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24話
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____月曜日
休日に決めたことを京本と蜂須賀に宣言しようと意気込んでいたら、青山に呼び出された。
放課後、教室に残っていてくれと。
放課後になって、俺の席に青山がやってくる。
「悪い。ちょっと人呼んでくるから、このまま待っててくれ。」
「ああ、分かった。」
呼び出した理由は、もう1人に関係があるのだろう。青山とのことで思いつくのはたった1人。
放課後になると、クラスメイトはさっさと寮に戻るか、委員会に顔を出すかで、教室は無人になる。
さっきも、わざわざ名前を出さなかったのは、人のいない所で話したかったのだろう。
ぽつんと静かな教室で、席に座ったまま待っていると、予想通りの人物を連れて青山が戻ってきた。
「お待たせ。」
ご機嫌な青山が肩を抱いて、俺の前に連れてきたのはやはり古田だった。
「やあ古田、俺に用か?」
特に思いつかなくて困惑している俺と目を合わせる古田だが、口火を切るのが難しいのか口元をもごもごと動かしている。
「ほら、信彦。謝りにきたんだろ。しっかりしろ。」
「う、うん……」
謝る?謝られるようなことした覚えがないのだが……
思考を巡らす俺を他所に、覚悟を決めたのか古田が第一声、謝罪を述べてきた。
「仲神先輩、この1年間本当にすみませんでした。」
「1年間?俺に何かしてたのか?」
全く身に覚えがない。
「私は1年間、貴方に嫉妬していました。大好きな青山先輩を、尊敬する会長を取られたと感じていたからです。」
「ほお、嫉妬ね……実害があった覚えはないが?」
古田とは、会えば少し睨まれたり、嫌味を言われたくらいだ。その行動を俺は次期生徒会長になるための訓練だと気に求めていなかったのだが。
あれらは全て嫉妬から来ていたものか…可愛い所もあるじゃないか。
「今年に入ってから、生徒会の仕事が風紀に伝わり難くなっていたのは私の仕業です。そうすれば風紀の誰かが確認に来るので……青山先輩が来てくれれば、という淡い期待がありました。」
あぁ、親睦会の連絡も遅かったのはそういうことか……仕事してないとか疑ってすまん。
「そして、若松比呂が転入して来てからは…醜態を晒してしまい、本当にすみませんでした。」
深々と頭を下げる古田。その隣の青山はまるで保護者だ。
「謝罪は受け入れた。今後はこのようなことがないように、よろしく頼む。」
「あ、ありがとうございます。」
「仲神、俺ら付き合うことになったから。」
ずっと黙って見守っていた青山からの爆弾発言。
まあそうだろうな、としか言えない。
盛大に告白し合って、恋人じゃない方が不思議だ。
「そうか、おめでとう。もう痴話喧嘩に巻き込まないでくれよ。惚気も沢山だ。」
大袈裟に、やれやれとアピールすれば、古田が顔を真っ赤にして、青山の胸元をぽかぽか叩いていた。甘んじて受けている青山の顔は幸せそうだ。
「ついでだ、若松くんのこと確認したいんだが。一から話してくれるか?」
古田は青山に嫉妬してもらうために若松くんを追いかけていた、ということは熱を上げていたわけでなくフリだということ。
冷静に物事を捉えられていただろう。
まぁ、嫉妬で冷静じゃなかった時もあったとは思うが。
この機会に、若松くんの対処法が明確になるかもしれない。
問いかけた古田はちらっと青山を窺うと、青山が頷いたため、俺のほうに向き合った。
「分かりました。……では、どうして私があのような醜態を晒したのかを話させていただきます___」
休日に決めたことを京本と蜂須賀に宣言しようと意気込んでいたら、青山に呼び出された。
放課後、教室に残っていてくれと。
放課後になって、俺の席に青山がやってくる。
「悪い。ちょっと人呼んでくるから、このまま待っててくれ。」
「ああ、分かった。」
呼び出した理由は、もう1人に関係があるのだろう。青山とのことで思いつくのはたった1人。
放課後になると、クラスメイトはさっさと寮に戻るか、委員会に顔を出すかで、教室は無人になる。
さっきも、わざわざ名前を出さなかったのは、人のいない所で話したかったのだろう。
ぽつんと静かな教室で、席に座ったまま待っていると、予想通りの人物を連れて青山が戻ってきた。
「お待たせ。」
ご機嫌な青山が肩を抱いて、俺の前に連れてきたのはやはり古田だった。
「やあ古田、俺に用か?」
特に思いつかなくて困惑している俺と目を合わせる古田だが、口火を切るのが難しいのか口元をもごもごと動かしている。
「ほら、信彦。謝りにきたんだろ。しっかりしろ。」
「う、うん……」
謝る?謝られるようなことした覚えがないのだが……
思考を巡らす俺を他所に、覚悟を決めたのか古田が第一声、謝罪を述べてきた。
「仲神先輩、この1年間本当にすみませんでした。」
「1年間?俺に何かしてたのか?」
全く身に覚えがない。
「私は1年間、貴方に嫉妬していました。大好きな青山先輩を、尊敬する会長を取られたと感じていたからです。」
「ほお、嫉妬ね……実害があった覚えはないが?」
古田とは、会えば少し睨まれたり、嫌味を言われたくらいだ。その行動を俺は次期生徒会長になるための訓練だと気に求めていなかったのだが。
あれらは全て嫉妬から来ていたものか…可愛い所もあるじゃないか。
「今年に入ってから、生徒会の仕事が風紀に伝わり難くなっていたのは私の仕業です。そうすれば風紀の誰かが確認に来るので……青山先輩が来てくれれば、という淡い期待がありました。」
あぁ、親睦会の連絡も遅かったのはそういうことか……仕事してないとか疑ってすまん。
「そして、若松比呂が転入して来てからは…醜態を晒してしまい、本当にすみませんでした。」
深々と頭を下げる古田。その隣の青山はまるで保護者だ。
「謝罪は受け入れた。今後はこのようなことがないように、よろしく頼む。」
「あ、ありがとうございます。」
「仲神、俺ら付き合うことになったから。」
ずっと黙って見守っていた青山からの爆弾発言。
まあそうだろうな、としか言えない。
盛大に告白し合って、恋人じゃない方が不思議だ。
「そうか、おめでとう。もう痴話喧嘩に巻き込まないでくれよ。惚気も沢山だ。」
大袈裟に、やれやれとアピールすれば、古田が顔を真っ赤にして、青山の胸元をぽかぽか叩いていた。甘んじて受けている青山の顔は幸せそうだ。
「ついでだ、若松くんのこと確認したいんだが。一から話してくれるか?」
古田は青山に嫉妬してもらうために若松くんを追いかけていた、ということは熱を上げていたわけでなくフリだということ。
冷静に物事を捉えられていただろう。
まぁ、嫉妬で冷静じゃなかった時もあったとは思うが。
この機会に、若松くんの対処法が明確になるかもしれない。
問いかけた古田はちらっと青山を窺うと、青山が頷いたため、俺のほうに向き合った。
「分かりました。……では、どうして私があのような醜態を晒したのかを話させていただきます___」
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