24 / 93
20話
しおりを挟む
未だに呆然として叩かれた頬を押さえている若松くん。パーマがかった黒髪がズレている様な気がするのだが……
「ちょっと失礼。」
若松くんの髪の毛に触れてみると、明らかに人工毛、つまりカツラだ。ぱっと見わからないものだな。
「カツラか……申告はしているか?」
「委員長、ウィッグです。」
すぐに訂正を入れてくる目黒に『そ、そうか。』と少し恥ずかしかった。カツラでいいじゃないか別に。
病気などの理由で、カツラをしての生活は許可されている。だが風紀と生徒会には申告の義務がある。
しっかりと納得のできる理由であるかを判断し、対応をしなければならないからだ。
「生徒会は許可してるけど?文句あるの?」
きーきー言ってくるのは真斗。
「理事長が被れって言ったらしいからいいじゃん。」
眼鏡を拾ってきたのは塁斗。
そんな双子の言い分だが、そういう問題じゃない。
そんな理由で許可が下りるなんてことあってはならない。理事長の職権濫用が凄まじいな。
確かな情報だが、駆け落ちしていなくなった娘が最近になって見つかり、孫がいることを知った理事長。
母親に似ている孫をとても可愛がっているとのこと。
ここからは俺の推測だが、母親似の孫を手元に置きたい。だが、学園は同性愛の傾向がある。母親のように男と駆け落ちなんてされたら悔しい。そうだ顔を隠せばいいって具合か?
あの眼鏡も伊達だろう。度が入っているようには見えない。
あの性格じゃ、ここに転入してくる前も同じような感じでハーレム築いていたんだろうな。
当たり前のように好きだと言われて、貢がれて、自分が王様みたいに思っちゃったのか?
そんな絶頂期に古田の告白と青山の拒絶だからな……高いお鼻がぽっきーんしたんだろ。
「若松くん、正当な理由と申告がないなら、カツ…ウィッグは許可できない。今日は許すから、月曜からは外してきなさい。」
聞こえているかわからないな。
「若松くん、分かったかい?」
再び問うと、顔を上げてはいと小さく答えた若松くん。
「頬が赤くなっているね。可哀想に、痛いか?早く冷やした方がいいな……これに懲りたら、ルールは守るんだよ。人の恋路を邪魔して馬に蹴られたくないだろ?」
「ひっ痛い…痛いよぉ…俺は…うえぇ。」
痛みを自覚したのか、痛がり、泣いてしまった若松くん。咲山兄弟が反発したそうに俺を見ていたが、分が悪いのを悟ってか、若松くんを連れて保健室へと足早に去った。
「さて、午後の部は始まっているな。見回り当番だが昼を食べそびれたやつがいるなら今食べろ。変わりに俺が行く。」
「蛍様、俺もついてくっす!」
なんだか今まで以上に付きっきりになったな。
ここで一問答するのは時間が惜しい、仕方ない。
「わかった。じゃあ行ってくる。目黒他のことは任せたぞ。ついて来い流星。」
「了解です委員長。いってらっしゃい。」
1番の問題が片付いたようなもんだからな、後はもうすんなり行くだろうと高を括り、蜂須賀を伴って見回りへと向かう。
「ちょっと失礼。」
若松くんの髪の毛に触れてみると、明らかに人工毛、つまりカツラだ。ぱっと見わからないものだな。
「カツラか……申告はしているか?」
「委員長、ウィッグです。」
すぐに訂正を入れてくる目黒に『そ、そうか。』と少し恥ずかしかった。カツラでいいじゃないか別に。
病気などの理由で、カツラをしての生活は許可されている。だが風紀と生徒会には申告の義務がある。
しっかりと納得のできる理由であるかを判断し、対応をしなければならないからだ。
「生徒会は許可してるけど?文句あるの?」
きーきー言ってくるのは真斗。
「理事長が被れって言ったらしいからいいじゃん。」
眼鏡を拾ってきたのは塁斗。
そんな双子の言い分だが、そういう問題じゃない。
そんな理由で許可が下りるなんてことあってはならない。理事長の職権濫用が凄まじいな。
確かな情報だが、駆け落ちしていなくなった娘が最近になって見つかり、孫がいることを知った理事長。
母親に似ている孫をとても可愛がっているとのこと。
ここからは俺の推測だが、母親似の孫を手元に置きたい。だが、学園は同性愛の傾向がある。母親のように男と駆け落ちなんてされたら悔しい。そうだ顔を隠せばいいって具合か?
あの眼鏡も伊達だろう。度が入っているようには見えない。
あの性格じゃ、ここに転入してくる前も同じような感じでハーレム築いていたんだろうな。
当たり前のように好きだと言われて、貢がれて、自分が王様みたいに思っちゃったのか?
そんな絶頂期に古田の告白と青山の拒絶だからな……高いお鼻がぽっきーんしたんだろ。
「若松くん、正当な理由と申告がないなら、カツ…ウィッグは許可できない。今日は許すから、月曜からは外してきなさい。」
聞こえているかわからないな。
「若松くん、分かったかい?」
再び問うと、顔を上げてはいと小さく答えた若松くん。
「頬が赤くなっているね。可哀想に、痛いか?早く冷やした方がいいな……これに懲りたら、ルールは守るんだよ。人の恋路を邪魔して馬に蹴られたくないだろ?」
「ひっ痛い…痛いよぉ…俺は…うえぇ。」
痛みを自覚したのか、痛がり、泣いてしまった若松くん。咲山兄弟が反発したそうに俺を見ていたが、分が悪いのを悟ってか、若松くんを連れて保健室へと足早に去った。
「さて、午後の部は始まっているな。見回り当番だが昼を食べそびれたやつがいるなら今食べろ。変わりに俺が行く。」
「蛍様、俺もついてくっす!」
なんだか今まで以上に付きっきりになったな。
ここで一問答するのは時間が惜しい、仕方ない。
「わかった。じゃあ行ってくる。目黒他のことは任せたぞ。ついて来い流星。」
「了解です委員長。いってらっしゃい。」
1番の問題が片付いたようなもんだからな、後はもうすんなり行くだろうと高を括り、蜂須賀を伴って見回りへと向かう。
40
お気に入りに追加
1,077
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

笑わない風紀委員長
馬酔木ビシア
BL
風紀委員長の龍神は、容姿端麗で才色兼備だが周囲からは『笑わない風紀委員長』と呼ばれているほど表情の変化が少ない。
が、それは風紀委員として真面目に職務に当たらねばという強い使命感のもと表情含め笑うことが少ないだけであった。
そんなある日、時期外れの転校生がやってきて次々に人気者を手玉に取った事で学園内を混乱に陥れる。 仕事が多くなった龍神が学園内を奔走する内に 彼の表情に接する者が増え始め──
※作者は知識なし・文才なしの一般人ですのでご了承ください。何言っちゃってんのこいつ状態になる可能性大。
※この作品は私が単純にクールでちょっと可愛い男子が書きたかっただけの自己満作品ですので読む際はその点をご了承ください。
※文や誤字脱字へのご指摘はウエルカムです!アンチコメントと荒らしだけはやめて頂きたく……。
※オチ未定。いつかアンケートで決めようかな、なんて思っております。見切り発車ですすみません……。
目立たないでと言われても
みつば
BL
「お願いだから、目立たないで。」
******
山奥にある私立琴森学園。この学園に季節外れの転入生がやってきた。担任に頼まれて転入生の世話をすることになってしまった俺、藤崎湊人。引き受けたはいいけど、この転入生はこの学園の人気者に気に入られてしまって……
25話で本編完結+番外編4話

監獄にて〜断罪されて投獄された先で運命の出会い!?
爺誤
BL
気づいたら美女な妹とともに監獄行きを宣告されていた俺。どうも力の強い魔法使いらしいんだけど、魔法を封じられたと同時に記憶や自我な一部を失った模様だ。封じられているにもかかわらず使えた魔法で、なんとか妹は逃したものの、俺は離島の監獄送りに。いちおう貴族扱いで独房に入れられていたけれど、綺麗どころのない監獄で俺に目をつけた男がいた。仕方ない、妹に似ているなら俺も絶世の美形なのだろうから(鏡が見たい)

王道学園のモブ
四季織
BL
王道学園に転生した俺が出会ったのは、寡黙書記の先輩だった。
私立白鳳学園。山の上のこの学園は、政財界、文化界を担う子息達が通う超名門校で、特に、有名なのは生徒会だった。
そう、俺、小坂威(おさかたける)は王道学園BLゲームの世界に転生してしまったんだ。もちろんゲームに登場しない、名前も見た目も平凡なモブとして。
私の事を調べないで!
さつき
BL
生徒会の副会長としての姿と
桜華の白龍としての姿をもつ
咲夜 バレないように過ごすが
転校生が来てから騒がしくなり
みんなが私の事を調べだして…
表紙イラストは みそかさんの「みそかのメーカー2」で作成してお借りしています↓
https://picrew.me/image_maker/625951

【完結】I adore you
ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。
そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。
※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる