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第七章 王太子の偏愛 王国騎士団 & 王国民
12・ダーズリー辺境伯*
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イザベラはダルトンから貰ったネックレスをつけて夜会に出席していた。
……この姿をダルトン様に見せたいわ……
着飾った姿を見せたいイザベラはダルトンを探した、彼の周囲には常に女性の人集りが出来るのでそれを目安にするが、今夜はそれらしい人集りが見当たらなかった。
やがてイザベラは王太子と談笑しているダルトンを見つける、珍しい事にいつも周りを取り囲んでいる女性達がいない。
近づく絶好の機会だわ。
イザベラは急いでダルトンの側に行き、王太子との会話に聞き耳を立てる、王太子はイザベラに気付いたが、背中を向けているダルトンは気付いていない。
「ダルトン、疲れた顔をしているな。部屋を取ってあるから休んでいけ」
「いえ、それには及びません」
「いいから言う事をきけ、お前に倒れられたら困るんだ、予約してる部屋まで案内させるよ」
イザベラが声をかける間も無く、王太子が人を呼んでダルトンを連れ出した、イザベラはこっそり跡をつけて彼の部屋を確認する。
……最高の展開だわ、誰にも邪魔されずにダルトン様と二人っきりになれる……アンナに持って来させた物が役立つ時がきたわ……
イザベラは暫く部屋の近くで様子を伺う、王太子の言葉通りに仮眠を取るのか、ダルトンは部屋から出て来ない。
イザベラは周囲を見回すと静かに部屋の扉を開けた、部屋の中はかなりの灯りが落とされ薄暗い、どうやら彼は既に寝台で休んでいる様だ。
イザベラはドレスの内ポケットからサシェを取出すと、中の薬草を備え付けの香炉で燃やした。催淫効果のある薬草の煙が部屋中に拡がっていく。
イザベラも煙を吸い込んで体が熱を持ち始める、自身の興奮具合で頃合いを見計らうと、ドレスを脱いで下着姿になった。
寝ているダルトンの上掛けをめくって彼の体に手を這わせ服を脱がせていく。
◆◇◆◇◆◇
三日に渡る強行軍で王都に来たダーズリー辺境伯は疲れていた。
着いて直ぐに夜会に出席した彼を気遣って王太子が用意してくれた部屋で、彼は死んだ様に眠っていた。
爆睡していた彼は天国にいる様な心地良さを感じて目覚める、彼の体の上に裸の女が跨り二人の秘部が繋がっていた。
「なっ、これは一体!?」
「ああダルトン様、やっとお目覚めになられたのですか?」
ダーズリーは薄暗い中で目を凝らして、自分に夜這いをかけた女性を見る、赤髪赤目の中々の美女だ。
「君はもしかして、イザベラ・アルジオン伯爵令嬢か?」
ダーズリーが問いかけると女は艶然と微笑んで返事をした。
「いやですわダルトン様、どうぞイザベラと呼び捨てにして下さいませ」
イザベラがゆるりと腰を動かす、繋がる部分も体も熱くて、ダーズリーはどうした事か、彼女が欲しくて欲しくて堪らない、このままメチャクチャにしたい、激しい性衝動を覚えて息も粗くなる。
「イザベラ、いけない早く私から離れるんだ。はぁ、はぁ、でなければ……あぁ、私は……はぁ、はぁ、君を…メチャクチャにしてしまう」
「嬉しいダルトン様、それこそがイザベラの望みです。早く私を抱いて、メチャクチャにして下さいませ」
イザベラが上半身をダーズリーの体に摺り寄せて口付けてきた、彼の硬い胸板にイザベラの柔らかな乳房が当たって形を変える、その感触にダーズリーの頭の中で何かが弾け飛んだ。
「予想外の展開だが、する事が少し早まっただけだ安心しろ責任は取る、だが貴女にも私を煽った責任を取ってもらおう」
ダーズリー辺境伯は逞しい上半身を起こして、イザベラの体を寝台へ押し倒した、繋がったままの逸物がイザベラの中で更に膨らむ。
辺境伯は鍛えたあげた逞しい腰で、猛然とイザベラを突き始めた。
バンッ、バンッ、バンッ、バンッ、バンッ
催淫剤を吸い込んでいる彼は普段よりも女に飢えている、一匹の雄となったダーズリーは本能のままに、太くて逞しい剛直でイザベラの子宮を深々と貫く。
「はぁ、はぁ、イザベラ、あぁ、貴女の中はなんて気持ち良いんだ、はぁ、はぁ、私は貴女に狂いそうだ、あぁ……」
バチュ、バチュ、バチュ、バチュ、バチュ
「ダルトン様、あっ、あっ、なんて激しいの、あっ、もっと、もっときて、ダルトン様……」
全身をさざめく快感に支配されたダーズリーは、後継ぎを作る為か快楽得るためか分からないまま、イザベラの中へ何度も子種を放出した。
◆◇◆◇◆◇
「イザベラ、ああ、素晴らしいよ、はぁ、はぁ、イザベラ、もっと君が欲しい」
割れた腹筋に引き締まった尻、イザベラを求めて激しく抽送する腰、狂おしく名前を呼ばれて噛み付くように唇を奪われる、大きな手の平で乳房を揉まれ、太い楔で何度も蜜壺を貫かれた、ダルトンとの時間は全てが官能的で素晴らしかった。
しかも彼は責任を取ると言ってくれたのだ、体の快感と共にイザベラの心も幸福感に満たされていた。
「イザベラ、はぁ、はぁ、ああ、駄目だ出る、ふぅ、一緒にイこう、イザベラ」
イザベラはもう何度目か分からない彼の精を受け止めた、激しかった腰の動きが止まる、全てを出し切った彼は脱力してイザベラの上に覆い被さってきた。
イザベラは彼の体を抱き締めて、黒紺色の髪に触ろうと頭に触れたが、髪には触れられず皮膚の感触があった、ダルトンが体を離して寝台から起き上がる。
「順番が違ってしまったが、貴女を大切にするので私の側にいて欲しい、返事を聞かせてくれるか?」
彼がイザベラを見つめて真摯な声で問いかけてきた、そんなダルトンの態度にイザベラはほくそ笑む。
……やった!、きたわ!、これよ!……
「勿論ですダルトン様、イザベラは死ぬまで貴方のお側におります」
……これでダルトン様は私のものよ……
「嬉しいよイザベラ、君は少し休むといい。私は王太子殿下と話をしてくる」
ダルトンは手早く身支度を整えると、部屋を出て行った。
……うふふっ、ダルトン様ったら、私とこうなって嬉しくて浮ついているのかしら、お兄様を王太子殿下だなんて、それとも普段そう呼んでいるのかしら……
既に夜が明けていた、ずっと抱かれていたイザベラは疲れて眠りに落ちた。
眠る前のイザベラは人生最高の幸せを味わっていたが、そこが最高潮で目覚めた後から下降線を辿る事になる。
◆◇◆◇◆◇
「王太子殿下、彼女は本当に毒花と呼ばれているのですか?、私には魅力的な女性にしか見えません」
夜会から夜が明けた早朝に、ダーズリー辺境伯は王子二人と謁見していた。
早朝でも二人は麗しくそれぞれ違うオーラを放っている。
「今はそうかも知れないね、でも領地に着く頃はどうか分からない、それで彼女との婚姻を受けてくれるんだね?」
昨日も王家が決めた婚姻の打診を受ける返事をしたのだが、慎重派なのか太陽の化身は再度確認をしてきた。
「はい、既に昨夜のうちに褥も供にしました、男として責任を取ります」
「ふふふふ、それは素晴らしい。見かけによらずダーズリー卿はやり手ですね」
夜の化身が面白そうな顔でダーズリーを見てくる、ダーズリーは照れながら真相を話した。
「いえ、その、令嬢の方から夜這いをかけられまして……何と言いますか、据え膳食わぬは男の恥とも云いますし……」
二人の王子は意味深に顔を見合わせた、その後で王太子が用意していた幾つかの書類をダーズリーに差し出した。
「これはアルジオン伯爵令嬢に貴方との婚姻を命じた王命書、これは婚姻届だ、イザベラ嬢の署名は済んでいるので、ここに君の署名をくれ」
既に彼女が婚姻届に署名している事に驚くが、夜這いをかけてきたのだ署名済みでもおかしく無い、自分との婚姻に対する熱意を感じてイザベラに対する愛しさが増す。
ダーズリーはその場で婚姻届に署名をした、すると王太子殿下が隣室に控えていた大神官を呼び寄せ、結婚許可証をその場で作成させる、その手際の良さにダーズリーは唖然とする。
「これで貴方とイザベラ・アルジオン伯爵令嬢の婚姻が成立した、こちらの書類は渡しておこう、それとこれは餞別だ」
王太子が書類と一緒に、蛍光ピンクの液体を渡してきた、胡散臭いそれにダーズリーは不審感丸出しで問うた。
「殿下、これは一体何でしょうか?」
「ふふふ、そうだよな、普通そんな反応になるよな。それは異性を虜にする薬だ、イザベラ嬢の様子がおかしくなったら飲むといい」
……様子がおかしくなるとは?……
「君の幸せを願っているよ、ドルトン・ダーズリー辺境伯。無理に来させて悪かった、またいつか会おう」
「ダーズリー卿、領地に帰り着くまでは指輪はしたままでいろ、その後は好きにして良い、ではまた会おう」
理解がおぼつかないダーズリーを置いて王子二人はその場を立ち去った。
◆◇◆◇◆◇
眠りから目覚めて湯浴みをしていたイザベラの元に、離宮のメイドが着替えを持って来た。
湯上がりに着るドレスの他に、旅行用に荷造りしてある鞄も数個ある。
「ちょっと、この荷物は何なのよ!?」
荷物を持って来たのはあのコーラルとか云うメイドだ、済ました顔でイザベラの髪を結い始める。
「今日はこれからダルトン様の領地へ出発されると聞いております、それでダルトン様からの指示で私が必要な物を纏めました」
……ダルトン様の領地?、ああ王子領の事かしら、もしかしたら愛人として邸を貰えるのかも知れないわね……
イザベラはまたしても勝手に解釈をして上機嫌になった、そんな彼女にメイドが釘をさす。
「イザベラ様、その魔導具は本日を含めて三日間は身に付けたままで、決して外さないで下さい」
「煩いわね、夜会の前日から五日間でしよ、後三日あるってちゃんと分かっているわ」
イザベラは不機嫌になる、髪を結い終えたメイドが部屋を出るのと入れ違いにダルトンが部屋に戻って来た。
「イザベラ、なんて綺麗なんだ。急がせて悪いけど、これから私の領地に向けて出発したい、必要な物は後から届けて貰おう」
「はいダルトン様、もう荷造りして有ります。いつでも出発出来ますわ」
こうしてイザベラ・アルジオンは本人の知らない間に、イザベラ・ダーズリーになっていた、彼女がそれを知るのはもう少し先になる。
……この姿をダルトン様に見せたいわ……
着飾った姿を見せたいイザベラはダルトンを探した、彼の周囲には常に女性の人集りが出来るのでそれを目安にするが、今夜はそれらしい人集りが見当たらなかった。
やがてイザベラは王太子と談笑しているダルトンを見つける、珍しい事にいつも周りを取り囲んでいる女性達がいない。
近づく絶好の機会だわ。
イザベラは急いでダルトンの側に行き、王太子との会話に聞き耳を立てる、王太子はイザベラに気付いたが、背中を向けているダルトンは気付いていない。
「ダルトン、疲れた顔をしているな。部屋を取ってあるから休んでいけ」
「いえ、それには及びません」
「いいから言う事をきけ、お前に倒れられたら困るんだ、予約してる部屋まで案内させるよ」
イザベラが声をかける間も無く、王太子が人を呼んでダルトンを連れ出した、イザベラはこっそり跡をつけて彼の部屋を確認する。
……最高の展開だわ、誰にも邪魔されずにダルトン様と二人っきりになれる……アンナに持って来させた物が役立つ時がきたわ……
イザベラは暫く部屋の近くで様子を伺う、王太子の言葉通りに仮眠を取るのか、ダルトンは部屋から出て来ない。
イザベラは周囲を見回すと静かに部屋の扉を開けた、部屋の中はかなりの灯りが落とされ薄暗い、どうやら彼は既に寝台で休んでいる様だ。
イザベラはドレスの内ポケットからサシェを取出すと、中の薬草を備え付けの香炉で燃やした。催淫効果のある薬草の煙が部屋中に拡がっていく。
イザベラも煙を吸い込んで体が熱を持ち始める、自身の興奮具合で頃合いを見計らうと、ドレスを脱いで下着姿になった。
寝ているダルトンの上掛けをめくって彼の体に手を這わせ服を脱がせていく。
◆◇◆◇◆◇
三日に渡る強行軍で王都に来たダーズリー辺境伯は疲れていた。
着いて直ぐに夜会に出席した彼を気遣って王太子が用意してくれた部屋で、彼は死んだ様に眠っていた。
爆睡していた彼は天国にいる様な心地良さを感じて目覚める、彼の体の上に裸の女が跨り二人の秘部が繋がっていた。
「なっ、これは一体!?」
「ああダルトン様、やっとお目覚めになられたのですか?」
ダーズリーは薄暗い中で目を凝らして、自分に夜這いをかけた女性を見る、赤髪赤目の中々の美女だ。
「君はもしかして、イザベラ・アルジオン伯爵令嬢か?」
ダーズリーが問いかけると女は艶然と微笑んで返事をした。
「いやですわダルトン様、どうぞイザベラと呼び捨てにして下さいませ」
イザベラがゆるりと腰を動かす、繋がる部分も体も熱くて、ダーズリーはどうした事か、彼女が欲しくて欲しくて堪らない、このままメチャクチャにしたい、激しい性衝動を覚えて息も粗くなる。
「イザベラ、いけない早く私から離れるんだ。はぁ、はぁ、でなければ……あぁ、私は……はぁ、はぁ、君を…メチャクチャにしてしまう」
「嬉しいダルトン様、それこそがイザベラの望みです。早く私を抱いて、メチャクチャにして下さいませ」
イザベラが上半身をダーズリーの体に摺り寄せて口付けてきた、彼の硬い胸板にイザベラの柔らかな乳房が当たって形を変える、その感触にダーズリーの頭の中で何かが弾け飛んだ。
「予想外の展開だが、する事が少し早まっただけだ安心しろ責任は取る、だが貴女にも私を煽った責任を取ってもらおう」
ダーズリー辺境伯は逞しい上半身を起こして、イザベラの体を寝台へ押し倒した、繋がったままの逸物がイザベラの中で更に膨らむ。
辺境伯は鍛えたあげた逞しい腰で、猛然とイザベラを突き始めた。
バンッ、バンッ、バンッ、バンッ、バンッ
催淫剤を吸い込んでいる彼は普段よりも女に飢えている、一匹の雄となったダーズリーは本能のままに、太くて逞しい剛直でイザベラの子宮を深々と貫く。
「はぁ、はぁ、イザベラ、あぁ、貴女の中はなんて気持ち良いんだ、はぁ、はぁ、私は貴女に狂いそうだ、あぁ……」
バチュ、バチュ、バチュ、バチュ、バチュ
「ダルトン様、あっ、あっ、なんて激しいの、あっ、もっと、もっときて、ダルトン様……」
全身をさざめく快感に支配されたダーズリーは、後継ぎを作る為か快楽得るためか分からないまま、イザベラの中へ何度も子種を放出した。
◆◇◆◇◆◇
「イザベラ、ああ、素晴らしいよ、はぁ、はぁ、イザベラ、もっと君が欲しい」
割れた腹筋に引き締まった尻、イザベラを求めて激しく抽送する腰、狂おしく名前を呼ばれて噛み付くように唇を奪われる、大きな手の平で乳房を揉まれ、太い楔で何度も蜜壺を貫かれた、ダルトンとの時間は全てが官能的で素晴らしかった。
しかも彼は責任を取ると言ってくれたのだ、体の快感と共にイザベラの心も幸福感に満たされていた。
「イザベラ、はぁ、はぁ、ああ、駄目だ出る、ふぅ、一緒にイこう、イザベラ」
イザベラはもう何度目か分からない彼の精を受け止めた、激しかった腰の動きが止まる、全てを出し切った彼は脱力してイザベラの上に覆い被さってきた。
イザベラは彼の体を抱き締めて、黒紺色の髪に触ろうと頭に触れたが、髪には触れられず皮膚の感触があった、ダルトンが体を離して寝台から起き上がる。
「順番が違ってしまったが、貴女を大切にするので私の側にいて欲しい、返事を聞かせてくれるか?」
彼がイザベラを見つめて真摯な声で問いかけてきた、そんなダルトンの態度にイザベラはほくそ笑む。
……やった!、きたわ!、これよ!……
「勿論ですダルトン様、イザベラは死ぬまで貴方のお側におります」
……これでダルトン様は私のものよ……
「嬉しいよイザベラ、君は少し休むといい。私は王太子殿下と話をしてくる」
ダルトンは手早く身支度を整えると、部屋を出て行った。
……うふふっ、ダルトン様ったら、私とこうなって嬉しくて浮ついているのかしら、お兄様を王太子殿下だなんて、それとも普段そう呼んでいるのかしら……
既に夜が明けていた、ずっと抱かれていたイザベラは疲れて眠りに落ちた。
眠る前のイザベラは人生最高の幸せを味わっていたが、そこが最高潮で目覚めた後から下降線を辿る事になる。
◆◇◆◇◆◇
「王太子殿下、彼女は本当に毒花と呼ばれているのですか?、私には魅力的な女性にしか見えません」
夜会から夜が明けた早朝に、ダーズリー辺境伯は王子二人と謁見していた。
早朝でも二人は麗しくそれぞれ違うオーラを放っている。
「今はそうかも知れないね、でも領地に着く頃はどうか分からない、それで彼女との婚姻を受けてくれるんだね?」
昨日も王家が決めた婚姻の打診を受ける返事をしたのだが、慎重派なのか太陽の化身は再度確認をしてきた。
「はい、既に昨夜のうちに褥も供にしました、男として責任を取ります」
「ふふふふ、それは素晴らしい。見かけによらずダーズリー卿はやり手ですね」
夜の化身が面白そうな顔でダーズリーを見てくる、ダーズリーは照れながら真相を話した。
「いえ、その、令嬢の方から夜這いをかけられまして……何と言いますか、据え膳食わぬは男の恥とも云いますし……」
二人の王子は意味深に顔を見合わせた、その後で王太子が用意していた幾つかの書類をダーズリーに差し出した。
「これはアルジオン伯爵令嬢に貴方との婚姻を命じた王命書、これは婚姻届だ、イザベラ嬢の署名は済んでいるので、ここに君の署名をくれ」
既に彼女が婚姻届に署名している事に驚くが、夜這いをかけてきたのだ署名済みでもおかしく無い、自分との婚姻に対する熱意を感じてイザベラに対する愛しさが増す。
ダーズリーはその場で婚姻届に署名をした、すると王太子殿下が隣室に控えていた大神官を呼び寄せ、結婚許可証をその場で作成させる、その手際の良さにダーズリーは唖然とする。
「これで貴方とイザベラ・アルジオン伯爵令嬢の婚姻が成立した、こちらの書類は渡しておこう、それとこれは餞別だ」
王太子が書類と一緒に、蛍光ピンクの液体を渡してきた、胡散臭いそれにダーズリーは不審感丸出しで問うた。
「殿下、これは一体何でしょうか?」
「ふふふ、そうだよな、普通そんな反応になるよな。それは異性を虜にする薬だ、イザベラ嬢の様子がおかしくなったら飲むといい」
……様子がおかしくなるとは?……
「君の幸せを願っているよ、ドルトン・ダーズリー辺境伯。無理に来させて悪かった、またいつか会おう」
「ダーズリー卿、領地に帰り着くまでは指輪はしたままでいろ、その後は好きにして良い、ではまた会おう」
理解がおぼつかないダーズリーを置いて王子二人はその場を立ち去った。
◆◇◆◇◆◇
眠りから目覚めて湯浴みをしていたイザベラの元に、離宮のメイドが着替えを持って来た。
湯上がりに着るドレスの他に、旅行用に荷造りしてある鞄も数個ある。
「ちょっと、この荷物は何なのよ!?」
荷物を持って来たのはあのコーラルとか云うメイドだ、済ました顔でイザベラの髪を結い始める。
「今日はこれからダルトン様の領地へ出発されると聞いております、それでダルトン様からの指示で私が必要な物を纏めました」
……ダルトン様の領地?、ああ王子領の事かしら、もしかしたら愛人として邸を貰えるのかも知れないわね……
イザベラはまたしても勝手に解釈をして上機嫌になった、そんな彼女にメイドが釘をさす。
「イザベラ様、その魔導具は本日を含めて三日間は身に付けたままで、決して外さないで下さい」
「煩いわね、夜会の前日から五日間でしよ、後三日あるってちゃんと分かっているわ」
イザベラは不機嫌になる、髪を結い終えたメイドが部屋を出るのと入れ違いにダルトンが部屋に戻って来た。
「イザベラ、なんて綺麗なんだ。急がせて悪いけど、これから私の領地に向けて出発したい、必要な物は後から届けて貰おう」
「はいダルトン様、もう荷造りして有ります。いつでも出発出来ますわ」
こうしてイザベラ・アルジオンは本人の知らない間に、イザベラ・ダーズリーになっていた、彼女がそれを知るのはもう少し先になる。
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