Qちゃん 103歳 おでかけですよー

松澤 康廣

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第一部 愉快なQちゃん

ほーほけきょ

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 まだ五月というのに、実に暑い。
 Qちゃんも私も夏仕様の服に変えた。
 Qちゃんも私もTシャツに半ズボンだ。
 今日は相模原公園にあやめとアジサイの様子を見に行く予定だったが、あまりの暑さに谷戸山公園に変更。ここは、酷暑の際に必ず逃げ込む避暑地なのだ。

 谷戸山公園には名勝が幾つもある。しかし、夏のQちゃんにとっては1箇所のみ。伝説の丘だ。

 理由は定かでない。風景ではないと思う。何しろ、伝説の丘に背を向けて、木製の素朴な長椅子に座っているだけなのだから。

 ここ、風通しがいい。

 今日もいい風が吹いている。

 しかし、それだけが好きな理由ではないようだ。
 電車が見える。
 眼前の、こんもりした森の隙間から電車が見える。
 静謐な風景を突如電車が切り裂く。それがいいのだと思う。それも5分に1回くらいという頻繁さで通るから、飽きない。

 ことりの囀りもいい。
 今日はほーほけきょ。
 Qちゃんも、ほーほけきょ。
 ことりさんが、ほーほけきょ。
 Qちゅんがほーほけきょ。ことりさんが……。
 明らかにQちゃんはことりさんに対抗している。ほーほけきょを先にやめた方が負けとでも思っているに違いない。
 こんな負けん気にどんな意味があるのかは知らない。

 私はただ終わるのを待つ。
 私の手には容疑者Xの献身。

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