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28話
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「以上です。」
「うん、惚気だな。」
古田の話から分かったことなんて、よくいえば無邪気の若松くんが咲山兄弟を操っているってことになるんだが。
にまにましている青山をちらりと見ると、俺の視線に気づいてくれたのか、ほかの情報を提示してくれた。
「俺が調べたところ、若松は小さい頃からあんな感じだったそうだ。母親似の顔で周りがほっとかず、咲山兄弟みたいなのが何人もいたそうだ。それも決まって、クラスの人気者や、ガキ大将とか権力持ってるやつ。それが当たり前だと思っている節がある。自己中、自信過剰の王様の完成だな。」
俺の推測も当たっていたみたいだな。
しかし、相変わらずの情報網…目黒でもダメだったのに、青山の手にかかれば造作もないことなんだろう。敵にしたくない、切実に。
「蝶よ花よと育てられていたってことか…そうだ、カツラどうなった?」
確認に行ってないが、古田はクラスメイトだから知っているだろうと尋ねてみる。
「きちんと外していましたよ。休日に染めたのかクリーム色になってましたが、眼鏡も外したため、可愛い子が現れたとざわついています。」
クリーム色……指導対象か曖昧なグレーゾーンを攻めてくるな!
「今、若松を擁護しているのは咲山兄弟くらいだ。散々問題起こして黙認されているのは理事長がもみ消しているんだろう。」
「普段学園に現れないくせに、書類を揉み消すのは得意だなあのジジイは……」
権力ジジイ……そんなんだから娘に逃げられるんだ。
「今後どうなるか……どうだ青山。」
頭を抱える俺は、問題解決能力に優れている青山に助けを求める。
「そうだな、咲山兄弟だけだと心許ないと思うはずだ。京本か西條、または仲神をターゲットにするだろう。消去法で考えると、狙われるのは西條だ。」
西條なぁ…あいつはAクラスだから、普段をよく知らない。
親衛隊を子猫ちゃんと呼び、順番を決めて夜を共にしているらしい。
あいつなぁ……
「西條は最近どうしてる?若松くんの側から居なくなったのは飽きたのだと考えているが。」
「西條先輩は、突然飽きたと宣言して、若松から離れていきました。現状何をしているかはわかりません。生徒会の仕事は済ませているそうです。」
「若松を避けているというより、飽きたから視界に入ってないって感じだな。一応忠告しておくか。」
放課後だからか、妨げられるチャイムもなく、3人で話し込んでいたらしく、だいぶ時間が経っていた。
「おっと、そろそろ風紀に顔を出さないといけない。若松くんの対処は気に留めておく。」
席から立ち上がり、帰り支度の済んでいた鞄を手に持つと、それに倣い青山と古田も立ち上がる。
「解散すっか。信彦、今日生徒会の仕事は?」
「あ、急ぎのはないよ。」
「そっか、なら後で部屋おいで。」
真っ赤になって頷く古田と青山のいちゃつきをスルーして教室の戸締りを始める。
これが当て馬というものなのか目黒!
「うん、惚気だな。」
古田の話から分かったことなんて、よくいえば無邪気の若松くんが咲山兄弟を操っているってことになるんだが。
にまにましている青山をちらりと見ると、俺の視線に気づいてくれたのか、ほかの情報を提示してくれた。
「俺が調べたところ、若松は小さい頃からあんな感じだったそうだ。母親似の顔で周りがほっとかず、咲山兄弟みたいなのが何人もいたそうだ。それも決まって、クラスの人気者や、ガキ大将とか権力持ってるやつ。それが当たり前だと思っている節がある。自己中、自信過剰の王様の完成だな。」
俺の推測も当たっていたみたいだな。
しかし、相変わらずの情報網…目黒でもダメだったのに、青山の手にかかれば造作もないことなんだろう。敵にしたくない、切実に。
「蝶よ花よと育てられていたってことか…そうだ、カツラどうなった?」
確認に行ってないが、古田はクラスメイトだから知っているだろうと尋ねてみる。
「きちんと外していましたよ。休日に染めたのかクリーム色になってましたが、眼鏡も外したため、可愛い子が現れたとざわついています。」
クリーム色……指導対象か曖昧なグレーゾーンを攻めてくるな!
「今、若松を擁護しているのは咲山兄弟くらいだ。散々問題起こして黙認されているのは理事長がもみ消しているんだろう。」
「普段学園に現れないくせに、書類を揉み消すのは得意だなあのジジイは……」
権力ジジイ……そんなんだから娘に逃げられるんだ。
「今後どうなるか……どうだ青山。」
頭を抱える俺は、問題解決能力に優れている青山に助けを求める。
「そうだな、咲山兄弟だけだと心許ないと思うはずだ。京本か西條、または仲神をターゲットにするだろう。消去法で考えると、狙われるのは西條だ。」
西條なぁ…あいつはAクラスだから、普段をよく知らない。
親衛隊を子猫ちゃんと呼び、順番を決めて夜を共にしているらしい。
あいつなぁ……
「西條は最近どうしてる?若松くんの側から居なくなったのは飽きたのだと考えているが。」
「西條先輩は、突然飽きたと宣言して、若松から離れていきました。現状何をしているかはわかりません。生徒会の仕事は済ませているそうです。」
「若松を避けているというより、飽きたから視界に入ってないって感じだな。一応忠告しておくか。」
放課後だからか、妨げられるチャイムもなく、3人で話し込んでいたらしく、だいぶ時間が経っていた。
「おっと、そろそろ風紀に顔を出さないといけない。若松くんの対処は気に留めておく。」
席から立ち上がり、帰り支度の済んでいた鞄を手に持つと、それに倣い青山と古田も立ち上がる。
「解散すっか。信彦、今日生徒会の仕事は?」
「あ、急ぎのはないよ。」
「そっか、なら後で部屋おいで。」
真っ赤になって頷く古田と青山のいちゃつきをスルーして教室の戸締りを始める。
これが当て馬というものなのか目黒!
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