上 下
45 / 93

41話

しおりを挟む
それからというもの____
立花が停学になっても西條は目黒にべったりになり、若松くんのいじめは続いている。キーとなる咲山兄弟もずっと休んだままだ。

部屋を訪ねたが、ドア越しに体調が悪い、しばらくは自宅学習をする、と追及を拒まれた。


もう7月だ、期末試験も明日から始まる。

放課後遅くまで残ることを禁止し、試験中は午前だけで終了。風紀の仕事は試験のカンニング対策について議題が挙げられる。

カンニング対策として、試験用紙は先生方がまとめて職員棟に置いているらしいから盗みに入るか、内部の関与がない限り大丈夫だろう。

次に試験中のカンニングペーパーなど隠せないように消しゴムは裸で置いておくこと、筆記用具は必要なもの以外片付ける。机の中を空にして、荷物は全てロッカーに。


毎年のことだが、親の期待でいい点を取ろうとカンニングに手を出すやつがいる。

注意人物を事前に先生陣に伝えており、監督のときに気を付けてもらう。

その旨を伝えて解散する。


「……目黒、悩み事でもあるのか?」

会議中、心ここにあらずだった目黒に終了時に声をかける。会議が終わったことにも気づかなかったのか、慌てて謝罪をしてきた。

「申し訳ありません!」

「いや、今後気を付けてくれたらいい。珍しいな、目黒がぼーっとしてるなんて。」

失態を恥じている目黒に気にするなと意思表示をして理由を聞いてみる。

「ちょっと、解釈違いに悩んでますが、今度姉と討論しようと思ってるのですぐに解決します。ご迷惑おかけしました。」

「そうか、ならいい。試験も頑張れよ。」

解釈違いというのが何かはわからないが、解決に動いているならこれ以上はいいだろう。

会議も終わり、集まっていた風紀委員が次々に帰っていく中、蜂須賀がすすすっと近づいてくる。

「け・い・さ・ま♡ふふん、今回の俺は一味違うっすよ!」

胸を叩き、自信満々の蜂須賀。内容は試験のことだろう。

「自信ありそうだな。」

「はいっす!オール90以上でご褒美の話、忘れないで下さいっすよ。」

ご褒美、夏期休暇俺の実家に泊まるという約束を取り付けられている。
わざわざご褒美にしなくてもいいものだと思うが、予定として親には話しているし、準備はしている。

「分かっている。実家に話は通しているから試験後に日程を決めよう。浮かれて点数落としたとかは無しだぞ流星。」

「今回は何と、青山先輩に虎の巻貰ったんで完璧っすよ。」

満面の笑みでダブルピースを向けてくる浮かれた蜂須賀に和みつつ、寮に帰ろうと鞄を手にした時、バンッ!と風紀執務室の扉が開かれた。

「環ちゃん終わったんでしょ?一緒に帰ろ~。」

入ってきたのは西條、執務室に残っているのは俺と目黒と蜂須賀だけ。
その中で一目散に目黒の元に行き手を絡める動きは、手慣れている。

「西條先輩、今日は部屋に上げませんからね。」

手を絡ませていることに仕方ないなという表情で向かい合っている目黒。

「えーでも漫画の続き読みたいな、ほら環ちゃんお勧めの…」
「はいはいスポーツ系少年漫画のことですね。全く…読んでもいいですけど、勉強もしてくださいよ?それじゃあ委員長、お先に失礼します。」


そのまま2人で出て行った後の扉を見つめる。


「あの2人あそこまで仲良かったか?」
「それ、前に俺が聞いたっすよ?」


目黒も漫画とか読むんだな……
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

王道学園と、平凡と見せかけた非凡

壱稀
BL
定番的なBL王道学園で、日々平凡に過ごしていた哀留(非凡)。 そんなある日、ついにアンチ王道くんが現れて学園が崩壊の危機に。 風紀委員達と一緒に、なんやかんやと奮闘する哀留のドタバタコメディ。 基本総愛され一部嫌われです。王道の斜め上を爆走しながら、どう立ち向かうか?! ◆pixivでも投稿してます。 ◆8月15日完結を載せてますが、その後も少しだけ番外編など掲載します。

ずっと夢を

菜坂
BL
母に兄との関係を伝えようとした次の日兄が亡くなってしまった。 そんな失意の中兄の部屋を整理しているとある小説を見つける。 その小説を手に取り、少しだけ読んでみたが最後まで読む気にはならずそのまま本を閉じた。 その次の日、学校へ行く途中事故に遭い意識を失った。 という前世をふと思い出した。 あれ?もしかしてここあの小説の中じゃね? でもそんなことより転校生が気に入らない。俺にだけ当たりが強すぎない?! 確かに俺はヤリ◯ンって言われてるけどそれ、ただの噂だからね⁉︎

俺の義兄弟が凄いんだが

kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・ 初投稿です。感想などお待ちしています。

オレが受けなんてありえねえ!

相沢京
BL
母親の再婚で財閥の家族になってしまった勇人。 父親が後継者争いに巻き込まれないようにと全寮制の男子校に転入した。 そこには兄がいると聞かされていたが、すでにオレの偽者がいた。 どうするオレ? 拉致されたり、宇宙人みたいな奴が転校してきたり 兎に角厄介ごとに巻き込まれる主人公の話です。 お願い*********** お気に入り、誤字・脱字や感想などを頂き誠にありがとうございます。 未熟な私ですが、それを励みに更新を続けていきたいと思いますので よろしくお願いいたします。

無自覚な優男はとにかくモテる!

もふもふ
BL
この学園の生徒会には、【抱きたいランキング】・【抱かれたいランキング】という物がある。 どちらも連続1位2位を獲得してる生徒会計の藤堂 楓実也は、隠れ腐男子なのだ!! 自分はモブと思っている楓実也だが...周りからはとてもモテモテ♡ イケメン達×無自覚なチャラ男(偽)のお話ですw ※はR18要素入ってます 【注】不定期更新です!

笑わない風紀委員長

馬酔木ビシア
BL
風紀委員長の龍神は、容姿端麗で才色兼備だが周囲からは『笑わない風紀委員長』と呼ばれているほど表情の変化が少ない。 が、それは風紀委員として真面目に職務に当たらねばという強い使命感のもと表情含め笑うことが少ないだけであった。 そんなある日、時期外れの転校生がやってきて次々に人気者を手玉に取った事で学園内を混乱に陥れる。 仕事が多くなった龍神が学園内を奔走する内に 彼の表情に接する者が増え始め── ※作者は知識なし・文才なしの一般人ですのでご了承ください。何言っちゃってんのこいつ状態になる可能性大。 ※この作品は私が単純にクールでちょっと可愛い男子が書きたかっただけの自己満作品ですので読む際はその点をご了承ください。 ※文や誤字脱字へのご指摘はウエルカムです!アンチコメントと荒らしだけはやめて頂きたく……。 ※オチ未定。いつかアンケートで決めようかな、なんて思っております。見切り発車ですすみません……。

王道学園なのに会長だけなんか違くない?

ばなな
BL
※更新遅め この学園。柵野下学園の生徒会はよくある王道的なも のだった。 …だが会長は違ったーー この作品は王道の俺様会長では無い面倒くさがりな主人公とその周りの話です。 ちなみに会長総受け…になる予定?です。

BLゲーの悪役に転生したら予想外の展開でした。

たら
BL
はぁぁん??意味わからない。 【主人公】 前世→腐男子くん 前世は普通に平凡なオタクの腐男子。 周りには萌え系が好きと言っているが腐男子の事は墓場まで秘密にしている。 何故かめちゃくちゃハマってたBLゲームの大嫌いな悪役キャラに転生しててショック。 死んだ訳では無いのに意味わからん状態。 西園寺光輝 (さいおんじ こうき)悪役 超大金持ち西園寺財閥、西園寺家の御曹司。 我儘で俺様でありながら何でも完璧にこなす天才。 そのカリスマ性に憧れて取り巻きが沢山居る。 容姿は美しく髪は濡羽色で瞳は宝石のアメトリン。 ヒロインが攻略キャラ達と仲が良いのが気に食わなくて上手こと裏で虐めていた。 最終的には攻略キャラと攻略キャラ達に卒業パーティーで断罪されて学園を追放される。 ついでに西園寺財閥も悪事を暴かれて倒産した。 【君と僕とのLove学園】(君ラブ) ストーリーとキャラデザ&設定が神すぎる上にボイスキャストも豪華でかなり話題になった大人気BLゲーム。 〜あらすじ〜 可愛い容姿をした超貧乏学生のヒロイン( ♂)がひょんな事から、道端で周りの人間に見て見ぬふりをされて心臓発作で蹲ってたLove学園の学園長を助けてお礼はいらないと言って立ち去った。 優しいヒロインの事が気になり勝手に調査したが、貧乏すぎて高校に行ってない事が分かり編入させるという形で恩返しをした。 そこから攻略キャラ達とラブストーリーが始まる!!

処理中です...