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27話:古田信彦
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「信彦、俺のこと好きだよな。」
それが当然だという顔で、急に話しかけてきた若松に驚いて、返事が出来なかった。
「えー俺らの方がめっちゃ好きだし。」
「そうだよ。ひろひろの為なら何でもするよ。」
我が物顔で生徒会室を占領している若松に嫌気がさすが、仲神先輩が言っても聞かなかったのだ。
僕が言ったところで無駄骨に終わるだろう。
「真斗と塁斗も好きだし、辰也も好きだ。それにみんなが俺のこと好きっていうのも嬉しい。だからな俺の頼み聞いてくれないか?」
また無茶振りか、前にした頼み事というのが寮の役員棟に行きたいというもので、咲山兄弟に取り入った。
喜んでと、自室に招き入れた咲山兄弟に、僕の部屋、西條先輩の部屋、京本先輩の部屋を案内させ、侵入を許した。
私室に踏み込まれるのは我慢ならなくて、後日触られたものは全部処分した。
そうやって、若松の自己中心的な考えを助長させ続け親睦会を迎えた。
この前の『頼み』によって、ドッジボールのチームに加入した若松を応援する。
相手チームが賢い戦い方をするもので内野を倒しては外野が当てて再び戻ってくる。
中々終わらない戦いに、イライラしたのか喚き始めた若松。ルール説明があったのに、外野が戻るのは反則だとか言い始め、審判からの指導が入る。
結局負けてしまったが、イライラしている若松が頼み事を始めたのだ。
「午後のサッカーかバレーで勝ちたいな、誰か交代してくれるやつとかいないかな?な、信彦。」
心当たりといえばある、虎徹兄さんだ。
元々数合わせでサッカーに選ばれている。
風紀は数合わせみたいに言われているが、実際のとこ、風紀は奥の手とも言われている。
その中でも虎徹兄さんはスポーツ万能のため、とても頼りにされている。僕まで誇らしい。
はっきり言って、若松はそこまでスポーツが秀でていない。
虎徹兄さんの代わりだなんて烏滸がましい。
だが、話を聞いていた咲山兄弟が虎徹兄さんの存在を知らせてしまった。
数合わせの風紀なら代わってくれるだろうと、足早にテントに向かい始めたのを慌てて追いかける。
馬鹿みたいな頼み事だが、虎徹兄さんと話す機会だと、僕が交渉すると3人を宥めて、見回り終わりの目黒を見つけテントまでついて行く。
触れれる距離にいる虎徹兄さん。
全てを見透かしていた。
僕が、虎徹兄さんを好きなことも何もかも。
気持ちを伝えた僕は泣いてしまい、その後虎徹兄さんに寮へ連れて来られた。
「虎徹兄さん、やきもち妬いてくれてたよね?転入生と仲良くしてたら見てくれたよね。」
虎徹兄さんの部屋で、冷やされたタオルを目元に当てて問いかける。
視界が奪われているため、どんな顔をしているのかわからないが、多分図星だろう。
「はぁ…信彦。お前さん悪い子だな、わざと嫉妬させてたのか?気持ちに気づいてほしかったが、煽られるとは思わなかったな。」
ギシッとソファを軋ませて、僕のすぐ隣に座り直した虎徹兄さん。互いの足が当たり、肩を抱かれて、耳に息がかかる。
「だ、だって…僕は1年ももやもやしてたんだ。」
タオルを外して、虎徹兄さんと向かい合おうとしたが、上から押さえられ視界は未だ暗闇の中。
「信彦……お前さんは嫉妬に狂う俺を見て興奮してたんだろう?」
耳元で話されて、背中がゾクゾクする。
「愛してる。俺の唯一、俺の光……大事にする。」
「ふっ……虎徹兄さん。擽ったいよ。」
大事にすると宣言した虎徹兄さんは、僕が18になるまで待つと言った。あと1年経ったら…僕の全ては虎徹兄さんのものになる。
清々しい気分だ。
若松とも縁を切り、訂正の噂を流そう。
虎徹兄さんとの関係も。誰にも取られないように。
あんなに憎かった仲神先輩のことが、途端に申し訳なくなってきた。
一方的に当たっていたんだ、正式に謝罪をしないと気が済まない。
同じことを考えていたのか、虎徹兄さんも提案してくれた。
「月曜になったら、仲神に謝りに行こう。当て馬にしてしまったからな。」
「若松の方はどうしよう。」
「あいつにはさっき釘を刺しておいた。もう関わらなくていい。」
そういうとぎゅっと抱きしめてくれた。
懐かしい、昔もよく抱きしめてくれてたな。
力一杯抱きしめ返して、このまま融けて1つになって仕舞えばいいのになんて思っていた。
それが当然だという顔で、急に話しかけてきた若松に驚いて、返事が出来なかった。
「えー俺らの方がめっちゃ好きだし。」
「そうだよ。ひろひろの為なら何でもするよ。」
我が物顔で生徒会室を占領している若松に嫌気がさすが、仲神先輩が言っても聞かなかったのだ。
僕が言ったところで無駄骨に終わるだろう。
「真斗と塁斗も好きだし、辰也も好きだ。それにみんなが俺のこと好きっていうのも嬉しい。だからな俺の頼み聞いてくれないか?」
また無茶振りか、前にした頼み事というのが寮の役員棟に行きたいというもので、咲山兄弟に取り入った。
喜んでと、自室に招き入れた咲山兄弟に、僕の部屋、西條先輩の部屋、京本先輩の部屋を案内させ、侵入を許した。
私室に踏み込まれるのは我慢ならなくて、後日触られたものは全部処分した。
そうやって、若松の自己中心的な考えを助長させ続け親睦会を迎えた。
この前の『頼み』によって、ドッジボールのチームに加入した若松を応援する。
相手チームが賢い戦い方をするもので内野を倒しては外野が当てて再び戻ってくる。
中々終わらない戦いに、イライラしたのか喚き始めた若松。ルール説明があったのに、外野が戻るのは反則だとか言い始め、審判からの指導が入る。
結局負けてしまったが、イライラしている若松が頼み事を始めたのだ。
「午後のサッカーかバレーで勝ちたいな、誰か交代してくれるやつとかいないかな?な、信彦。」
心当たりといえばある、虎徹兄さんだ。
元々数合わせでサッカーに選ばれている。
風紀は数合わせみたいに言われているが、実際のとこ、風紀は奥の手とも言われている。
その中でも虎徹兄さんはスポーツ万能のため、とても頼りにされている。僕まで誇らしい。
はっきり言って、若松はそこまでスポーツが秀でていない。
虎徹兄さんの代わりだなんて烏滸がましい。
だが、話を聞いていた咲山兄弟が虎徹兄さんの存在を知らせてしまった。
数合わせの風紀なら代わってくれるだろうと、足早にテントに向かい始めたのを慌てて追いかける。
馬鹿みたいな頼み事だが、虎徹兄さんと話す機会だと、僕が交渉すると3人を宥めて、見回り終わりの目黒を見つけテントまでついて行く。
触れれる距離にいる虎徹兄さん。
全てを見透かしていた。
僕が、虎徹兄さんを好きなことも何もかも。
気持ちを伝えた僕は泣いてしまい、その後虎徹兄さんに寮へ連れて来られた。
「虎徹兄さん、やきもち妬いてくれてたよね?転入生と仲良くしてたら見てくれたよね。」
虎徹兄さんの部屋で、冷やされたタオルを目元に当てて問いかける。
視界が奪われているため、どんな顔をしているのかわからないが、多分図星だろう。
「はぁ…信彦。お前さん悪い子だな、わざと嫉妬させてたのか?気持ちに気づいてほしかったが、煽られるとは思わなかったな。」
ギシッとソファを軋ませて、僕のすぐ隣に座り直した虎徹兄さん。互いの足が当たり、肩を抱かれて、耳に息がかかる。
「だ、だって…僕は1年ももやもやしてたんだ。」
タオルを外して、虎徹兄さんと向かい合おうとしたが、上から押さえられ視界は未だ暗闇の中。
「信彦……お前さんは嫉妬に狂う俺を見て興奮してたんだろう?」
耳元で話されて、背中がゾクゾクする。
「愛してる。俺の唯一、俺の光……大事にする。」
「ふっ……虎徹兄さん。擽ったいよ。」
大事にすると宣言した虎徹兄さんは、僕が18になるまで待つと言った。あと1年経ったら…僕の全ては虎徹兄さんのものになる。
清々しい気分だ。
若松とも縁を切り、訂正の噂を流そう。
虎徹兄さんとの関係も。誰にも取られないように。
あんなに憎かった仲神先輩のことが、途端に申し訳なくなってきた。
一方的に当たっていたんだ、正式に謝罪をしないと気が済まない。
同じことを考えていたのか、虎徹兄さんも提案してくれた。
「月曜になったら、仲神に謝りに行こう。当て馬にしてしまったからな。」
「若松の方はどうしよう。」
「あいつにはさっき釘を刺しておいた。もう関わらなくていい。」
そういうとぎゅっと抱きしめてくれた。
懐かしい、昔もよく抱きしめてくれてたな。
力一杯抱きしめ返して、このまま融けて1つになって仕舞えばいいのになんて思っていた。
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