74 / 93
69話
しおりを挟む
「ん…」
「おはよう蛍様、身体大丈夫っすか?倦怠感とか違和感とか。」
朝日が差し込む俺の部屋。目を覚ましてはじめに見たのは妖艶に微笑む蜂須賀だった。
気遣う言葉に、何のことだと思い返してみると、昨夜の出来事と共に尻の違和感を感じて顔が熱い。
「途中で、蛍様意識飛んじゃったっすけど最後まではしてないんで安心してください。昨日は気持ちイイことだけしたっすよ。」
艶めかしい目つきで見つめていたかと思えば、俺の額にキスをする。チュッと軽いリップ音が聞こえたと思えば、次にキスされたのは唇にだった。
当たり前のように舌を侵入させ、俺の口内は蹂躙される。
此方としても呼吸はできるようになったが、舌の扱いが分からずされるがままになってしまう。
起き抜けは口の中が雑菌だらけだと聞くしあまりやって欲しくはないのだが、ここで拒否してもな。
満足したのか、舌を抜きとって離れていく蜂須賀を眺めつつ、今は何時なのかと考える。
アラームは鳴っていないはずだから8時前だろう。
「蛍様の惚け顔を見ていいのは俺だけっすよね?」
その言葉の意味を理解したのは、蜂須賀の瞳に写る俺の表情を見てしまったとき。
顔を赤らめ、涙目でだらしなく口を開け舌を伸ばしているそれは、まるで発情しているかのような……
「嘘だろ……」
「蛍様は気持ちいいときはいつもこの顔を向けてくれるんすよ。」
あんな顔をしていたなんて、とてもじゃないが受け入れられない。
恥ずかしすぎる!
不貞寝をしたいが、夕方に蜂須賀は帰る。
そのことを思い出して、とりあえず蜂須賀に背を向けてベッドから降りる。
「ところで、本当に1泊で良かったのか?」
クローゼットを開き、服を取り出しつつ疑問をぶつける。
いつもの蜂須賀なら1泊で済まないと思っていたのだが、今回はなぜかそう提案してきた。
「来週は海も行くし、十分っす。蛍様との未来のために…俺頑張るっすね!」
背後から聞こえてくる元気な声。未来のためということは、資格勉強とかか?
寝間着からシャツとズボンに着替える。ばさっという音が聞こえるから、蜂須賀もベッドから出て着替えを始めたのだろう。
その間に、時間を確認するため時計に目を向けると、針は8時半を示している。
「アラーム鳴ってないよな?」
寝ぼけて止めたか、つけ忘れか。
しかし、朝食に呼びにこなかったのも気になる。
考えていても仕方ない。
残り物がなければ、軽く何か作ろう。
「蛍様、俺行きたいとこあって案内して欲しいっす!」
「そうか、なら荷物を駅に預けてからだな。いやまずは朝食か。」
着替えも終わり、部屋から出ようとドアノブに手をかけると階段のほうから足音が聞こえてくる。
「兄貴!!」
慌てて駆け寄ってくる嵐雪が俺に抱きついてくる。
「無事?!」
蜂須賀から距離を取らされ、嵐雪の目の前でターンさせられる。
真剣な表情で見つめてくる嵐雪は、俺の両腕を掴み声を大にして言った。
「兄貴の尻!ヤられてないよね!」
「朝からなんてことを言ってるんだ!」
「おはよう蛍様、身体大丈夫っすか?倦怠感とか違和感とか。」
朝日が差し込む俺の部屋。目を覚ましてはじめに見たのは妖艶に微笑む蜂須賀だった。
気遣う言葉に、何のことだと思い返してみると、昨夜の出来事と共に尻の違和感を感じて顔が熱い。
「途中で、蛍様意識飛んじゃったっすけど最後まではしてないんで安心してください。昨日は気持ちイイことだけしたっすよ。」
艶めかしい目つきで見つめていたかと思えば、俺の額にキスをする。チュッと軽いリップ音が聞こえたと思えば、次にキスされたのは唇にだった。
当たり前のように舌を侵入させ、俺の口内は蹂躙される。
此方としても呼吸はできるようになったが、舌の扱いが分からずされるがままになってしまう。
起き抜けは口の中が雑菌だらけだと聞くしあまりやって欲しくはないのだが、ここで拒否してもな。
満足したのか、舌を抜きとって離れていく蜂須賀を眺めつつ、今は何時なのかと考える。
アラームは鳴っていないはずだから8時前だろう。
「蛍様の惚け顔を見ていいのは俺だけっすよね?」
その言葉の意味を理解したのは、蜂須賀の瞳に写る俺の表情を見てしまったとき。
顔を赤らめ、涙目でだらしなく口を開け舌を伸ばしているそれは、まるで発情しているかのような……
「嘘だろ……」
「蛍様は気持ちいいときはいつもこの顔を向けてくれるんすよ。」
あんな顔をしていたなんて、とてもじゃないが受け入れられない。
恥ずかしすぎる!
不貞寝をしたいが、夕方に蜂須賀は帰る。
そのことを思い出して、とりあえず蜂須賀に背を向けてベッドから降りる。
「ところで、本当に1泊で良かったのか?」
クローゼットを開き、服を取り出しつつ疑問をぶつける。
いつもの蜂須賀なら1泊で済まないと思っていたのだが、今回はなぜかそう提案してきた。
「来週は海も行くし、十分っす。蛍様との未来のために…俺頑張るっすね!」
背後から聞こえてくる元気な声。未来のためということは、資格勉強とかか?
寝間着からシャツとズボンに着替える。ばさっという音が聞こえるから、蜂須賀もベッドから出て着替えを始めたのだろう。
その間に、時間を確認するため時計に目を向けると、針は8時半を示している。
「アラーム鳴ってないよな?」
寝ぼけて止めたか、つけ忘れか。
しかし、朝食に呼びにこなかったのも気になる。
考えていても仕方ない。
残り物がなければ、軽く何か作ろう。
「蛍様、俺行きたいとこあって案内して欲しいっす!」
「そうか、なら荷物を駅に預けてからだな。いやまずは朝食か。」
着替えも終わり、部屋から出ようとドアノブに手をかけると階段のほうから足音が聞こえてくる。
「兄貴!!」
慌てて駆け寄ってくる嵐雪が俺に抱きついてくる。
「無事?!」
蜂須賀から距離を取らされ、嵐雪の目の前でターンさせられる。
真剣な表情で見つめてくる嵐雪は、俺の両腕を掴み声を大にして言った。
「兄貴の尻!ヤられてないよね!」
「朝からなんてことを言ってるんだ!」
10
お気に入りに追加
1,077
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
笑わない風紀委員長
馬酔木ビシア
BL
風紀委員長の龍神は、容姿端麗で才色兼備だが周囲からは『笑わない風紀委員長』と呼ばれているほど表情の変化が少ない。
が、それは風紀委員として真面目に職務に当たらねばという強い使命感のもと表情含め笑うことが少ないだけであった。
そんなある日、時期外れの転校生がやってきて次々に人気者を手玉に取った事で学園内を混乱に陥れる。 仕事が多くなった龍神が学園内を奔走する内に 彼の表情に接する者が増え始め──
※作者は知識なし・文才なしの一般人ですのでご了承ください。何言っちゃってんのこいつ状態になる可能性大。
※この作品は私が単純にクールでちょっと可愛い男子が書きたかっただけの自己満作品ですので読む際はその点をご了承ください。
※文や誤字脱字へのご指摘はウエルカムです!アンチコメントと荒らしだけはやめて頂きたく……。
※オチ未定。いつかアンケートで決めようかな、なんて思っております。見切り発車ですすみません……。
目立たないでと言われても
みつば
BL
「お願いだから、目立たないで。」
******
山奥にある私立琴森学園。この学園に季節外れの転入生がやってきた。担任に頼まれて転入生の世話をすることになってしまった俺、藤崎湊人。引き受けたはいいけど、この転入生はこの学園の人気者に気に入られてしまって……
25話で本編完結+番外編4話
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
監獄にて〜断罪されて投獄された先で運命の出会い!?
爺誤
BL
気づいたら美女な妹とともに監獄行きを宣告されていた俺。どうも力の強い魔法使いらしいんだけど、魔法を封じられたと同時に記憶や自我な一部を失った模様だ。封じられているにもかかわらず使えた魔法で、なんとか妹は逃したものの、俺は離島の監獄送りに。いちおう貴族扱いで独房に入れられていたけれど、綺麗どころのない監獄で俺に目をつけた男がいた。仕方ない、妹に似ているなら俺も絶世の美形なのだろうから(鏡が見たい)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
王道学園のモブ
四季織
BL
王道学園に転生した俺が出会ったのは、寡黙書記の先輩だった。
私立白鳳学園。山の上のこの学園は、政財界、文化界を担う子息達が通う超名門校で、特に、有名なのは生徒会だった。
そう、俺、小坂威(おさかたける)は王道学園BLゲームの世界に転生してしまったんだ。もちろんゲームに登場しない、名前も見た目も平凡なモブとして。
私の事を調べないで!
さつき
BL
生徒会の副会長としての姿と
桜華の白龍としての姿をもつ
咲夜 バレないように過ごすが
転校生が来てから騒がしくなり
みんなが私の事を調べだして…
表紙イラストは みそかさんの「みそかのメーカー2」で作成してお借りしています↓
https://picrew.me/image_maker/625951
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【完結】I adore you
ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。
そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。
※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる