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37話:目黒環
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さっきのやつ、と言われて会話を思い出す。
「ああ、行動を共にってやつですか?本気ですよ。停学したところであのタイプは執念深いです。待ち伏せまでされて……脅しの材料は物として存在しますか?それとも精神的なもの?」
「えっと……精神的かな。」
エントランスホールを抜け、エレベーターに乗り込む。
目的は2階にある僕の部屋。寝室以外は見せられるから大丈夫だろう。
西條先輩の部屋は3階だから、ボタン押されてないことに本来なら気づいただろうが、何を言わない。
ポーンッと聞き慣れた音が到着したことを知らせる。開閉ボタンを押し、西條先輩に先に降りてもらう。
部屋の鍵を開けて、中へどうぞと仕草をすれば、西條先輩は遠慮がちにお邪魔しますと、お行儀良く靴を揃えてあがった。
普段チャラいのに礼儀正しいのはダメだろ。
くーっ可愛いが溢れ始める!和んでしまう!
「座ってて下さい。今お茶出すんで。」
リビングの座椅子を指して、冷蔵庫から麦茶を出しコップに注ぐ。
「あ、手洗いしたいんだけど、洗面所借りていい?」
お行儀良しかっ!!帰ったら手洗いうがいか!
「ええ、どうぞ。」
寮の部屋の間取りは同じだ、迷うことなく洗面所に向かう西條先輩を見送り、キッチンで1人悶えていた。
あー情報過多だ、このままだと西條先輩まで推しになってしまう。貢いでしまう。
推し候補だったために…
気を鎮めるために、手にしていた麦茶を一気に呷る。注ぎ直して2人分用意し、リビングのテーブルにコースターを敷いて置いておく。
洗面所からはガラガラと聞こえてくるから、うがいもしているんだろう……くっ萌えてしまう。
「借りましたー。あ、お茶も用意してくれたんだ、ありがとう。」
戻ってきた西條先輩を座椅子に座らせて、今後について話す。
「とりあえず下校時とお昼は一緒にいた方がいいと思います。認可後は下校のみ。」
会長の認可が下りたら、ひとまず学校内は安全だろう。待ち伏せするくらいなら1番危険なのは放課後だ。
この素晴らしい顔が、寝不足で絶不調なんて許せない!
「私が、西條先輩(の美貌)を守ります。まずは不眠をどうにかしなくては……どんな風に眠れないんですか?」
「あ、えっと…家の仕事を渡されてて。IT関係だからさ、デバックとか急な仕様変更を丸投げされちゃって……」
頬をぽりっと掻き、仕方ないよねと笑う西條先輩を見て一言……不憫チャラ男受け!!!
もうこんなん推すしかない!!!
「西條先輩、その仕事ってどのくらい任されてますか?」
「え?さあ…渡されるやつ片っ端から期限早い順に片付けてるだけだし。最近増えたなとは思うけど。」
社内で何かあるな…人件費削減のつもりか、乗っかって仕事サボってる奴がいるか、この辺りは青山先輩に頼るとして、次は脅しの問題。
顎に手を当てて考え、そのまま西條先輩と向き合う。僕が考えていた間もお行儀良く座椅子に膝を抱えて座りコップを両手で持っていた。
可愛いの過多!!砂糖吐くわこんなん!
何で両手でコップ持ってんだよ!萌え殺す気か!
目の前の西條先輩は、僕の脳内が大変だなんて知らないだろう完璧に冷静を装って話しかける。
「精神的な脅しと言ってましたが、僕にされて嫌なこととかあります?身体に触れるとか、見下ろされるとか……」
「……睨まれるのはやだ、小声で話されてるのも陰口かなって考えちゃう。でも環ちゃんはそういうことしないから好き。落ち着くんだ。」
ほわっと微笑む西條先輩をみて、あれ?これ攻めが見るべき微笑みでは?と思ったがせっかく心許してくれてるし深く考えるのはやめよう、と理性を総動員して仕事脳に切り替える。
「言って欲しくない言葉とかは?」
「腫れ物みたいに扱わなくていいよ。環ちゃんはいつも通りだったらオッケーだから。」
「わかりました。では不眠の対処としてストレス減少、暖かくする、心音を聴くが候補ですが……これハグしたら全部当てはまりますよね。よし、しましょう。」
「ちょっと待って!誰情報だよそれ!仲神か!」
両手を広げてハグをしようと膝立ちで迫ると、顔を赤くし慌てて後退りする西條先輩。
確かにこの情報は委員長のアドバイスを基にしているが、後はネット情報だ。
ハグをするとストレス解消と言われているし、平熱低めの西條先輩を暖めることもできるし、頭を抱えるやつだと心音を聴かせれる。
すごいなハグ。
「あーもういいですから、大人しくしてください。心音聴こえますか?」
慌てふためく西條先輩の頭をそっと包み込み、僕の心臓の位置に耳を当てさせる。
興奮もしていないから正常な音のはず。
包まれた途端、暴れるのをやめ大人しくなった西條先輩がまるで大きな赤児のようで、ついでだからつむじを観察させてもらった。
「ああ、行動を共にってやつですか?本気ですよ。停学したところであのタイプは執念深いです。待ち伏せまでされて……脅しの材料は物として存在しますか?それとも精神的なもの?」
「えっと……精神的かな。」
エントランスホールを抜け、エレベーターに乗り込む。
目的は2階にある僕の部屋。寝室以外は見せられるから大丈夫だろう。
西條先輩の部屋は3階だから、ボタン押されてないことに本来なら気づいただろうが、何を言わない。
ポーンッと聞き慣れた音が到着したことを知らせる。開閉ボタンを押し、西條先輩に先に降りてもらう。
部屋の鍵を開けて、中へどうぞと仕草をすれば、西條先輩は遠慮がちにお邪魔しますと、お行儀良く靴を揃えてあがった。
普段チャラいのに礼儀正しいのはダメだろ。
くーっ可愛いが溢れ始める!和んでしまう!
「座ってて下さい。今お茶出すんで。」
リビングの座椅子を指して、冷蔵庫から麦茶を出しコップに注ぐ。
「あ、手洗いしたいんだけど、洗面所借りていい?」
お行儀良しかっ!!帰ったら手洗いうがいか!
「ええ、どうぞ。」
寮の部屋の間取りは同じだ、迷うことなく洗面所に向かう西條先輩を見送り、キッチンで1人悶えていた。
あー情報過多だ、このままだと西條先輩まで推しになってしまう。貢いでしまう。
推し候補だったために…
気を鎮めるために、手にしていた麦茶を一気に呷る。注ぎ直して2人分用意し、リビングのテーブルにコースターを敷いて置いておく。
洗面所からはガラガラと聞こえてくるから、うがいもしているんだろう……くっ萌えてしまう。
「借りましたー。あ、お茶も用意してくれたんだ、ありがとう。」
戻ってきた西條先輩を座椅子に座らせて、今後について話す。
「とりあえず下校時とお昼は一緒にいた方がいいと思います。認可後は下校のみ。」
会長の認可が下りたら、ひとまず学校内は安全だろう。待ち伏せするくらいなら1番危険なのは放課後だ。
この素晴らしい顔が、寝不足で絶不調なんて許せない!
「私が、西條先輩(の美貌)を守ります。まずは不眠をどうにかしなくては……どんな風に眠れないんですか?」
「あ、えっと…家の仕事を渡されてて。IT関係だからさ、デバックとか急な仕様変更を丸投げされちゃって……」
頬をぽりっと掻き、仕方ないよねと笑う西條先輩を見て一言……不憫チャラ男受け!!!
もうこんなん推すしかない!!!
「西條先輩、その仕事ってどのくらい任されてますか?」
「え?さあ…渡されるやつ片っ端から期限早い順に片付けてるだけだし。最近増えたなとは思うけど。」
社内で何かあるな…人件費削減のつもりか、乗っかって仕事サボってる奴がいるか、この辺りは青山先輩に頼るとして、次は脅しの問題。
顎に手を当てて考え、そのまま西條先輩と向き合う。僕が考えていた間もお行儀良く座椅子に膝を抱えて座りコップを両手で持っていた。
可愛いの過多!!砂糖吐くわこんなん!
何で両手でコップ持ってんだよ!萌え殺す気か!
目の前の西條先輩は、僕の脳内が大変だなんて知らないだろう完璧に冷静を装って話しかける。
「精神的な脅しと言ってましたが、僕にされて嫌なこととかあります?身体に触れるとか、見下ろされるとか……」
「……睨まれるのはやだ、小声で話されてるのも陰口かなって考えちゃう。でも環ちゃんはそういうことしないから好き。落ち着くんだ。」
ほわっと微笑む西條先輩をみて、あれ?これ攻めが見るべき微笑みでは?と思ったがせっかく心許してくれてるし深く考えるのはやめよう、と理性を総動員して仕事脳に切り替える。
「言って欲しくない言葉とかは?」
「腫れ物みたいに扱わなくていいよ。環ちゃんはいつも通りだったらオッケーだから。」
「わかりました。では不眠の対処としてストレス減少、暖かくする、心音を聴くが候補ですが……これハグしたら全部当てはまりますよね。よし、しましょう。」
「ちょっと待って!誰情報だよそれ!仲神か!」
両手を広げてハグをしようと膝立ちで迫ると、顔を赤くし慌てて後退りする西條先輩。
確かにこの情報は委員長のアドバイスを基にしているが、後はネット情報だ。
ハグをするとストレス解消と言われているし、平熱低めの西條先輩を暖めることもできるし、頭を抱えるやつだと心音を聴かせれる。
すごいなハグ。
「あーもういいですから、大人しくしてください。心音聴こえますか?」
慌てふためく西條先輩の頭をそっと包み込み、僕の心臓の位置に耳を当てさせる。
興奮もしていないから正常な音のはず。
包まれた途端、暴れるのをやめ大人しくなった西條先輩がまるで大きな赤児のようで、ついでだからつむじを観察させてもらった。
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