父への手紙

オオトリ

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二枚目

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父は、お酒は然程飲む人ではなく、しかしタバコは好きな人でした。
辛いものも甘いものも好きだったので、お酒よりもお菓子を好んで口にしていました。

趣味は読書とパチンコ。時々将棋。

ひょうきんに振る舞おうとするけれど、どこか遠慮があるのか、照れがあるのか…。
人との関わり方が不器用な人で、私達自分の子供はもちろん、私達の友達、親戚の子供など、ちょっかいをかけて遊んではくれますが、その関わり方もどことなくぎこちない人でした。

まだ私が子供の頃には、今よりは色々なことにおおらかな時代でしたので、母から「無駄遣い禁止」として禁じられていたパチンコにこっそり出掛けるために、私を供にすることがありました。
私も本が好きでしたので、「一緒に図書館に行く」と言って私を連れ出すのです。

今となっては全く考えられませんが、タバコの煙がモクモクとした店内で、父の膝に乗せられ、時折こっそり一緒にハンドルを握らせてもらったり…。
共犯の口止め料として、私に渡す板チョコが貰える程度の遊びをすると、そのあとは本当に図書館に連れて行ってくれます。

家に帰ってからは、狭い家の中なので、また同じ部屋の畳の上に転がってそれぞれ本を読む。
そして、こっそりと戦利品の板チョコを分け合って食べる。

悪く言うと癇癪持ちの姉が優先されがちな生活で、家族で出掛ける予定も、姉の機嫌次第でなかったことにされてしまう。
友人と遊ぶ約束を断って、家族の予定に合わせていても、完全に中止が決まる頃には、昼もまわってだいぶたっているので今更遊べず。

そういった私を慰めるためだったのかもしれません。

もしくは、あまり父に懐かず癇癪持ちの姉より私が扱いやすかっただけかもしれません。

しかし、タバコの臭いが私にまで染み込んでいるので、どこに行ったかは母にはバレていて、後から叱られることもあったので、後者かもしれませんね。

しかし、板チョコを私だけに与えられていたことは、今もバレていないと思いますよ。

つい最近、イトコと法事で会った際に、結婚前の父がイトコをパチンコに連れて行っては板チョコをあげていた…というエピソードを聞いたときにも私は黙って笑っていましたので。

やはり、私はいいように使われていたのでしょうか?

単純に不器用なあなたは、子供と二人で遊ぶ方法を知らなかったのでしょうかね。

でも、私にとっては、私だけが優遇されていると思える数少ない場面でしたので、そういうことでいいんです。
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