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35話
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驚いて目を見開いている西條と、声が出せなかった俺。
そんな俺たちを気に留めず目黒は話を進める。
「西條先輩の件、報告しようと思って。ここにいるっていうのは蜂須賀から聞きました。委員長、追跡アプリ付けられてますよ。」
「おい、嘘だろ。」
思わず携帯を取り出して画面を見るがどれがアプリかわからない。
西條に頼もうかと思い顔を合わせるか、にやにやして相手にされない。
「仲神愛されてるね、いいなぁ。」
「いや追跡アプリは愛っていうより信頼問題だぞ、あの馬鹿。あとで説教だな…」
携帯をポケットに戻し、立っている目黒に座るように勧めるが首を横に振り断られる。
「報告ですが、現在風紀から立花勇実に1ヶ月の停学を求めており、生徒会長の認可待ちです。」
「停学理由は?」
「西條先輩への監視、付き纏い行為。睡眠妨害含む日常生活を脅かす存在と書きましたが、付け足しましょうか?」
「いや、十分だ良くやった。」
そう言ってやると、当然だと澄まし顔をしている目黒。
さては内心褒められて喜んでるな。いつもより無表情だ。
さて、これが通れば1ヶ月は西條をストレスから守れるが根本の解決ではない。
立花勇実が、脅しのネタを持っているらしいからな。それを廃棄させ、西條家の会社について手を打たないとな。
「環ちゃんすごいね。」
「私だけの力ではありませんので、お気になさらず。」
西條に褒められても澄まし顔のままの目黒を横目に、時間を確認するが、このまま話すより詳しいことは後日詰めたほうが良さそうだな。
「だいぶ時間をとってしまったな。詳しい対策は後日詰めようと思うが、このままここで休むか?西條。」
蒸しタオルもすっかり冷めてしまったのだろう。手に握りしめている西條に目を向けて意思を確認すると、ゆっくり首を横に振った。
「いや、今なら眠れそうだから…寮に帰るよ。」
晴れやかな顔を見せてくれる西條に対して安堵のため息を吐く。
「そうか……送ってやろうか?」
「いらなーい、そんなのしてもらったら京本の嫉妬で凄いことになる。」
軽口を叩く西條に暫く口を閉ざしていた目黒が提案する。
「あの、では私が送りましょうか?立花がどのタイミングで接触してくるかも確認したいですし。」
「ほら、目黒がこう言っているんだ。お姫様みたいに護衛してもらえ。」
「その言い方って無いよ仲神……環ちゃんが言うなら、お願いしちゃおうかな。」
ベッドから降りて、髪型を手でさらっと直した西條は保健委員の子にお世話様と一言告げ、俺と目黒を連れ立って保健室を出た。
そのまま、目黒と西條は寮へと向かい、俺はそんな2人の背中を見送っていた。
勿論この後の予定は、蜂須賀に説教。
そんな俺たちを気に留めず目黒は話を進める。
「西條先輩の件、報告しようと思って。ここにいるっていうのは蜂須賀から聞きました。委員長、追跡アプリ付けられてますよ。」
「おい、嘘だろ。」
思わず携帯を取り出して画面を見るがどれがアプリかわからない。
西條に頼もうかと思い顔を合わせるか、にやにやして相手にされない。
「仲神愛されてるね、いいなぁ。」
「いや追跡アプリは愛っていうより信頼問題だぞ、あの馬鹿。あとで説教だな…」
携帯をポケットに戻し、立っている目黒に座るように勧めるが首を横に振り断られる。
「報告ですが、現在風紀から立花勇実に1ヶ月の停学を求めており、生徒会長の認可待ちです。」
「停学理由は?」
「西條先輩への監視、付き纏い行為。睡眠妨害含む日常生活を脅かす存在と書きましたが、付け足しましょうか?」
「いや、十分だ良くやった。」
そう言ってやると、当然だと澄まし顔をしている目黒。
さては内心褒められて喜んでるな。いつもより無表情だ。
さて、これが通れば1ヶ月は西條をストレスから守れるが根本の解決ではない。
立花勇実が、脅しのネタを持っているらしいからな。それを廃棄させ、西條家の会社について手を打たないとな。
「環ちゃんすごいね。」
「私だけの力ではありませんので、お気になさらず。」
西條に褒められても澄まし顔のままの目黒を横目に、時間を確認するが、このまま話すより詳しいことは後日詰めたほうが良さそうだな。
「だいぶ時間をとってしまったな。詳しい対策は後日詰めようと思うが、このままここで休むか?西條。」
蒸しタオルもすっかり冷めてしまったのだろう。手に握りしめている西條に目を向けて意思を確認すると、ゆっくり首を横に振った。
「いや、今なら眠れそうだから…寮に帰るよ。」
晴れやかな顔を見せてくれる西條に対して安堵のため息を吐く。
「そうか……送ってやろうか?」
「いらなーい、そんなのしてもらったら京本の嫉妬で凄いことになる。」
軽口を叩く西條に暫く口を閉ざしていた目黒が提案する。
「あの、では私が送りましょうか?立花がどのタイミングで接触してくるかも確認したいですし。」
「ほら、目黒がこう言っているんだ。お姫様みたいに護衛してもらえ。」
「その言い方って無いよ仲神……環ちゃんが言うなら、お願いしちゃおうかな。」
ベッドから降りて、髪型を手でさらっと直した西條は保健委員の子にお世話様と一言告げ、俺と目黒を連れ立って保健室を出た。
そのまま、目黒と西條は寮へと向かい、俺はそんな2人の背中を見送っていた。
勿論この後の予定は、蜂須賀に説教。
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