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「ここが環ちゃんの実家…お土産これでよかったかな?あ、待って俺変じゃない?」
駅からバスに乗り10分、バス停から5分。
僕の実家、それなりに広い庭付きの家のセキュリティがしっかりした門の前で、あわあわしてる辰也さん。
学園の最寄駅で買った土産を見てはこれでよかったのかなと悩み、服装や髪型はおかしくないかと尋ねてくる。
「緊張している辰也さんも可愛いです。」
そう言うとぼっと顔を赤く染めて顔を隠してしまった。可愛いがすぎるな本当!可愛いの暴力!
深呼吸で気持ちを落ち着かせてからインターホンを鳴らし、暫くして応答の声がする。
「ただいま帰りました。門開けて。」
「あらまあ、随分早かったわね。今解除するわ。」
ピッという音が聞こえて、門が開く。
開いた門から中へと辰也さんをエスコートして、玄関前まで荷物を運ぶ。
玄関のドアを開けようと、ドアノブに手をかけると同時に、ドアが開いた。
「おかえり~。恋人連れ帰るなんて、すっごく楽しみだったのよ。」
「母さんただいま。こちら西條辰也さん。僕の恋人。辰也さん、こちら母です。」
玄関へと入り、ドアの施錠をしてから軽く挨拶をする。
いつ見ても僕に似ている母さん。背は僕の方が高いが、姿勢も良くて特に差を感じたことはない。
髪を伸ばした僕の女装姿って感じだろうな。
授業参観ですぐお前の母さんだろと言われるほどのそっくり。
「は、初めまして!環ちゃんとお付き合いしています。西條辰也です!ご厚意に甘えて居候させて頂きます。」
「まあ、そんなに堅くならなくていいのよ。しっかりした子なのね、それに環の好きな顔…やったじゃないの。」
口元を手で隠しながらにししと笑い、肘で小突いてくる母には頭が上がらない。
何故なら、この親にしてこの子ありとは僕の家族だろう。
姉さんの部屋で薄い本と出会って暫く、姉弟でこそこそと嗜んでいたが母にも見つかりまさかの参戦。
父以外は見事に腐っているという結果になった。
まあ、父は母に頭が上がらず、オタクのよき理解者で偏見もない。
今回も恋人を連れて帰ると言った時、あっさり許可してくれた。ここが我が家のいいところ。
「さあさ、疲れたでしょ。冷房点けてるから、リビングにおいでなさい。」
「お邪魔します。」
ああ、靴をしっかり揃えて端に置いてる!
お行儀いい辰也さん、この後もいつもみたいに手洗いうがいをするのだろう。
「辰也さん、洗面所はこちらです。母さん!手、洗ってくる!」
「はーい。荷物運んでおくわね。」
「ありがとー!」
玄関から左手に曲がったところにある洗面所へ案内し、でかい鏡の前に2つ設置された蛇口でそれぞれ手洗いとうがいをする。
辰也さんと一緒にいて、僕も癖がついてきた。
恋人の癖がうつるとか最高かよ。
「ねぇ環ちゃん。俺ちゃんとできてた?」
心配でたまらないといった顔の辰也さんにきゅんとしながら、笑顔で答える。
「ええ、とても可愛らしかったです。1つ気になるのは…居候じゃなくて花嫁修行でもよかったんですよ?あとお邪魔します、じゃなくてただいまって言ってください。」
気になったのはそのくらいか。少し意地悪をしたと自覚はあるが、目の前で口をあうあうさせている辰也さんを見たいがためだ。
僕と付き合う前、学園の親衛隊と関係を持っていたと聞いていたが、処女は僕がもらったし。トラウマに押しつぶされないよう依存していただけで恋愛とかじゃなかったって話してくれた。
今は僕だけの辰也さんだから、多目にみよう。
それにキャラとして暗い過去のある元ヤリチンチャラ男受けとか最高です。
「ほんっとさぁ…環ちゃんってタラシの自覚ある?」
タラシている自覚はないが、辰也さんがそう感じているならそれは貴方をいつも思っての言動だと思う。
顔を両手で隠し、指の間からこちらを窺う辰也さんに意味深に微笑む。
考えは心に秘めておこう。
慣れず赤面になる貴方が可愛いから。
駅からバスに乗り10分、バス停から5分。
僕の実家、それなりに広い庭付きの家のセキュリティがしっかりした門の前で、あわあわしてる辰也さん。
学園の最寄駅で買った土産を見てはこれでよかったのかなと悩み、服装や髪型はおかしくないかと尋ねてくる。
「緊張している辰也さんも可愛いです。」
そう言うとぼっと顔を赤く染めて顔を隠してしまった。可愛いがすぎるな本当!可愛いの暴力!
深呼吸で気持ちを落ち着かせてからインターホンを鳴らし、暫くして応答の声がする。
「ただいま帰りました。門開けて。」
「あらまあ、随分早かったわね。今解除するわ。」
ピッという音が聞こえて、門が開く。
開いた門から中へと辰也さんをエスコートして、玄関前まで荷物を運ぶ。
玄関のドアを開けようと、ドアノブに手をかけると同時に、ドアが開いた。
「おかえり~。恋人連れ帰るなんて、すっごく楽しみだったのよ。」
「母さんただいま。こちら西條辰也さん。僕の恋人。辰也さん、こちら母です。」
玄関へと入り、ドアの施錠をしてから軽く挨拶をする。
いつ見ても僕に似ている母さん。背は僕の方が高いが、姿勢も良くて特に差を感じたことはない。
髪を伸ばした僕の女装姿って感じだろうな。
授業参観ですぐお前の母さんだろと言われるほどのそっくり。
「は、初めまして!環ちゃんとお付き合いしています。西條辰也です!ご厚意に甘えて居候させて頂きます。」
「まあ、そんなに堅くならなくていいのよ。しっかりした子なのね、それに環の好きな顔…やったじゃないの。」
口元を手で隠しながらにししと笑い、肘で小突いてくる母には頭が上がらない。
何故なら、この親にしてこの子ありとは僕の家族だろう。
姉さんの部屋で薄い本と出会って暫く、姉弟でこそこそと嗜んでいたが母にも見つかりまさかの参戦。
父以外は見事に腐っているという結果になった。
まあ、父は母に頭が上がらず、オタクのよき理解者で偏見もない。
今回も恋人を連れて帰ると言った時、あっさり許可してくれた。ここが我が家のいいところ。
「さあさ、疲れたでしょ。冷房点けてるから、リビングにおいでなさい。」
「お邪魔します。」
ああ、靴をしっかり揃えて端に置いてる!
お行儀いい辰也さん、この後もいつもみたいに手洗いうがいをするのだろう。
「辰也さん、洗面所はこちらです。母さん!手、洗ってくる!」
「はーい。荷物運んでおくわね。」
「ありがとー!」
玄関から左手に曲がったところにある洗面所へ案内し、でかい鏡の前に2つ設置された蛇口でそれぞれ手洗いとうがいをする。
辰也さんと一緒にいて、僕も癖がついてきた。
恋人の癖がうつるとか最高かよ。
「ねぇ環ちゃん。俺ちゃんとできてた?」
心配でたまらないといった顔の辰也さんにきゅんとしながら、笑顔で答える。
「ええ、とても可愛らしかったです。1つ気になるのは…居候じゃなくて花嫁修行でもよかったんですよ?あとお邪魔します、じゃなくてただいまって言ってください。」
気になったのはそのくらいか。少し意地悪をしたと自覚はあるが、目の前で口をあうあうさせている辰也さんを見たいがためだ。
僕と付き合う前、学園の親衛隊と関係を持っていたと聞いていたが、処女は僕がもらったし。トラウマに押しつぶされないよう依存していただけで恋愛とかじゃなかったって話してくれた。
今は僕だけの辰也さんだから、多目にみよう。
それにキャラとして暗い過去のある元ヤリチンチャラ男受けとか最高です。
「ほんっとさぁ…環ちゃんってタラシの自覚ある?」
タラシている自覚はないが、辰也さんがそう感じているならそれは貴方をいつも思っての言動だと思う。
顔を両手で隠し、指の間からこちらを窺う辰也さんに意味深に微笑む。
考えは心に秘めておこう。
慣れず赤面になる貴方が可愛いから。
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