世話焼き風紀委員長は自分に無頓着

二藤ぽっきぃ

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〜IF〜なっていたかもしれない世界

3人で…①

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3人で行った海から数日。
告白の返事をしたいと京本と蜂須賀に連絡をすると、京本の家へと呼び出された。

俺の家と比べられないほどの豪邸。その2階の1室、京本の部屋に案内される。

ソファに向かい合って座り、出された紅茶を嗜み、告白の返事をする。

好意を寄せてくれる2人を、どうしても選べないと告げると、顔を見合わせた京本と蜂須賀は諦めたような表情で「なら、3人で付き合おう」と言った。

「本当は選んで欲しかったっすけど、蛍様を手に入れるためなら我慢します。」

「こうなるんじゃないかって、話してたんだ。結論でいうと、蛍と流星の2人が京本の籍に入るってことだな。」

おや?話がだいぶ進んでいる気がする。
というか京本が初めて蜂須賀の名前を呼んだ。

大人しく黙ったまま説明を待っていたら、やれやれと言った表情の2人が説明を始めてくれた。

「蛍が俺と流星に嫁ぐってことだ。籍は京本で、じいさんと俺の親には話は通してあるから養子縁組で名実ともに家族だな。」

「戸籍で繋がっていると、もしもの時安心っよね。俺は蜂須賀に何の未練もないんで、この案に乗らせてもらいました。」

さらっと話しているが、俺は今初めて聞いたんだぞ?
俺1人で済めばいいが、今の話は仲神グループにも関係があるってことだ。

「その、気が早いのではないか?」

まだ高校生、初めての恋人ですぐ結婚、家族と言われても心の準備が間に合っていない。
そういう意図を含み、前に座っている2人に投げかけてみたのだが、揃って大きな溜息を吐かれてしまう。

「蛍?俺らは言ってたよな。人生を共にしたいって…伝わってなかったのか?」

「酷いっすよ蛍様…もしかして別れるつもりなんすか?」

2人の目が怖い。光がない気がする。
確かに告白された時言われている。それは覚えているが、俺にとって初めての恋人で同性だ。

あらゆる事態を予測しておきたいと思うのは自然だろう。

押し黙ってしまった俺に、2人が立ち上がり両サイドに座られた。

持っていたティーカップは机に戻され、右手を蜂須賀に、左手を京本に取られそれぞれが手の甲にキスをする。

「蛍様だけを愛します。これから先の人生、蛍様の側にいさせてほしいっす。」

「蛍がいてくれるだけで、俺の人生は薔薇色だ。側にいろ、異論は認めない。」

どこの小説のヒーローだこいつらは!
現実で歯の浮くような台詞を言われるなんて思いもしなかった。

しかもこの状況、俺がヒロイン枠じゃないか!

くっ…絆されているのはわかっている。
惚れた相手に弱いのは、人のさがだな。
真剣な表情、少し強引な将来の誓い。

「……不束者だが、大事にしてくれよ。」

受け入れるしかないな。
こんな2人を愛おしいと思っている自分がいるのだから。

「お前らは俺が離れる心配ばかりしているようだから言っておくが、2人はモテる。…俺に飽きて途中で捨てるのはなしだからな。浮気も許さん。」

握られたままの手をそれぞれ握り返し、顔は合わせずそう言い放つと、両サイドから抱きしめられる。

「誰が飽きるかってのばーか!お前だけだ、俺を楽しませてくれる奴は!」

「嫉妬すか?嫉妬っすよね!蛍様!浮気なんて疑えないくらい、愛してあげますから、何なら今からでも!」

男2人の全力ハグで、身体が悲鳴を上げているが、この力強さも安心できるものだな。

「寝室行くか?」

京本が耳元で囁き、背筋がゾワっとする。

こんな昼間っから正気か?と思うが、抵抗する間も無く蜂須賀に姫抱っこをされてしまい地面から足が離れる。

2人の連携は見事で、京本の案内により俺はベッドへと寝かされる。

「んじゃ、約束通り…蛍の処女は流星な。」

「ファーストキスは取られたっすからね。譲ってもらいました。」

迫ってくる蜂須賀から、思わず身体を後ろに引いてしまうが、いつの間にか回り込んでいた京本に捕まる。

「2人がかりでヨくしてやるから、覚悟しろよ。」

妖艶に微笑む京本に、抵抗という気力はどこかへいってしまった。
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