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41話
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それからというもの____
立花が停学になっても西條は目黒にべったりになり、若松くんのいじめは続いている。キーとなる咲山兄弟もずっと休んだままだ。
部屋を訪ねたが、ドア越しに体調が悪い、しばらくは自宅学習をする、と追及を拒まれた。
もう7月だ、期末試験も明日から始まる。
放課後遅くまで残ることを禁止し、試験中は午前だけで終了。風紀の仕事は試験のカンニング対策について議題が挙げられる。
カンニング対策として、試験用紙は先生方がまとめて職員棟に置いているらしいから盗みに入るか、内部の関与がない限り大丈夫だろう。
次に試験中のカンニングペーパーなど隠せないように消しゴムは裸で置いておくこと、筆記用具は必要なもの以外片付ける。机の中を空にして、荷物は全てロッカーに。
毎年のことだが、親の期待でいい点を取ろうとカンニングに手を出すやつがいる。
注意人物を事前に先生陣に伝えており、監督のときに気を付けてもらう。
その旨を伝えて解散する。
「……目黒、悩み事でもあるのか?」
会議中、心ここにあらずだった目黒に終了時に声をかける。会議が終わったことにも気づかなかったのか、慌てて謝罪をしてきた。
「申し訳ありません!」
「いや、今後気を付けてくれたらいい。珍しいな、目黒がぼーっとしてるなんて。」
失態を恥じている目黒に気にするなと意思表示をして理由を聞いてみる。
「ちょっと、解釈違いに悩んでますが、今度姉と討論しようと思ってるのですぐに解決します。ご迷惑おかけしました。」
「そうか、ならいい。試験も頑張れよ。」
解釈違いというのが何かはわからないが、解決に動いているならこれ以上はいいだろう。
会議も終わり、集まっていた風紀委員が次々に帰っていく中、蜂須賀がすすすっと近づいてくる。
「け・い・さ・ま♡ふふん、今回の俺は一味違うっすよ!」
胸を叩き、自信満々の蜂須賀。内容は試験のことだろう。
「自信ありそうだな。」
「はいっす!オール90以上でご褒美の話、忘れないで下さいっすよ。」
ご褒美、夏期休暇俺の実家に泊まるという約束を取り付けられている。
わざわざご褒美にしなくてもいいものだと思うが、予定として親には話しているし、準備はしている。
「分かっている。実家に話は通しているから試験後に日程を決めよう。浮かれて点数落としたとかは無しだぞ流星。」
「今回は何と、青山先輩に虎の巻貰ったんで完璧っすよ。」
満面の笑みでダブルピースを向けてくる浮かれた蜂須賀に和みつつ、寮に帰ろうと鞄を手にした時、バンッ!と風紀執務室の扉が開かれた。
「環ちゃん終わったんでしょ?一緒に帰ろ~。」
入ってきたのは西條、執務室に残っているのは俺と目黒と蜂須賀だけ。
その中で一目散に目黒の元に行き手を絡める動きは、手慣れている。
「西條先輩、今日は部屋に上げませんからね。」
手を絡ませていることに仕方ないなという表情で向かい合っている目黒。
「えーでも漫画の続き読みたいな、ほら環ちゃんお勧めの…」
「はいはいスポーツ系少年漫画のことですね。全く…読んでもいいですけど、勉強もしてくださいよ?それじゃあ委員長、お先に失礼します。」
そのまま2人で出て行った後の扉を見つめる。
「あの2人あそこまで仲良かったか?」
「それ、前に俺が聞いたっすよ?」
目黒も漫画とか読むんだな……
立花が停学になっても西條は目黒にべったりになり、若松くんのいじめは続いている。キーとなる咲山兄弟もずっと休んだままだ。
部屋を訪ねたが、ドア越しに体調が悪い、しばらくは自宅学習をする、と追及を拒まれた。
もう7月だ、期末試験も明日から始まる。
放課後遅くまで残ることを禁止し、試験中は午前だけで終了。風紀の仕事は試験のカンニング対策について議題が挙げられる。
カンニング対策として、試験用紙は先生方がまとめて職員棟に置いているらしいから盗みに入るか、内部の関与がない限り大丈夫だろう。
次に試験中のカンニングペーパーなど隠せないように消しゴムは裸で置いておくこと、筆記用具は必要なもの以外片付ける。机の中を空にして、荷物は全てロッカーに。
毎年のことだが、親の期待でいい点を取ろうとカンニングに手を出すやつがいる。
注意人物を事前に先生陣に伝えており、監督のときに気を付けてもらう。
その旨を伝えて解散する。
「……目黒、悩み事でもあるのか?」
会議中、心ここにあらずだった目黒に終了時に声をかける。会議が終わったことにも気づかなかったのか、慌てて謝罪をしてきた。
「申し訳ありません!」
「いや、今後気を付けてくれたらいい。珍しいな、目黒がぼーっとしてるなんて。」
失態を恥じている目黒に気にするなと意思表示をして理由を聞いてみる。
「ちょっと、解釈違いに悩んでますが、今度姉と討論しようと思ってるのですぐに解決します。ご迷惑おかけしました。」
「そうか、ならいい。試験も頑張れよ。」
解釈違いというのが何かはわからないが、解決に動いているならこれ以上はいいだろう。
会議も終わり、集まっていた風紀委員が次々に帰っていく中、蜂須賀がすすすっと近づいてくる。
「け・い・さ・ま♡ふふん、今回の俺は一味違うっすよ!」
胸を叩き、自信満々の蜂須賀。内容は試験のことだろう。
「自信ありそうだな。」
「はいっす!オール90以上でご褒美の話、忘れないで下さいっすよ。」
ご褒美、夏期休暇俺の実家に泊まるという約束を取り付けられている。
わざわざご褒美にしなくてもいいものだと思うが、予定として親には話しているし、準備はしている。
「分かっている。実家に話は通しているから試験後に日程を決めよう。浮かれて点数落としたとかは無しだぞ流星。」
「今回は何と、青山先輩に虎の巻貰ったんで完璧っすよ。」
満面の笑みでダブルピースを向けてくる浮かれた蜂須賀に和みつつ、寮に帰ろうと鞄を手にした時、バンッ!と風紀執務室の扉が開かれた。
「環ちゃん終わったんでしょ?一緒に帰ろ~。」
入ってきたのは西條、執務室に残っているのは俺と目黒と蜂須賀だけ。
その中で一目散に目黒の元に行き手を絡める動きは、手慣れている。
「西條先輩、今日は部屋に上げませんからね。」
手を絡ませていることに仕方ないなという表情で向かい合っている目黒。
「えーでも漫画の続き読みたいな、ほら環ちゃんお勧めの…」
「はいはいスポーツ系少年漫画のことですね。全く…読んでもいいですけど、勉強もしてくださいよ?それじゃあ委員長、お先に失礼します。」
そのまま2人で出て行った後の扉を見つめる。
「あの2人あそこまで仲良かったか?」
「それ、前に俺が聞いたっすよ?」
目黒も漫画とか読むんだな……
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