世話焼き風紀委員長は自分に無頓着

二藤ぽっきぃ

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63話

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「ここが蛍様の部屋…寮と雰囲気似てるっすね。」

「まあ、好みの問題だろうな。ところで、ちゃんと宿題持って来たのか?」

部屋に案内し、思ったよりも遠慮なく部屋を見回している蜂須賀に、泊まるに当たっての約束事を思い出してもらう。

この泊まりは確かにご褒美ではあるが、夏期休暇の宿題を疎かにしてはいけない。ついでに勉強会にしようという約束だったのだ。

「勿論、忘れてないっすよ。」

答えてはくれるのだが、蜂須賀はとうとう俺の本棚を漁り始めた。
中学の時で収集が止まっている本棚だが、じっくり見られると照れる。

「アルバム見たかったんすけど…蛍様のないんすか?」

「アルバム?卒業アルバムってことか?」

本棚を隅から隅まで見終わった蜂須賀は、やっと俺の顔を見て、さっきまでの行動の理由を口にした。どうやら俺のアルバムが見たいらしい。

「卒アルも勿論なんすけど、家族写真とか、蛍様の成長記録とかのアルバムも見たいっす!」

絶対見たいと意気込む蜂須賀に、ふと思い出す。
そういえばアルバム関連が手元にない。
卒業アルバムも見当たらない。

寧ろ昔の写真など存在しているのかすら分からない。期待している蜂須賀には悪いが、無い可能性も視野に入れてもらわなくては。

「すまないが、アルバムがあるか知らない。昔から世話をしてくれている松田さんに聞いてみるが、期待するなよ。」

「了解っす。もしなかったとしても、これからの思い出は俺がしっかり整理してるんでいつでも見れますよ!」

落ち込む様子もなく、笑顔でそう言う蜂須賀。
確かにラブレターの中に隠し撮りの写真もあったからな、高校時代の俺は蜂須賀がまとめてくれてるだろう。

蜂須賀をこのまま部屋で休ませて、俺は飲み物を取りに行こうと部屋を後にする。

階段を降り、リビングの前で立ち止まる。
聞こえてきた内容、葉山が嵐雪に何やら頼み事をしているみたいだ。

「いいだろ?大会の応援に来てくれたら、欲しがってたアレあげるからさ。」

「モノで釣ろうとすんな!大体、その日は兄貴と海行くんだから!」

海、来週の旅行の話か。
京本に誘われたことをそのまま嵐雪に伝えて、2人分用意してくれる予定だったが、葉山の言う大会、恐らくだが引退がかかった高校最後のってことじゃないのか?

それなら、京本には悪いが応援に行くべきだと思う。海はいつでも行けるからな。

立ち聞きをして考えをまとめたため、リビングへと入る。
海のこと、蜂須賀に言ってなかったな今更だが。
後ろめたいわけじゃないのに、何故か隠している気がしてもやもやしてしまう。
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