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81話
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翌朝、卵焼きと味噌汁の匂いがして目を覚ます。
身体を起こそうとするが腰に鈍痛、両足の痙攣で力が入らない。
「いてぇ…」
ハジメテだというのに、合計で何回したのだろうか。
当分しなくていいくらいヤったのは覚えている。
蜂須賀が側にいないが、匂いから朝食を用意しているのだろう。
明るい部屋を改めて眺めてみると、机上にある写真立てが目に入る。
上半身を起こし、ベッドボードに寄りかかり写真を見る。
2つある写真立て、1つは俺だがもう1つは赤ん坊を抱いた女性。
多分母親だろう。同じ金髪で、赤ん坊は蜂須賀の面影がある。
「あ、蛍様。おはようございます。どこか痛いとかあるっすか?朝食作ったんすけど食べれそう?」
トレーに卵焼きとおにぎり、マグカップに入った味噌汁を2人分持って、部屋に入ってきた蜂須賀。
晴々した表情で鼻の下が伸びている。
一言くらい小言を言ってやろうかと思ったが、こんな顔されたら何でも許してやりたくなるじゃないか。
「暫くしたら大丈夫だ。朝食もらっていいか?」
「はい♡」
まるで奥さんみたいだな…
甲斐甲斐しく世話をしてくれる蜂須賀。
こんな関係になるなんて、出逢ったときは考えもしなかった。
チェストにトレーを置いてもらい身体を近づける。
行儀が悪いが、立てないからな。仕方なくベッドの上で朝食を摂る。
いつも通り旨いだし巻き卵、蜂須賀の手で握った大きいおにぎり。
味噌汁を飲んで、胃が温まる。
写真のことは気になるが、家庭のことは蜂須賀が話してくれるときまで待つと決意した。
写真の女性に心の中で息子さんを幸せにすると誓う。
そんな俺の考えを感じとったのか、隣に座った蜂須賀が、俺の肩に頭を置く。
「家族の愛なんてもの知らなかったっすけど、蛍様のおかげで、愛を知りました。愛してます蛍様。」
沢山の愛の言葉を紡がれて、俺がどのくらい返せるか分からないが、きちんと伝えよう。
「愛しているとはまだ言えないが、誰よりも愛しいと思っている。俺を好きになってくれてありがとう、流星。」
蜂須賀の顔を見て、今の気持ちを伝えると、涙ぐみながら笑顔を見せる蜂須賀が俺に抱きつく。
背中に手を回してぎゅっと抱きしめ返す。
「蛍様…えっちしたい。」
「今か?!」
思いもしなかった言葉が出てきて驚いてしまう。
力強く抱きしめている蜂須賀が耳元で笑っている気がした。
「明るいところでじっくり見ないと、もったいないっすよね。せっかくのお泊りだし。」
「待て待て待て!朝はしないぞ!」
「えーでももう勃っちゃったっす。」
「静めなさい!」
壁際に追い詰められ逃げられない。
性欲旺盛すぎるだろ!
このままだと、学園に戻った後の方が不健全な生活を送ることになりそうだ。
風紀所属として、それだけは阻止しなくてはいけない!
たとえ蜂須賀が子犬のような目で俺におねだりをしようとも、断固として拒否しなくては…いけない……
「くっ…せめてカーテンは閉めてくれ!」
「りょーかいっす♡」
甘やかしている自覚はある。
学園に戻るまでに、決まり事をいくつか決めておかないとな……
~fin~
身体を起こそうとするが腰に鈍痛、両足の痙攣で力が入らない。
「いてぇ…」
ハジメテだというのに、合計で何回したのだろうか。
当分しなくていいくらいヤったのは覚えている。
蜂須賀が側にいないが、匂いから朝食を用意しているのだろう。
明るい部屋を改めて眺めてみると、机上にある写真立てが目に入る。
上半身を起こし、ベッドボードに寄りかかり写真を見る。
2つある写真立て、1つは俺だがもう1つは赤ん坊を抱いた女性。
多分母親だろう。同じ金髪で、赤ん坊は蜂須賀の面影がある。
「あ、蛍様。おはようございます。どこか痛いとかあるっすか?朝食作ったんすけど食べれそう?」
トレーに卵焼きとおにぎり、マグカップに入った味噌汁を2人分持って、部屋に入ってきた蜂須賀。
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一言くらい小言を言ってやろうかと思ったが、こんな顔されたら何でも許してやりたくなるじゃないか。
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「はい♡」
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こんな関係になるなんて、出逢ったときは考えもしなかった。
チェストにトレーを置いてもらい身体を近づける。
行儀が悪いが、立てないからな。仕方なくベッドの上で朝食を摂る。
いつも通り旨いだし巻き卵、蜂須賀の手で握った大きいおにぎり。
味噌汁を飲んで、胃が温まる。
写真のことは気になるが、家庭のことは蜂須賀が話してくれるときまで待つと決意した。
写真の女性に心の中で息子さんを幸せにすると誓う。
そんな俺の考えを感じとったのか、隣に座った蜂須賀が、俺の肩に頭を置く。
「家族の愛なんてもの知らなかったっすけど、蛍様のおかげで、愛を知りました。愛してます蛍様。」
沢山の愛の言葉を紡がれて、俺がどのくらい返せるか分からないが、きちんと伝えよう。
「愛しているとはまだ言えないが、誰よりも愛しいと思っている。俺を好きになってくれてありがとう、流星。」
蜂須賀の顔を見て、今の気持ちを伝えると、涙ぐみながら笑顔を見せる蜂須賀が俺に抱きつく。
背中に手を回してぎゅっと抱きしめ返す。
「蛍様…えっちしたい。」
「今か?!」
思いもしなかった言葉が出てきて驚いてしまう。
力強く抱きしめている蜂須賀が耳元で笑っている気がした。
「明るいところでじっくり見ないと、もったいないっすよね。せっかくのお泊りだし。」
「待て待て待て!朝はしないぞ!」
「えーでももう勃っちゃったっす。」
「静めなさい!」
壁際に追い詰められ逃げられない。
性欲旺盛すぎるだろ!
このままだと、学園に戻った後の方が不健全な生活を送ることになりそうだ。
風紀所属として、それだけは阻止しなくてはいけない!
たとえ蜂須賀が子犬のような目で俺におねだりをしようとも、断固として拒否しなくては…いけない……
「くっ…せめてカーテンは閉めてくれ!」
「りょーかいっす♡」
甘やかしている自覚はある。
学園に戻るまでに、決まり事をいくつか決めておかないとな……
~fin~
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