世話焼き風紀委員長は自分に無頓着

二藤ぽっきぃ

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閑話:目黒環

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目黒家の第二子にして長男。
政治家の父を持つが、親は将来のことは好きにしろと言った。

母親譲りの顔で、女みたいだと同級生に揶揄われた。

そんな俺は、表面上は上手く人付き合いをして、いい子を演じた。
大人も同級生たちも騙されて、揶揄われることはなくなり、クラスの中心のグループに仲間認定されてしまった。



ある時、5つ離れた高校生の姉が友達と話していたのをたまたま聞いた。


『あんたの弟って美少年よね、まじ受けすぎる、妄想が滾るわ~。』
『はぁ?美少年だからこその鬼畜攻めでしょ?顔のいい攻めが平凡なおっさん抱いてるのとか最高すぎる。』



なんのことだかさっぱりだが、楽しそうに話す姉が羨ましかった。心からの付き合いをしている友人がいることが。


姉が出かけているときに部屋に侵入した。
この前は何か薄い本を読んでいたみたいだが……本棚を見てみるがそれらしきものは見当たらない。

なら、と思いついっと目をやる。そこから怪しいオーラが出ているようで、僕の勘が囁く。

鍵のかかった引き出し。

鍵の隠し場所は知っている、手早く回収して、意気揚々と鍵を開ける。
一体どんなお宝があるんだろう。姉が夢中になり、友達と口論できるほど仲良くなれるものとはなんだろう。

わくわくしていた、開けるまでは。

見つけた薄い本の表紙には2人の男。
パラパラとめくり、中を改める。

ハーフイケメンが、おじさんに迫っている。あ、キスした。どきどきしながら熱中していると、姉が帰ってきているのに気づかなかった。


「あんた、見たからには分かってるんでしょうね?」


姉弟喧嘩をしたときの、逆らえない黒い笑顔の姉が背後に立っていた。

「全く、気になるなら気になるって言いなさい。こんな泥棒みたいな真似して。」

小1時間程の布教活動を終えた姉は、最後に一言そう僕に告げた。

見事腐海にハマった僕は、姉の勧めで都塚学園に入学することを決めた。

噂によると学園内は親の目の届かない無法地帯で、学園恋愛が多いらしい。

もちろん自身の恋愛ではなく観察が目的だ。
学園での6年間で、最高の推しカプを見つけることを約束して、姉に見送られた。


実際問題、そんなに甘くはない。
顔のせいで自分の親衛隊ができてしまい、はたまたヤらせろと直球で言ってくる輩がいる。

地雷は少ない方だが、断固として自分受けは地雷だ。

仕方がないからとイケメンの周囲を観察していたら、一つ上の人気者が高等部に進学した。


観察できなくなったが、代わりにその舎弟みたいな双子と腹黒眼鏡を観察していた。
1年待ったら、またあの人気者を観察できるんだからと過ごし、高等部に進学。

驚愕した。あの人気者の横にどタイプの男がいたのだ。リバ有りの僕としては最高の人材。
顔よし、筋肉よし、性格もよし、絵に描いたような美形受けが現れた!

俺との出会いの第一声が『美人さんだな。』って花が咲いたような笑顔で……はぁぁ推す!!!初めてこの顔でよかったって思う!母さん産んでくれてありがとう!!


んんっ気を取り直して……風紀の副委員長を務める彼は、仲神蛍。
親衛隊は結成されていないが、数多くのファンがいた。
彼が居るからと風紀に入会し、側で観察すると分かったことがある。

世話焼き気質のこの男、恋愛面がポンコツなのか、男同士というのを認識していないのか、アプローチされても気付かない。
だが、何人かの猛者がど直球に抱きたい!や、抱いて!など伝えた所、完璧にお断りをしていた。

認識はしているみたいだ。

だが彼は後継者の立場から、異性とのお付き合いに重きを置いているみたいだ。

これはあれだ、お前だから好きになったのパターンになる。ノンケよりバイの感じだ。きっと攻めに女を抱けない身体にしてやるって言われるはず。うん。



そんな仲神先輩を観察して1年、彼の周りには飢えた獣が2匹いる。
そのうちの1人と協定を結び、協力することを約束したのだが……ぶっちゃけもう1人とカプになっても美味しい。

最近参入した転入生は地雷だが、それ以外ならもう最高!

はぁ~卒業までにどうなるかな。
とりあえず、先輩に課金したい。推しが尊い。

こんな事を四六時中考えているなんて、先輩には口が裂けても言えませんけどね。
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