世話焼き風紀委員長は自分に無頓着

二藤ぽっきぃ

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48話

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試験の返却期間を終え、試験の順位が貼り出された。

廊下の順位表を見に、京本が付いてきたため一緒に見ている。

貼り出された順位表にはこうある。

3年期末試験
1位 京本誠一郎 S
1位 西條辰也  A
3位 仲神蛍     S
4位 青山虎徹    S
5位  :
             :

「おい、1位。何2人して満点とっているんだ。」

呑気に口笛を吹いて、一応驚いている京本に嫌味を言う。

西條が満点を出すとは…
今回は物理の点も良かったし、古典は満点だった。だからもしかしたら京本に勝てたのでは、なんて淡い期待をしていたのに。

「いや~やればできちゃうんだよね、俺。環ちゃんに頑張れって言われたし、エールのおかげで満点1位♡」

背後から肩を組んできたのは、どこから現れたのか西條が、俺と京本の間に顔を覗かせる。

「まさか今まで手を抜いてたとか言うなよ…」

そう西條に問いかけると、舌を出してごめんねと笑ってきた。
なら今までの2位はぬか喜びだったのか!
くっ…恥ずかしい。

「まあまあ、蛍も総合点上がってるってことは物理良かったってことだろ?俺のおかげだな。」

「何が言いたい。」

間にいた西條の顔を押し除けて、顔を近づけてくる京本。

おかげだというところを強調してきたのが嫌な予感がする。

「お礼はないのか?」

ニヤついており、企んでいる顔だ。
お礼と言われても、オムライスを作ってやった。対価は払ったはずだ。

「料理をした記憶があるのだが?」

「それは、勉強のお礼だろ?結果のお礼がまだだ。」

「京本やらし~、そこまでしないと仲神のこと誘えないの?」

へらへらと軽口を叩いていた西條は、京本に睨まれ、お邪魔虫は退散しますよと言って教室へ帰っていった。

「で?強欲な京本は何のお礼をしてほしいんだ?」

腕を組み威圧するように京本を一瞥すると、西條の一言でバツが悪いのか、口籠もりながら提案してきた。

「……旅行行かね?俺んちの別荘で海とか。」

「そんな暇あるのか?今年の夏は財閥総会やパーティに参加するって聞いたぞ。」

うっ、と言い詰まった京本だが、目をギラギラさせて俺の両肩を掴む。

「絶対行くぞ!2人で!」

…おい、下心じゃないだろうな。

「スケベ。」

「すっ…確かに下心もある!」

「正直か。だが、夏期休暇は弟の面倒を見る予定だ。遠出は…」

「くっ…なら弟も連れてこい!将来の義弟になるんだからな、ここらで仲良くなっておくのも…」

最後の方小声で聞きづらかったが、義弟とか言ってたか?
…海か。いいな。

「分かった行こう。早めに日程を決めてくれ、プランを考えなくてはな。」

「おう!じゃあ先に、俺が満点1位だったお祝いに…」

チュッと触れるだけのキスをかましてきた京本がそのまま唇をべろっと舐めてきた。
ゾワっとした条件反射で平手打ちをしてしまった。

「こんなとこで何するんだ!慎め馬鹿!」

罵倒したはずなのになぜか感極まっている京本を廊下に置いて、先に教室へ戻る。

生娘ぶっている訳ではないんだが、人前でされるのはむかつく。
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