異世界召喚というのは、多大なコストがかかるものらしい。
巨大な魔法陣を人の血と特別な鉱石を混ぜたインクで書き上げ、大量の動物を生贄に捧げ、国中の賢者が数ヶ月にわたって魔力を注ぎ続けて現れたのが、ただの男子高校生。
オレに何の奇跡も起きておらず、奇跡を起こすような力もないとわかると、オレは厄介者扱いされた。
城から追い出される寸前のオレに救いの手を差し伸べたのは、召喚直後の瀕死のオレを率先して治癒魔法で治してくれた賢者の男だ。
賢者さんは黒髪黒目で、どことなく日本人に近い見た目をしていた。
何故この国が召喚をしたのかとか、オレに何の力もないとみるや追い出そうとしたのか、説明してくれたのもこの人。
この賢者さんだけが、オレの境遇に同情し、元の世界に帰る手助けを申し出てくれた。
城から追い出されたオレは、賢者さんの家へ招待された。
賢者さんの家は一人暮らし用のこぢんまりとした家だったが、賢者さんが杖を振ると、家の中に扉が現れ、その向こうに新しい部屋が家具付きで出現していた。
魔法ってすげー。
「ありがたいですけど、オレを匿ったりしたら貴方が困りませんか?」
賢者さんはオレより年上に見えたし、何より恩人だから、オレは敬語で接した。
「困らないよ。勝手に召喚したのはこちらだというのに、放り出そうとするなんて仁義に悖る」
「でもそれは、オレに何も力がないせいで」
オレは自分の手を見た。
日本で読んだ本では……中には何も持たない主人公もいたが、何かしら人の役に立つスキルがあったり、自分の面倒を見られるだけの甲斐性は持っていた。
オレは、日本ではまだ未成年で、実家では仕事で忙しい両親の代わりにお手伝いさんたちに囲まれ、何不自由ない生活をしていた。
バイトなんてしたことないし、家事は何一つできない。
オレは毎日学校へ行き、授業を真面目に受け、テストでそこそこ良い点を取るくらいしかできないのだ。
背の高い賢者の顔が、いつのまにか俯いてしまっていたオレを下から見上げていた。
「大丈夫。君にしかできないことがある。それさえやってもらえれば、元の世界へ帰してあげられるし、この家での暮らしも保証する」
「オレにしかできないこと……?」
賢者さんが求めるものが何かは、このときは教えてもらえなかった。
それと、賢者さんは名前も教えてくれなかった。なんでも、とある魔法に係わっているから、名前を教えられないのだそうだ。
オレはその日から、賢者さんの家で暮らし始めた。
賢者さんの魔法もすごかったが、魔道具も便利だ。
洗濯機はスイッチひとつで、家中の汚れ物を勝手に寄せ集め、洗濯から乾燥、畳んで収納まで全部やってくれる。
掃除は家中に汚れ防止の魔法がかかっているから不要。
食事もスイッチを押すだけ。食卓の上に、味・栄養・見た目がいい感じに揃った美味しいものがホカホカの状態で出てくる。
家具として設置してある魔道具の使い方を一通り教わると、賢者さんは「一週間ほどで戻ってくる」と言って、家から出ていった。
その間に、オレは「これを読んでおいてくれ」と渡された分厚い本を真剣に読み込んだ。
医学書って読んだことないから知らないけど、多分これは医学書だと思う。
とある系統の病気のことと、その病気に罹る原因や治療法などの知識が図説入りでわかりやすく書いてあった。
一週間して、賢者さんが帰ってきた。
家の出入り口には、誰かの帰宅や来客を知らせる魔道具が設置されている。
賢者さんはオレに「来客は放っておいて良い」と言われていたが、この一週間、誰も尋ねてこなかった。
教えてもらった通り賢者さんの帰宅を告げる音が鳴ったので、オレは出入り口の扉を開けて、賢者さんを出迎えた。
「おかえりなさ……どうしたんですかっ!?」
家を出たときの賢者さんは綺麗な黒いローブを羽織っていたのに、そのローブはボロボロになっていた。
「ただいま。ちょっと魔王を退治してきたからね。怪我はもうないよ」
「まっ!?」
魔王って、異世界から召喚した勇者しか倒せないんじゃなかったの!?
しかも賢者さん、たったひとりで魔王を倒してきたっぽい。
オレが衝撃で固まっていると、賢者さんは苦笑いを浮かべて頭を掻いた。
「俺は普段、治癒魔法専用の下っ端賢者で通ってる。だけど本当は、魔王を倒せるだけの魔力を持っているんだ」
それならどうして、はじめから倒しにいかなかったのか。先に倒しておいてくれたら、オレは召喚されずに済んだのに。
オレが疑問をぶつける前に、賢者さんは僕の前に跪き、頭を下げた。
「賢者さん?」
「すまない。俺にはどうしても、異世界からやってくる人間が必要だったんだ」
「詳しく聞いてもいいですか?」
「勿論。ちゃんと話すよ」
「はい」
「少し待ってて」
賢者さんは立ち上がると、自分の部屋へ入ってすぐ戻ってきた。
もうボロボロのローブは着ておらず、こざっぱりした普段着姿になっている。
それから台所へ行ってお茶用のスイッチを押し、テーブルの上にお茶とお茶菓子を並べ、僕に椅子を勧めてきた。
オレが座ると、賢者さんも向かいの椅子に座った。
「どこから話したものかな……。まず、詳しく聞きたいとのことだが、まだ話せないこともいくつかある。時が来たら必ず説明するから、これだけは勘弁してほしい」
そう言って、賢者さんはまたしても僕に頭を下げた。
「あの……。色々思うところはありますけど、助けてもらったのも事実ですし、そんなに頭下げないでください」
オレがこう言うと、賢者さんは頭を上げた。
「君は優しいね」
それから、賢者さんは魔力を隠していた理由と、オレの必要性について、説明を始めた。
一年前まで、日本の都心に近いところに住んでいた。
親父は会社社長でお袋は女優。
オレ自身は親父の頭の良さとお袋の顔の良さを受け継いで、勉強も恋愛もそこそこにいい感じに過ごしてた。
転機は一年前。道を歩いてたらトラックに跳ねられて、気がついたら今の世界にいた。
どうやらトラック自体が異世界からやってきた「異世界召喚請負魔道具」とかいうものらしく、オレはまんまと異世界へ召喚されたわけだ。
オレは漫画は人並みに読むが、小説だのライトノベルだの、文字ばっかりの本は苦手だ。
それでも異世界転生モノはいくつか読んできた。
お陰で、オレを召喚したクロイツヴァルトっていう国の魔法使いさん達からの説明はすんなり受け入れられた。
でも、でもだ。元の世界で人生を謳歌していたオレに、異世界での心機一転スタートは辛いものがある。
真っ先に尋ねたのは、元の世界へ帰る方法があるかどうかだ。
結論。あるにはあるが、クロイツヴァルトにはない。別の大陸の別の場所へ行かなければならない、だそうで。
そんで、これも定石だか何だか知らないが、オレには使命を押し付けられた。
十年ほど前、クロイツヴァルト国は隣国ラインフェルデンと領土を巡って戦争をしていた。
長年に渡る拮抗状態に先に痺れを切らしたラインフェルデン国は、なんと異世界から魔王を呼び出した。
魔王の圧倒的な力の前に、クロイツヴァルト国は民の命を優先して降伏。王族は軒並み処刑されてしまう。
ところがラインフェルデン国はもっと酷いことになった。
魔王が「召喚の報酬だ」と言って、ラインフェルデン国の王族の魂を貪り喰らい、国内に大量の魔物を放って民を蹂躙した。
困り果てたラインフェルデンのお偉いさんたちは、戦敗国であるクロイツヴァルトに「なんとかしてくれ」と泣きついた。
クロイツヴァルトのお偉いさんたちは、ラインフェルデンの自業自得とも言える行動に呆れ返りつつも、条件付きで承諾した。
条件とは、先の戦争で被害を受けた民に十分なお金や物資を配ること、そして二度と戦争を起こさないと誓うこと。
ラインフェルデンから肯定の返事を受けてから、早速対抗策を探した。
そこから一年ほど掛けて二つの国の古い書物を漁り、賢者たちの知恵を寄せ集めて出した結論が、魔王に対抗できる勇者、つまりオレを召喚することだった。
でもオレ、別に何の力も無いですよ。
魔力? レベル? そんなの日本になかったです。
召喚したから力が目覚めた? いや、そんなことはなさそうですが……。
オレは本当に何ももっていなかった。何なら、トラックに跳ねられた時の怪我すら治ってなかったから、召喚直後は瀕死状態だったもんね。
異世界召喚というのは、多大なコストがかかるものらしい。
巨大な魔法陣を人の血と特別な鉱石を混ぜたインクで書き上げ、大量の動物を生贄に捧げ、国中の賢者が数ヶ月にわたって魔力を注ぎ続けて現れたのが、ただの男子高校生。
オレに何の奇跡も起きておらず、奇跡を起こすような力もないとわかると、オレは厄介者扱いされた。
城から追い出される寸前のオレに救いの手を差し伸べたのは、召喚直後の瀕死のオレを率先して治癒魔法で治してくれた賢者の男だ。
賢者さんは黒髪黒目で、どことなく日本人に近い見た目をしていた。
何故この国が召喚をしたのかとか、オレに何の力もないとみるや追い出そうとしたのか、説明してくれたのもこの人。
この賢者さんだけが、オレの境遇に同情し、元の世界に帰る手助けを申し出てくれた。
城から追い出されたオレは、賢者さんの家へ招待された。
賢者さんの家は一人暮らし用のこぢんまりとした家だったが、賢者さんが杖を振ると、家の中に扉が現れ、その向こうに新しい部屋が家具付きで出現していた。
魔法ってすげー。
「ありがたいですけど、オレを匿ったりしたら貴方が困りませんか?」
賢者さんはオレより年上に見えたし、何より恩人だから、オレは敬語で接した。
「困らないよ。勝手に召喚したのはこちらだというのに、放り出そうとするなんて仁義に悖る」
「でもそれは、オレに何も力がないせいで」
オレは自分の手を見た。
日本で読んだ本では……中には何も持たない主人公もいたが、何かしら人の役に立つスキルがあったり、自分の面倒を見られるだけの甲斐性は持っていた。
オレは、日本ではまだ未成年で、実家では仕事で忙しい両親の代わりにお手伝いさんたちに囲まれ、何不自由ない生活をしていた。
バイトなんてしたことないし、家事は何一つできない。
オレは毎日学校へ行き、授業を真面目に受け、テストでそこそこ良い点を取るくらいしかできないのだ。
背の高い賢者の顔が、いつのまにか俯いてしまっていたオレを下から見上げていた。
「大丈夫。君にしかできないことがある。それさえやってもらえれば、元の世界へ帰してあげられるし、この家での暮らしも保証する」
「オレにしかできないこと……?」
賢者さんが求めるものが何かは、このときは教えてもらえなかった。
それと、賢者さんは名前も教えてくれなかった。なんでも、とある魔法に係わっているから、名前を教えられないのだそうだ。
オレはその日から、賢者さんの家で暮らし始めた。
賢者さんの魔法もすごかったが、魔道具も便利だ。
洗濯機はスイッチひとつで、家中の汚れ物を勝手に寄せ集め、洗濯から乾燥、畳んで収納まで全部やってくれる。
掃除は家中に汚れ防止の魔法がかかっているから不要。
食事もスイッチを押すだけ。食卓の上に、味・栄養・見た目がいい感じに揃った美味しいものがホカホカの状態で出てくる。
家具として設置してある魔道具の使い方を一通り教わると、賢者さんは「一週間ほどで戻ってくる」と言って、家から出ていった。
その間に、オレは「これを読んでおいてくれ」と渡された分厚い本を真剣に読み込んだ。
医学書って読んだことないから知らないけど、多分これは医学書だと思う。
とある系統の病気のことと、その病気に罹る原因や治療法などの知識が図説入りでわかりやすく書いてあった。
一週間して、賢者さんが帰ってきた。
家の出入り口には、誰かの帰宅や来客を知らせる魔道具が設置されている。
賢者さんはオレに「来客は放っておいて良い」と言われていたが、この一週間、誰も尋ねてこなかった。
教えてもらった通り賢者さんの帰宅を告げる音が鳴ったので、オレは出入り口の扉を開けて、賢者さんを出迎えた。
「おかえりなさ……どうしたんですかっ!?」
家を出たときの賢者さんは綺麗な黒いローブを羽織っていたのに、そのローブはボロボロになっていた。
「ただいま。ちょっと魔王を退治してきたからね。怪我はもうないよ」
「まっ!?」
魔王って、異世界から召喚した勇者しか倒せないんじゃなかったの!?
しかも賢者さん、たったひとりで魔王を倒してきたっぽい。
オレが衝撃で固まっていると、賢者さんは苦笑いを浮かべて頭を掻いた。
「俺は普段、治癒魔法専用の下っ端賢者で通ってる。だけど本当は、魔王を倒せるだけの魔力を持っているんだ」
それならどうして、はじめから倒しにいかなかったのか。先に倒しておいてくれたら、オレは召喚されずに済んだのに。
オレが疑問をぶつける前に、賢者さんは僕の前に跪き、頭を下げた。
「賢者さん?」
「すまない。俺にはどうしても、異世界からやってくる人間が必要だったんだ」
「詳しく聞いてもいいですか?」
「勿論。ちゃんと話すよ」
「はい」
「少し待ってて」
賢者さんは立ち上がると、自分の部屋へ入ってすぐ戻ってきた。
もうボロボロのローブは着ておらず、こざっぱりした普段着姿になっている。
それから台所へ行ってお茶用のスイッチを押し、テーブルの上にお茶とお茶菓子を並べ、僕に椅子を勧めてきた。
オレが座ると、賢者さんも向かいの椅子に座った。
「どこから話したものかな……。まず、詳しく聞きたいとのことだが、まだ話せないこともいくつかある。時が来たら必ず説明するから、これだけは勘弁してほしい」
そう言って、賢者さんはまたしても僕に頭を下げた。
「あの……。色々思うところはありますけど、助けてもらったのも事実ですし、そんなに頭下げないでください」
オレがこう言うと、賢者さんは頭を上げた。
「君は優しいね」
それから、賢者さんは魔力を隠していた理由と、オレの必要性について、説明を始めた。
11
お気に入りに追加
42
あなたにおすすめの小説

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました
遥 かずら
ファンタジー
冒険者ギルドに所属しているエンジは剣と魔法の才能が無く、文字を書くことだけが取り柄であった。落ちこぼれスキル【転写】を使いギルド帳の筆記作業で生計を立てていた。そんなある日、立ち寄った勇者パーティーの貴重な古代書を間違って書き写してしまい、盗人扱いされ、勇者によってギルドから追放されてしまう。
追放されたエンジは、【転写】スキルが、物やスキル、ステータスや魔法に至るまで何でも【コピー】できるほどに極められていることに気が付く。
やがて彼は【コピー】マスターと呼ばれ、世界最強の冒険者となっていくのであった。

固有スキルガチャで最底辺からの大逆転だモ~モンスターのスキルを使えるようになった俺のお気楽ダンジョンライフ~
うみ
ファンタジー
恵まれない固有スキルを持って生まれたクラウディオだったが、一人、ダンジョンの一階層で宝箱を漁ることで生計を立てていた。
いつものように一階層を探索していたところ、弱い癖に探索者を続けている彼の態度が気に入らない探索者によって深層に飛ばされてしまう。
モンスターに襲われ絶体絶命のピンチに機転を利かせて切り抜けるも、ただの雑魚モンスター一匹を倒したに過ぎなかった。
そこで、クラウディオは固有スキルを入れ替えるアイテムを手に入れ、大逆転。
モンスターの力を吸収できるようになった彼は深層から無事帰還することができた。
その後、彼と同じように深層に転移した探索者の手助けをしたり、彼を深層に飛ばした探索者にお灸をすえたり、と彼の生活が一変する。
稼いだ金で郊外で隠居生活を送ることを目標に今日もまたダンジョンに挑むクラウディオなのであった。
『箱を開けるモ』
「餌は待てと言ってるだろうに」
とあるイベントでくっついてくることになった生意気なマーモットと共に。

元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々
於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。
今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが……
(タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います
長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。
しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。
途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。
しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。
「ミストルティン。アブソープション!」
『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』
「やった! これでまた便利になるな」
これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。
~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

世界樹を巡る旅
ゴロヒロ
ファンタジー
偶然にも事故に巻き込まれたハルトはその事故で勇者として転生をする者たちと共に異世界に向かう事になった
そこで会った女神から頼まれ世界樹の迷宮を攻略する事にするのだった
カクヨムでも投稿してます

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる