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魔界内乱編
魔王が二人
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「魔王様っ!いい加減にしてください!」
イカルド?がサヴァンを僕から剥がし、サヴァンを怒鳴りつけた。
「何処から拾ってきたんだか分かりませんが、元いた場所に返してきなさい!」
か、返す?
「うちじゃ飼えませんよ!」
え、飼うって何を?
「こいつはペットじゃねえ…。こいつ…ネムは俺様の伴侶だ。」
そう言ってサヴァンは僕を抱き起こすと、イカルドに見せつけるように胸元に抱き寄せた。
起き上がったことで、僕のお尻からトロトロとサヴァンの精液がベットに流れ落ちていく。
まだ体が熱くて力も上手く出ない僕は、サヴァンにされるがままに抱き寄せられた胸元に寄りかかる。
「えぇ!?伴侶ォ!?」
イカルドは相当驚いたのか目を見開き、先程まで瞼が閉じられていて見えることのなかった緑色の瞳が見えた。
「いや、この子、男ですよね!?」
「あぁ。」
男の人じゃ駄目なものなのかな…?
「いや、今回人間の青年を探すのは生贄の為だって言ってませんでした!?」
「言った。」
「じゃあなんでですか!?」
「…ネムは魔力が高い。………それに…。」
「ひゃぁっ…!」
急にお尻をぎゅむっと捕まれて驚いた僕は目の前のサヴァンにぎゅーっと抱きつく。
「…可愛いだろ。」
「そ、それは…。」
途中で言葉を止めたイカルドが気になり、サヴァンに抱きつきながらもイカルドを見上げる。
「…な?」
「うぅ…。」
イカルド、股のあたりを抑えてどうしたんだろう。
「くっ、その子をここに置くのは許しましょう…。で す が!伴侶は駄目ですよ!人間の男じゃ子供が産めないでしょう!」
「チッ…」
ん?子供って魔族なのに産む必要あるの?前の僕なんか父様にキスして母様との間に産まれるように呪いを掛けたみたいだけど。
それに魔族って余程じゃない限り死んだりしないし。
これって僕が魔王だからできただけで魔族全員ができる訳じゃないのかな…。
「子供が、必要なの…?」
僕が胸元に抱きつきながらもサヴァンを見上げると、サヴァンは僕の顎を指先で持ち上げてニヤリと笑う。
「…なんだ、子供ができるまで俺様とヤるか?」
「で、出来るまで…。」
今の僕は人間の体ではあるけど、中身が魔王なこともあって少々特殊な状態だ。
もしかして、ずっとし続けたら本当に出来ちゃったりして…?
僕はお腹を触り、顔を赤くした。
「いや、出来ませんからね!あなた、男だから出来ませんからね!!」
なんだかイカルドが大きな声を出しているけど気づかない僕はサヴァンと見つめ合っていた。
「はぁ、聞いてませんね…。…にしても、ネムさん…でしたっけ?この子どこで拾ってきたんですか魔王様?」
イカルドが諦めたように質問するとサヴァンは僕から目を離し、風呂場を指差した。
「そこ。」
「へ?」
「だから、そこにいた。」
「…………はい?」
イカルドは視線をサヴァンが指差した場所と、サヴァンの顔を行き来して眉間に皺を寄せた。
「…最初はお前が連れてきた青年かと思ったが、反応を見る限り違うようだな。」
「…違うようだなって、そんな呑気なもんじゃないですよっ!明らかにその子怪しいじゃないですか!!!」
急に指差されて驚いた僕はイカルドから目を逸らし、サヴァンの胸に顔を埋める。
「おい、ネムが驚くだろう。大きな声を出すな。あと指差すな。」
「す、すみません…。……て、そうじゃないでしょ!どうやってこの部屋に入ったんですその子!魔法使わないと入れないはずですし、ここに人間がいる事自体おかしいんですよ!?」
そっか、僕は自分の城だし、違和感なかったけど僕が魔王だって知らない人たちからしたら、魔界に急に現れた人間ってことになっちゃうんだね。
どう言い訳したらいいんだろう。
いっそ、僕が魔王だよって言ったほうがいいのかな?
でも、なんでサヴァンが魔王を名乗ってるのか理由が分からないから、魔王って名乗って酷いことされたらどうしよう。
「ネム、ここにいた理由、話せるか…?」
「あぅ…」
優しく腰を撫でられて、耳元で囁かれ、真っ赤に光り輝くサヴァンの瞳を見ると、色々と考えてたのに頭が真っ白になってしまう。
自然と言葉が口から溢れる。
「気づいたらここにいたの…。」
僕は転移するように念じて気づいたらここにいた。
ただ、こんな曖昧な話じゃ信じてもらえないよね…。
「気づいたらここに…、誰かに連れてこられたか、飛ばされたか、ですかね。」
イカルドは考えるように顎に指を当てている。
「えっ、信じてくれるの?」
普通こんな曖昧な言葉じゃ信じてもらえなさそうなんだけど…。
「…あぁ、魔王様はヴァンパイアですからね、自分で噛み付いた方を魅了する力も持ってるんです。だから、魔王様と目を合わせて聞かれた貴方は嘘はつけない筈ですから。」
え…!?
じゃあ、もしかしたら僕が本物の魔王です!って目の前でカミングアウトしてたかもしれないってこと!?
胸を抑えてドキドキしながらサヴァンを見上げるとニヤリと笑われて余計に心臓がバクバクと暴れだす。
「心配するな、大丈夫だ。今まで俺様が噛み付いたやつはここにいない。俺様の側に居て良いのはネムだけだ。」
よかった…バレてはないみたい…。
「えっと、じゃあイカルドは噛まれてないの…?」
「私は魔王様の好きなタイプではありませんから。それにそういう気になられてもこちらから願い下げです。」
イカルドもかっこいいのに。
魔王様に好かれるのは嬉しいことだってベルナードは言ってたけど…。
僕じゃなくて、なんでサヴァンが魔王ってことになってるんだろう。
「…魔王様ってことはサヴァンが一番強いってことなの?」
「ああ、俺様が最強だ。」
サヴァンは自信満々だが、イカルドは困った顔をした。
「魔王様と呼んではいますが、まだ確定ではないんです。魔王候補と言ったほうが良いですかね…。前魔王亡き今、魔王候補たちが魔王という椅子を取り合っている状況なのですよ。」
そっか、僕が魔王の生まれ変わりっていうことは一部の人以外にはバレてないもんね。
「でも、俺様が最強だろう。他の魔王候補達に負けたこともない。」
「まぁ、実力的にはサヴァン様が最強でしょうね。…ただ…。」
ただ、なんだろう。
「…対人だけで見極めるのは難しいですからね。まだ力をすべて見せてない者もいると思うんです。」
確かにそれはあるかも…。
「ふん、姑息な手段で負けたりなんかしない。それに、今はネムもいる。」
僕を信じきったその真っ直ぐで綺麗な赤色の瞳で微笑まれて、本当は僕がその前魔王なんです、とは口が裂けても言えそうにはなかった。
イカルド?がサヴァンを僕から剥がし、サヴァンを怒鳴りつけた。
「何処から拾ってきたんだか分かりませんが、元いた場所に返してきなさい!」
か、返す?
「うちじゃ飼えませんよ!」
え、飼うって何を?
「こいつはペットじゃねえ…。こいつ…ネムは俺様の伴侶だ。」
そう言ってサヴァンは僕を抱き起こすと、イカルドに見せつけるように胸元に抱き寄せた。
起き上がったことで、僕のお尻からトロトロとサヴァンの精液がベットに流れ落ちていく。
まだ体が熱くて力も上手く出ない僕は、サヴァンにされるがままに抱き寄せられた胸元に寄りかかる。
「えぇ!?伴侶ォ!?」
イカルドは相当驚いたのか目を見開き、先程まで瞼が閉じられていて見えることのなかった緑色の瞳が見えた。
「いや、この子、男ですよね!?」
「あぁ。」
男の人じゃ駄目なものなのかな…?
「いや、今回人間の青年を探すのは生贄の為だって言ってませんでした!?」
「言った。」
「じゃあなんでですか!?」
「…ネムは魔力が高い。………それに…。」
「ひゃぁっ…!」
急にお尻をぎゅむっと捕まれて驚いた僕は目の前のサヴァンにぎゅーっと抱きつく。
「…可愛いだろ。」
「そ、それは…。」
途中で言葉を止めたイカルドが気になり、サヴァンに抱きつきながらもイカルドを見上げる。
「…な?」
「うぅ…。」
イカルド、股のあたりを抑えてどうしたんだろう。
「くっ、その子をここに置くのは許しましょう…。で す が!伴侶は駄目ですよ!人間の男じゃ子供が産めないでしょう!」
「チッ…」
ん?子供って魔族なのに産む必要あるの?前の僕なんか父様にキスして母様との間に産まれるように呪いを掛けたみたいだけど。
それに魔族って余程じゃない限り死んだりしないし。
これって僕が魔王だからできただけで魔族全員ができる訳じゃないのかな…。
「子供が、必要なの…?」
僕が胸元に抱きつきながらもサヴァンを見上げると、サヴァンは僕の顎を指先で持ち上げてニヤリと笑う。
「…なんだ、子供ができるまで俺様とヤるか?」
「で、出来るまで…。」
今の僕は人間の体ではあるけど、中身が魔王なこともあって少々特殊な状態だ。
もしかして、ずっとし続けたら本当に出来ちゃったりして…?
僕はお腹を触り、顔を赤くした。
「いや、出来ませんからね!あなた、男だから出来ませんからね!!」
なんだかイカルドが大きな声を出しているけど気づかない僕はサヴァンと見つめ合っていた。
「はぁ、聞いてませんね…。…にしても、ネムさん…でしたっけ?この子どこで拾ってきたんですか魔王様?」
イカルドが諦めたように質問するとサヴァンは僕から目を離し、風呂場を指差した。
「そこ。」
「へ?」
「だから、そこにいた。」
「…………はい?」
イカルドは視線をサヴァンが指差した場所と、サヴァンの顔を行き来して眉間に皺を寄せた。
「…最初はお前が連れてきた青年かと思ったが、反応を見る限り違うようだな。」
「…違うようだなって、そんな呑気なもんじゃないですよっ!明らかにその子怪しいじゃないですか!!!」
急に指差されて驚いた僕はイカルドから目を逸らし、サヴァンの胸に顔を埋める。
「おい、ネムが驚くだろう。大きな声を出すな。あと指差すな。」
「す、すみません…。……て、そうじゃないでしょ!どうやってこの部屋に入ったんですその子!魔法使わないと入れないはずですし、ここに人間がいる事自体おかしいんですよ!?」
そっか、僕は自分の城だし、違和感なかったけど僕が魔王だって知らない人たちからしたら、魔界に急に現れた人間ってことになっちゃうんだね。
どう言い訳したらいいんだろう。
いっそ、僕が魔王だよって言ったほうがいいのかな?
でも、なんでサヴァンが魔王を名乗ってるのか理由が分からないから、魔王って名乗って酷いことされたらどうしよう。
「ネム、ここにいた理由、話せるか…?」
「あぅ…」
優しく腰を撫でられて、耳元で囁かれ、真っ赤に光り輝くサヴァンの瞳を見ると、色々と考えてたのに頭が真っ白になってしまう。
自然と言葉が口から溢れる。
「気づいたらここにいたの…。」
僕は転移するように念じて気づいたらここにいた。
ただ、こんな曖昧な話じゃ信じてもらえないよね…。
「気づいたらここに…、誰かに連れてこられたか、飛ばされたか、ですかね。」
イカルドは考えるように顎に指を当てている。
「えっ、信じてくれるの?」
普通こんな曖昧な言葉じゃ信じてもらえなさそうなんだけど…。
「…あぁ、魔王様はヴァンパイアですからね、自分で噛み付いた方を魅了する力も持ってるんです。だから、魔王様と目を合わせて聞かれた貴方は嘘はつけない筈ですから。」
え…!?
じゃあ、もしかしたら僕が本物の魔王です!って目の前でカミングアウトしてたかもしれないってこと!?
胸を抑えてドキドキしながらサヴァンを見上げるとニヤリと笑われて余計に心臓がバクバクと暴れだす。
「心配するな、大丈夫だ。今まで俺様が噛み付いたやつはここにいない。俺様の側に居て良いのはネムだけだ。」
よかった…バレてはないみたい…。
「えっと、じゃあイカルドは噛まれてないの…?」
「私は魔王様の好きなタイプではありませんから。それにそういう気になられてもこちらから願い下げです。」
イカルドもかっこいいのに。
魔王様に好かれるのは嬉しいことだってベルナードは言ってたけど…。
僕じゃなくて、なんでサヴァンが魔王ってことになってるんだろう。
「…魔王様ってことはサヴァンが一番強いってことなの?」
「ああ、俺様が最強だ。」
サヴァンは自信満々だが、イカルドは困った顔をした。
「魔王様と呼んではいますが、まだ確定ではないんです。魔王候補と言ったほうが良いですかね…。前魔王亡き今、魔王候補たちが魔王という椅子を取り合っている状況なのですよ。」
そっか、僕が魔王の生まれ変わりっていうことは一部の人以外にはバレてないもんね。
「でも、俺様が最強だろう。他の魔王候補達に負けたこともない。」
「まぁ、実力的にはサヴァン様が最強でしょうね。…ただ…。」
ただ、なんだろう。
「…対人だけで見極めるのは難しいですからね。まだ力をすべて見せてない者もいると思うんです。」
確かにそれはあるかも…。
「ふん、姑息な手段で負けたりなんかしない。それに、今はネムもいる。」
僕を信じきったその真っ直ぐで綺麗な赤色の瞳で微笑まれて、本当は僕がその前魔王なんです、とは口が裂けても言えそうにはなかった。
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