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57話
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帰省してから3日ほど経つ。
その間両親とは会えていない。
仲神グループとは、食品業界を牛耳るトップグループ。祖父が立ち上げた会社の社長として働いている父さん。
地主の娘である母さんと職場恋愛ののち結婚したが、結婚後も働きたいという意思を汲み、なんと海外出張までしている。
そんな両親が、珍しく時間が空いたから夕食を食べに行こうと言ってきた。
奮発して予約してあるから、ドレスコードを守るようにとだけ伝言が置かれていた。
そして用意していたスーツがこの有様だ。
家に犬が迷い込み、空いていた一階の窓から侵入。ベッドに出していた俺の唯一サイズが合うスーツをズタボロに噛み切りヨダレでベタベタにした。
「こら!可愛い顔してもダメだぞ!兄貴のスーツべちゃべちゃじゃん…」
部屋の中で暴れていた中型犬を3人がかりで捕まえて現状を把握する。
思ったよりも人懐っこく、嵐雪のおすわりも聞いていたところを見ると、脱走犬なのかも知れない。
「あらら、蛍様のスーツが……俺のをって言ってもサイズ合いませんね。」
松田さんは俺より背が低い。だが力持ちだし肩幅も広く、スーツの下には鍛えられた肉体が隠されているため、オーダメイドだ。
「既製品でも買ってきます。ついでだから外でぶらぶらしてきますね。」
この3日間、実家だからかついごろごろして家の中だけで過ごしていた。
地元を歩くのもいいだろうと思い、宣言すると嵐雪が挙手をして食い入るように、俺も!と言ってきた。
「俺も行く!似合うスーツ見つけてやるから!」
……確かに俺より嵐雪に選んでもらった方がかっこいいものが買えるだろう。
「頼む。この犬の飼い主も見つけてやらないとな。」
おすわりをしたままの犬、長いこと外にいたのか泥が固まり毛が汚れてしまっている。
犬種を判別できないのはそのせいか、雑種か。
分かるのは耳は垂れていて、短毛であること。
「迷い犬として、保護していることを警察に伝えておきましょう。先にショッピングモールへお連れしますね。」
頼りになる松田さんがどこからか首輪を持ってきて犬に着ける。
脱走犬であると仮定すると、首輪抜けをしてしまうのではないかと不安に思うが、俺のスーツが余程気に入ったのか、スーツの上で丸くなり寝始めた。
「こいつ自由すぎない?」
「まあまあ、犬なんてそんなものですよ。犬用シャンプーや、エサなども買いませんとね…」
手慣れている様子の松田さんが、簡易トイレと水を用意して犬の側に置く。
「とりあえず、この子を置いていくのは仕方ないので、さっさとショッピングモールに連れて行きますね。」
さあさあ、と車に急かされ、あれよと言う間に地元で1番のショッピングモールに到着した。
「では、お帰りの際はご連絡を。」
ペットショップで必要な物を目にも留まらぬ速さで買い揃えた松田さんは、そのまま車を運転して来た道を戻っていく。
残された俺と嵐雪は目を合わせて、少し笑い合う。
その間両親とは会えていない。
仲神グループとは、食品業界を牛耳るトップグループ。祖父が立ち上げた会社の社長として働いている父さん。
地主の娘である母さんと職場恋愛ののち結婚したが、結婚後も働きたいという意思を汲み、なんと海外出張までしている。
そんな両親が、珍しく時間が空いたから夕食を食べに行こうと言ってきた。
奮発して予約してあるから、ドレスコードを守るようにとだけ伝言が置かれていた。
そして用意していたスーツがこの有様だ。
家に犬が迷い込み、空いていた一階の窓から侵入。ベッドに出していた俺の唯一サイズが合うスーツをズタボロに噛み切りヨダレでベタベタにした。
「こら!可愛い顔してもダメだぞ!兄貴のスーツべちゃべちゃじゃん…」
部屋の中で暴れていた中型犬を3人がかりで捕まえて現状を把握する。
思ったよりも人懐っこく、嵐雪のおすわりも聞いていたところを見ると、脱走犬なのかも知れない。
「あらら、蛍様のスーツが……俺のをって言ってもサイズ合いませんね。」
松田さんは俺より背が低い。だが力持ちだし肩幅も広く、スーツの下には鍛えられた肉体が隠されているため、オーダメイドだ。
「既製品でも買ってきます。ついでだから外でぶらぶらしてきますね。」
この3日間、実家だからかついごろごろして家の中だけで過ごしていた。
地元を歩くのもいいだろうと思い、宣言すると嵐雪が挙手をして食い入るように、俺も!と言ってきた。
「俺も行く!似合うスーツ見つけてやるから!」
……確かに俺より嵐雪に選んでもらった方がかっこいいものが買えるだろう。
「頼む。この犬の飼い主も見つけてやらないとな。」
おすわりをしたままの犬、長いこと外にいたのか泥が固まり毛が汚れてしまっている。
犬種を判別できないのはそのせいか、雑種か。
分かるのは耳は垂れていて、短毛であること。
「迷い犬として、保護していることを警察に伝えておきましょう。先にショッピングモールへお連れしますね。」
頼りになる松田さんがどこからか首輪を持ってきて犬に着ける。
脱走犬であると仮定すると、首輪抜けをしてしまうのではないかと不安に思うが、俺のスーツが余程気に入ったのか、スーツの上で丸くなり寝始めた。
「こいつ自由すぎない?」
「まあまあ、犬なんてそんなものですよ。犬用シャンプーや、エサなども買いませんとね…」
手慣れている様子の松田さんが、簡易トイレと水を用意して犬の側に置く。
「とりあえず、この子を置いていくのは仕方ないので、さっさとショッピングモールに連れて行きますね。」
さあさあ、と車に急かされ、あれよと言う間に地元で1番のショッピングモールに到着した。
「では、お帰りの際はご連絡を。」
ペットショップで必要な物を目にも留まらぬ速さで買い揃えた松田さんは、そのまま車を運転して来た道を戻っていく。
残された俺と嵐雪は目を合わせて、少し笑い合う。
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